ヘルプ!2人はしたっぱ


Help, I need somebody,
『誰か助けて!』

Help, not just anybody,
『誰でもいいというわけでもないんだけど』

Help, you know I need someone, help!
『助けてくれよ 僕には助けが必要なんだよ』









 ポー交番でクチナシと一緒に朝食を済ませたエルとマーシャは、早速カフェの掃除に取り掛かることにした。


「…とはいえ、どこから手を付けたらいいやら」


 荒れに荒れたポケモンセンターの中を見渡しながら、エルはモップ片手に頭を悩ませる。ポケモンセンターの中も外も、スカル団の少年たちの手によって落書きまみれにされているし、窓に至っては割れていない窓を探した方が楽という始末である。ひとまずエルは、先ほどから目を背けていたカフェのバックヤードにある故障した冷蔵庫など、明らかに不要な代物を外に出すことにした。


「マーシャ、そこいると危ないよ〜」


「ぐう」


「あと危ないから、割れたビンとかの破片は拾わなくていいからね」


 エルに倣い、センター内のゴミ(空き瓶や空のスプレー缶など)を拾うマーシャを避けながら、エルは問題の冷蔵庫を台車に乗せて外に持っていく。開きっぱなしの扉から外に出ると、ちょうどポケモンセンターの前を通りがかっていたスカル団のしたっぱ2人がエルに気付き、驚いたようなリアクションをとった。


「うわっ!? エネココアのおねーさん!?」


「おっ、昨日いた子たち? おはよー、今日は晴れてよかったねぇ」


「あ、アンタ、まだいたのかよ!? グズマさんにブッ壊されても知らねーぞ!」


 呑気に挨拶したエルに向かって、スカル団の2人は怒ったような口調で詰め寄ってくる。その表情は黒いマスクに隠されて伺うことはできないが、少なくとも好意的ではないことだけはエルにも感じ取れた。2人の声が聞こえたのか、マーシャがポケモンセンターの中から出てきて、エルの肩によじ登った。


「でもグズマは昨日、『好きにしろ』って言ってたじゃんよ」


「そ、そういえばそうじゃないっスカ…。いやでも、グズマさんのグソクムシャにあれだけ脅されたのに、それでも出ていかないってどういう神経してんスカ!?」


「だってあのグソクムシャには、最初からわたしを攻撃する気は無かったからね」


「「は?」」


「あのグソクムシャは、グズマの命令だからわたしを脅しただけだよ。おおかた、グズマが本気でわたしを傷つけるつもりなんじゃないって理解してたから、命令に応じたってところだろうね。優しくて頭の良いポケモンだねぇ、あのグソクムシャ!」


「な、なんでそんなことがわかるんスカ?」


「ポケモンって生き物は、嘘がつけない生き物だからね。目を見りゃ、何を考えてるのかは何となくわかるよ。ま、わたしの弟ほど完璧には理解できないけどさ」


「よ、よくわかんねーが、とにかくオレたちはグズマさんの味方だぜ! アンタのエネココアは美味かったが、それとこれとは話が別だ!」


 あくまでニコニコと笑っているエルに対し、したっぱのうち1人は挑戦するようにビシッと指を突きつける。その相棒らしきもう1人も、少し遅れてからエルに指を突きつけてきた。


「オレたちがアンタを追い出せば、グズマさんに褒めてもらえてご褒美も貰えて一石二鳥だぜ! さあ、俺たちと勝負しやがれっ!」


「勝負するっスカ!」


 モンスターボールを取り出して、自信満々に勝負を挑んできたしたっぱ2人に、エルは思わず笑ってしまった。トレーナーではないエルにとっては危機的な問題なのかもしれないが、目の前の2人は見るからに不良ぶっているごく普通の少年といった印象で、どうしても微笑ましく感じてしまう。臆病な性格でバトルを怖がるマーシャですら、怯えずに首をかしげているほどだ。


