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「新八ィ…なんか…」
「…うん…。」
「銀ちゃんたち、本気だったアル。」
あの後、むしゃくしゃして飛び出してきたのはいいが行く宛てもなく、二人はぶらぶら歩いていた。
「姉上たちの気持ちもわかるけど、なんか酷いよね。」
「……ぅ……」
「神楽ちゃん…」
新八が神楽を見ると、服に大きなシミを作っていた。
黙って神楽の背中を摩っていると、後ろから聞き慣れた声がした。
「リーダーと新八君じゃないか。」
「…桂さん……」
「…?リーダー…どうしたんだ…?…外にいると風邪をひくぞ。一先ずどこか店に入ろう。」
「…すみません…」
桂はただならぬ様子に何かを感じ取ったのだろう。二人を近くの喫茶店に連れて行った………
***
「なるほど。事情はわかった。」
新八は先程のことを桂に打ち明けた。桂も困ったように腕を組んでいる。
「銀時が結婚なんてなぁ…アイツがまさか俺よりも先にそんなことを言い出すとは…」
「…そこですか…。」
「俺は何とも言い切れんなぁ…。銀時たちの気持ちもわかるし、新八君たちの気持ちもわかるし…。……それで?そのほかに具体的な事は言ってなかったか?」
「いえ…ただ結婚するとしか……。」
新八はそう言うと考え込んでしまった。
バタン!!!
大きな音が聞こえたかと思うと、先程から一言も喋っていなかったか神楽がテーブルを叩いて立ち上がっていた。
「…アタシと新八は銀ちゃんの何アルか!?アタシたちは仲間じゃないアルか!!」
「ちょっ!神楽ちゃん、落ち着いて…」
「……リーダー落ち着こう。二人ともよかったら今日はウチに来い。浪士たちも居るが構わんか?」
「…すみません…桂さん…そうさせてください…。」
桂は立ち上がるとすぐに勘定を済ませた。
「今日の夜、銀時の所に行って色々と詮索してみるからな。」
***
夜…銀時とお妙は万事屋にいた。
ドンドン!!
玄関の戸を叩く音がしたかとおもうと、桂が何の断りもなく入ってきた。
「随分仲良くしているみたいだな銀時。」
「…ヅラ」
「桂さん…」
桂は向かいのソファーに腰掛けると少し体を乗り出した。
「…度が過ぎてるぞ…リーダーも新八君もだいぶやつれ始めている。」
「…だってよー…『結婚しよう』って言い出したのはお妙なんだぜ。」
「何だか俺までもが悪役な気分になってきたぞ。」
そう言って桂は出された茶菓子を摘んでいる。
「いーんだよ。今のところは予定どおりなんだからな。」
「まぁ…銀さんったらホントにドSなんだから。」
お妙はクスクス笑っている。
しかし…
その裏では笑っていない者が一人いた。
まさかその時聞き耳を立てられていたとは誰も思わなかったに違いない………
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