最悪、最悪、最悪ッス!神様がいるって言うのなら本当にひどい奴だ。部活は一日もサボらなかったし宿題もだいたいやって、授業中だって半分くらいは起きてた自信だってあるのに。今日この日の為に、俺は良い子にしてきたのに!

「なのになんだって、今日に限ってアイツがここにいるんスか!」

叫んだところでどうにもならないけれど叫ばずにはいられない、そんな放課後だった。


今日は部活が休みの日だった。二年生に進級した頃からの約束で、俺の部活が休みの時はスコールとヴァンと俺で一緒に帰って遊ぶというのがある。俺はこの日を楽しみにしている。だってあの二人は同じクラスで部活もやってないからいつも一緒に帰ってるんだ。俺だって一緒にいたいのに!だからこうやって三人で一緒にいられる日を作っている。そのせいで女の子と遊べる唯一の日が消えうせていたのに気付いたのはつい最近だ。

「諦めろよ。今日は俺と二人ってことでいいじゃん」
「せっかく三人でいられる日なのに…」

俺とヴァン、二人しかいない教室。ヴァンがため息を吐いた。俺だってため息吐きたい。いや、泣きたい。今日は三人で遊べると思っていたんだ。授業中だって放課後どの店に行こうかとか、何をしたら楽しいか真剣に考えていた。最終時限の終了チャイムが鳴るまで本当にそのことしか考えていなかった(おかげで先生にあてられても反応できなかったから思いっきり怒られてしまったけれども)。チャイムが鳴ったら後はこっちのもの。鞄を持って隣の隣のクラスまで本気のダッシュ。教室から先生の怒鳴り声が聞こえたけど聞かなかったことにした。そうしてスコールたちのクラスに辿り着いて二人に声をかけた。そう、そこまではよかったんだ。だけど俺を見て、スコールはとても申し訳なさそうな顔をした。ヴァンは残念、と一言だけ呟いた。

「今日は用事が入った…悪い」

スコールはそれだけ言って帰り支度を始めた。昨日確認した時はちゃんと空いてるって言っていたのに。

「俺たちより大事な用事ってなんだよ」
「やめとけよティーダ」

そのまま何も言わないでスコールは帰ってしまった。俺は、何がなんだかわかんなくて裏切られた気持ちばっかりが心の中を占めていて苦しかった。あとから考えればスコールだって簡単に断ったわけじゃないのはわかる。きっと俺のことも考えてくれてた。だけど悲しいものは悲しい。

「あーもう、絶対狙ってやってるッス」

心底すまなそうな顔をしていたスコールを思い出して悪いことしたな、なんて思うのだけれど教室の窓から見える光景には悔しさしか湧かない。

「ちょうど大学が早く終わるからってスコールは言ってたけどな」
「嘘くさッ」

校門に渦中のスコールがいる。その近くには大きなバイクが止まっている。スコールのそばに金色のツンツン頭が見えた。

「あ!今こっち見て笑った!絶対クラウド笑った!」
「はは、これじゃティーダのほうが変態っぽいな」

ヴァンを一発殴ってからもう一度窓の外を見る。まだ二人はそこにいた。俺たち三人は高校からの仲だから、それまでの何かを知る由もない。だからスコールがクラウドと知り合いだったことも知らなかったし、時々こうやって放課後クラウドと一緒に帰ることがある理由もよく知らない。クラウドとは一、二回話した程度だけど何考えてるのかよくわからない奴だった。でもスコールとはずっと前からの知り合いだってことだけで、悔しい。

「ヴァンは悔しくないのかよ…」
「んー、そりゃあ面白くないけど。そう言う時もあるだろ?」
「軽いな〜お前」
「それにせっかく遊ぶのにそんなことばっかり考えてても仕方ないし」

その言葉に二の句が継げなかった。文句ばっかり言ってても仕方ないんだ。もたもたしてると今日が終わってしまう。窓の外を見た。もう二人はいなかった。

「よっし!今日はスコールが悔しがるくらい遊んでやる!」
「おー」
「フリオニールも拉致ってくっス!」

明日スコールに話すことをたくさん作ろう。次はそれ以上の思い出を作ろうって、言ってやる。
(どう転んだってそれは青春なんだろう)

20121011
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