「うーん、でもわたしはトレーナーじゃないし、わたしのマーシャはバトルできないしなー」


「ぐぅ」


「え、えぇ……!? ま、マジかよ、ポケモン持ってんのにバトルできねーのかよ!」


「じゃあ仕方ないから、バトルはやめるっスカ!」


 案の定というか、エルが半笑いでそう答えると、したっぱたちは渋々といった様子で、手に取ったボールをポケットに仕舞った。そのあまりにも素直な態度に、エルは堪えきれずに吹き出してしまう。2人はエルが何故笑ったのか理解できないようで、更にきょとんとした表情を浮かべた。


「あー、グズマといいキミたちといい、ホントに憎めない子だね! ところで、2人はどっか行くとこだったんじゃないの?」


「あっ、そうだった! センパイのスリープが新しく覚えた技を、見せてもらうところだったんじゃないっスカ!」


「そ、そういえばそうじゃねーか! 仕方ねーから、アンタを追い出すのはまた今度にしてやるぜ! 行くぜ相棒、オレの愛しのスリープの底力を見せてやる!」


 当初の目的を思い出したらしい2人は、去り際にエルに向かって奇妙なポーズを見せてきてから、軽快な足取りでどこかへ駆け出して行った。風のように去っていく2人を見送りながら、エルはとうとう我慢できずに思いっきり声を上げて笑いだす。


「…あーっはっはっは! あーおかしい、ホント憎めない!」


「ぐっぐっぐっ!」


 腹を抱えて笑うエルにつられるように、マーシャは小刻みに鳴き声をあげた。



* * *



 それからしばらく経ち、ポータウンを囲む壁の外に出てきたスカル団のしたっぱ2人は、それぞれ向かい合ってお互いのポケモンを出した。


「いけ、スリープ!」


「来いっス、ズバット!」


 ポンッ、というボールの起動音と共に、それぞれのボールからスリープとズバットが姿を現した。スリープはトレーナーによく似た自信満々な表情を浮かべ、軽くジャンプして準備運動を始める。一方のズバットは、「ギャウ、ギャウ!」と甘えるような鳴き声を上げながら、自身のトレーナーの周りを飛び回っていた。


「よーし! それじゃあさっそく新技だ、スリープ!」


「すりぃ!」


「うわ、待ってくれないっスカ、センパイ! ズバット、バトルするから前に出るっスよ!」


「ギャッ!」


 どうやら、スリープが新しく覚えた技を試すため、これからバトルを行おうということのようだ。トレーナーに命令され、ズバットは意気揚々とスリープの前へ飛び出る。すると合図らしい合図も無しに、早速スリープが攻撃を仕掛けてきた。


「いくぜスリープ、『どくガス』だ!」


「うわあっ、ちょっとタンマ、タンマっス!」


 いきなり技を繰り出したスリープに一方が狼狽しているうちに、スリープの鼻の先から濃い紫色のガスが放出され、辺りに『どくガス』が広がる。技を出したスリープは、自信満々といった風に胸を張った。


「どうだ、オレのスリープの『どくガス』は!」


「すりぃ!」


「うわああ、めっちゃ強そうじゃないっスカ…! ズバット、大丈夫っスカ!?」


「…ギャア?」


 一方、トレーナーの心配もよそに、ズバットは平然とした様子でパタパタと翼を動かしている。『どくガス』が効いているようにはとても見えないその様子に、ズバット以外の2人と1匹は驚いたように眼を見開いた。


「な、なにーっ!? スリープの技が効いていないだとーっ!?」


「すりぃ!?」


「おおお! やるじゃないっスカ、ズバット!」


「くそっ、スリープ! もう一回『どくガス』だ!」


 トレーナーの指示を受け、スリープはもう一度『どくガス』を放出する。辺りを更に濃いガスが覆うが、やはり『どくガス』がズバットに効いている様子はなく、ズバットは暇を持て余して欠伸を浮かべている始末であった。自分の技が効いていないことに、スリープはすっかり困惑しているようだったが、それでも意地を張るように『どくガス』を繰り出し続ける。


「き、効いてねえじゃねーか! オマエのズバット、なんかズルしてんじゃねーのか!?」


「そ、そんなワケないじゃないっスカ! ズバットはそんなズルい真似しないっスカらね!?」


「ギャッ、ギャッ!」


「くそっ、こうなりゃスリープ! ズバットを『ねんりき』で……」


「す…すりぃ……」


 すると突如として、スリープがふらふらとよろめいて、その場に倒れ込んでしまった。


「す…スリープ!?」


 驚いたしたっぱ2人とズバットは、すぐさまスリープに駆け寄る。倒れ込んだスリープを起こしてみると、攻撃されていないにも関わらず体力がほとんど無いようで、力なく鼻の先を動かしていた。


「お、オイ! スリープ、しっかりしろ! どうしちまったんだよォ〜!?」


「うわ、うわあああ、センパイのスリープが〜! どどどどど、どうしよう〜……!」


「ギャウ!」


 想定外の事態に2人ともすっかり混乱してしまい、倒れたスリープの周りであたふたと慌て始める。するとズバットが、自分のトレーナーのタンクトップの裾にがぶりと噛みつき、ぐいぐいと引っ張った。どうやら自分の主人を落ち着かせようとしているようだ。


「ず、ズバットぉ〜! いったいどうしたら……」


「ギャウ、ギャウ!」


「…あ、そ、そうだ! オレ、誰か呼んでくるっス!」


 ズバットに叱咤されて落ち着きを取り戻したのか、したっぱの1人はおぼつかない足取りながらも、壁の向こうのポータウンへと走っていった。1人残されたスリープのトレーナーは、自分の相棒とその後ろをついていくズバットを見て、半泣きでスリープを抱きかかえる。


「た、頼んだぜ、相棒〜……!」



* * *



「え、エネココアのおねーさーんっ!」


 つい数十分前に去っていったしたっぱのうち1人が、慌てた様子でポケモンセンターに駆け込んできたので、エルとマーシャは驚いて掃除する手を止めた。ここまで走ってきたのかぜえぜえと息を切らす彼と、そのパートナーらしきズバットのもとへ駆け寄ると、必死の様子でしがみつかれる。


「だ、だずげでぐだざい〜っ! センパイのスリープがァ〜っ!」


「お、落ち着こうか。ほら、ひとまず泣くのやめて、深呼吸してみ?」


「す、すーはーすーはー……」


 エルの顔を見たら安心したのか、堰を切ったように泣き出してしまった小さな少年に、これはただごとではないなとエルは予感する。数回ほど深呼吸をして落ち着いたのか、彼はエルに事情を説明し始めた。


「お、オレとセンパイでバトルしてたら、センパイのスリープがいきなり倒れちゃったんスよぉ! お、オレのズバット、まだ攻撃してなかったのに…!」


「ギャウ…」


「倒れた? スリープはなんの技を出したの?」


「えっと…確か『どくガス』っス…」


 したっぱがそう答えると、エルは何かに納得したように唸って、足元にいたマーシャに視線を向けた。


「マーシャ! モモンかラム、探してきて!」


「ぐ!」


 エルが強い語気でマーシャにそう告げると、マーシャは返事をするように一鳴きしてから、さっそくポケモンセンターを出てどこかへ走っていった。エルは手に持っていたモップをその辺りに放り投げ、したっぱを連れてポケモンセンターから出る。


「キミ、スリープのところに案内してくれる?」


「あの、スリープ大丈夫っスカ? なんかヤバイ病気とかじゃ…!」


「大丈夫、死んじゃったりするようなことじゃないよ。とにかく、すぐにマーシャも来てくれるから、急ぐよ!」


「う、ウッス!」


「ギャッ!」


 ズバットが先頭を飛び、その後ろにしたっぱとエルが続き、2人と1匹はスリープとそのトレーナーが待つポータウンの外へと向かった。



* * *



「あ、相棒〜ッ! スリープが更に弱ってきてる〜ッ!」


 次第に目の焦点が合わなくなってきたスリープを抱きかかえながら、したっぱが半泣きで叫ぶ。すると、ちょうどそこへ彼の相棒であるしたっぱとズバットが、エルを伴って戻ってきた。真っ先にスリープのもとへ飛んできたズバットが、心配そうにスリープの頭上を飛び交う中、エルはスリープの主人であるしたっぱの頭にポンと手を置く。


「はいはい、泣かない泣かない。スリープは大丈夫だよ」


「アンタ、エネココアの……! だ、大丈夫なモンかよ、こんなに辛そうなのに……!」


「ぐーッ!」


 したっぱが八つ当たり気味にそう叫んだ途端、ポータウンから凄まじい速さでマーシャが走ってきて、エルのもとへ駆けつけた。その速さといったら、ぐすぐすと嗚咽していたしたっぱですら、一瞬言葉を失ったほどだ。
 マーシャがエルの前でフルフルと身体を揺らすと、その毛並みの中に隠していた幾つものモモンのみが落ちて、エルの足元に転がった。エルはそのうちの1つを手に取ると、表面についた汚れを綺麗に払ってから、スリープの口元に運ぶ。


「スリープ、食べられる?」


「…すりぃ……」


 目の前に差し出されたきのみを食べようと、スリープは小さく口を開けた。エルは食べやすいようにモモンのみを2つに割って小さくし、その片方をスリープの口の中に入れてやる。スリープがもごもごときのみを食べ、飲み込んだことを確認すると、もう一方を同じようにスリープの口に入れた。


「これでよしっと! マーシャ、たくさん取ってきてくれてありがとね」


「ぐ〜♪」


「…す、スリープ、大丈夫か?」


「すりぃ」


 モモンのみを食べ終えたスリープは、先ほどまでの弱りようからは幾分かマシになったのか、落ちているモモンのみを拾ってもぐもぐと食べるほどには回復したようだった。それを見たしたっぱ2人は心から安心したように脱力して、2人してスリープに抱き付いた。


「スリープ〜!! 無事でよかった、ホントによかったぜ〜っ!!」


「ホントに心配したんでスカらね〜!!」


「すりぃ!」


 スリープは抱きしめられたことが嬉しいのか、それともモモンのみが美味しいのか、幸せそうに眼を細めて短い鼻を揺らしていた。ズバットが嬉しそうにスリープの頭上を飛び回っていると、スリープはズバットにもモモンのみを差し出して、2匹してモモンのみを食べ始める。その様子を、エルとマーシャは微笑ましく見ていた。


「…でも、どうしてスリープがいきなり倒れたりしたんでスカね?」


「そういえばそうだな、ズバットから攻撃されたワケでもないのに…」


「あー…。多分だけど、自分が使った技が原因だろうねえ」


「「へ?」」


 エルが言いにくそうに呟いた言葉に、したっぱ2人が首をかしげる。エルはスリープの鼻先についたモモンのみの果汁を拭ってやりながら、気まずそうに笑った。


「技を覚えて間もなくだったり、そもそもバトル自体が得意じゃないポケモンは、自分が繰り出した技を上手く扱えないことがたまにあるんだよ」


「え……つまり、どういうことっスカ?」


「つまり、そのスリープは自分が使った『どくガス』を吸い込んじゃって、毒状態になったんだろうってこと」


「「えぇ〜〜〜っ!?」」


 思いもよらなかった事実を明かされ、したっぱ2人は間抜けな叫び声を上げながら驚いた。まさかポケモンが、自分が繰り出した技で自滅するなどということ、夢にも思わなかったのだろう。
 しかし、一番驚愕しているのはしたっぱではなく、毒状態になった張本人のスリープの方であった。スリープはショックのあまり、それまで齧っていたモモンのみを取りこぼし、落ち込むように俯いてしまう。


「す…すりぃ……」


「お、落ち込むことないぜ、スリープ! お前にはまだ『さいみんじゅつ』もあるし『ねんりき』もあるだろ!」


「そ、そうっスよ! オレのズバットも、一回もセンパイのスリープに勝ったことないんスカら!」


「ギャッ、ギャッ!」


 全身全霊でスリープを励まそうとする2人と1匹に、エルはいけないと思いつつも、込み上げる笑いを抑えることができなかった。スリープのトレーナーであるしたっぱが「笑うんじゃねー!」と怒ってきたので、エルは堪えながら「ごめんごめん」と謝る。


「大丈夫だよ。スリープは『どくガス』を覚えたてだったから、慣れてなかっただけだろうし。ちゃんと練習すれば、問題なく使えるようになるよ」


「すりぃ…」


「このモモンのみ、スリープにあげるからさ。もし間違って自分が毒状態になっちゃっても、これならすぐに回復できるでしょ?」


「ぐ!」


 マーシャがモモンのみをくわえて、落ち込むスリープの足元に置くと、スリープは鼻をすすりながらモモンのみを手に取った。少しだけ元気を取り戻したスリープを見て、したっぱ2人は安心したように息を吐く。


「はぁ、よかった〜…。おねーさん、助けてくれてありがとっス!」


「…あざっス」


「いやいや、泣いてる子供を見過ごせるほど薄情じゃないんでね」


「な、泣いてねーし! 子供でもねーし!」


「あっはっは、ごめんごめん! ところで、まだ名前聞いてなかったよね。なんていうの?」


「人を泣き虫扱いするヤツには教えてやらねー!」


 鼻声で虚勢を張るしたっぱに、エルはまたもや吹き出しそうになったが、寸でのところで堪えた。


「じゃあ、ズバット使いの方はスカちゃん、スリープ使いの方はボーちゃんって呼ぼうかね」


「は!?」


「おお、おねーさん惜しい! オレの名前、ヌカっていうんス!」


「へー! でもスカちゃんの方がしっくりくるな、そう呼んでいい?」


「ウッス!」


「なんでオレはボーちゃんなんだよ!」


「スカちゃんの相棒だから『ボーちゃん』。あとホラ、『ボーン』も兼ねて」


「イヤだっつーの、そんなマヌケっぽい名前! そもそも、オレにはディアンって名前が…!」


「ほーん、そういう名前なんだねぇ。でもやっぱりボーちゃんって呼ぼうっと」


「ハァ〜〜〜ッ!?」


 ボーちゃん、改めスリープ使いのディアンは、納得できないようにエルにガンを飛ばしてくるが、やはり年幼い印象が抜けない為、エルの目には微笑ましく映った。一方、スカちゃん改めズバット使いのヌカは、あだ名をつけられたことが嬉しいようで、マスクの上からでもよくわかるほど顔が緩んでいた。


「さて、わたしたちは掃除に戻るとするかな。おいでマーシャ」


「ぐ〜」


「あ、おねーさん! お礼に手伝わせてくれないっスカ?」


「お、おい、相棒! オレはそんなことしねーぞ!」


「でもセンパイ、スリープ助けてもらったし、モモンのみも貰ったし」


「うぐっ……! し、仕方ねーな、手伝ってやんよ!」


「あれま、男手が増えるとは頼りになるなぁ。それじゃあお願いしようかな!」


「すりぃ!」


「ギャッ!」


 珍しく晴れたポーの空の下、3人と3匹は白い壁の向こうの街、ポータウンに戻るのであった。












おまけ


「そういや、どうしてスリープの『どくガス』はズバットには効かなかったんスカね?」


「そりゃ効かないよ、ズバットはどくタイプのポケモンだもん」


「「へ?」」


「いやホラ、『どくガス』は相手を毒状態にする技だけど、どくタイプのポケモンはそもそも毒状態にはならないでしょ」


「ま、マジで!?」


「そ、そうだったんスカ!?」


(この子ら、トレーナーなんだよな…? わたしよりポケモンの知識なくて大丈夫か…?)




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