白鳥沢メンバーのプライベート

「ねー、みんなって休みの時とかなにしてんの？」


「天童、そもそも俺らに休みがあった試しがあるのか？」


「休みの日も結局、半強制的に練習に駆り出されるもんな……」


「いやまあ、それを言っちゃあ元も子もないんだけど。それにしたってプライベートな時間くらいあるでしょーよ！ そういう時に何してんのかって話！」


「プライベートなぁ。若利はバレーしてない時、なにしてる？」


「筋トレ、ストレッチ、ロードワークのどれかだな」


「相変わらず期待通りの回答してくれるね、若利君！ 俺はそうだな〜、最近はもっぱらスマホゲーかな〜。親が送ってくれるおこづかい、全部ガチャに使っちゃってさ〜…今月超ピンチなんだよねぇ〜…」


「それは自業自得だろ」


「まあでも、俺も天童と同じでスマホゲーだな。寮暮らしだとそんな大層なもん持ち込めないし」


「俺と隼人君はスマホゲー、若利君はトレーニングと。英太君は？」


「プライベートなぁ……。漫画読んだりゲームしたり、そんなもんだな」


「えー。服のセンスがアレだから、なんかダサい趣味でもあんのかと思ってたのに、結構フツーのDKなんだね英太君」


「ダサい趣味ってなんだよ！！！ ぶっ飛ばすぞ！！！」


「ハイハイ、ごめんごめん。獅音君は？」


「俺は買い物だな。よく服屋とか行くよ、見てるだけでも楽しいし」


「ホラ、見てこのオシャレ感？ 英太君も見習った方がいいと思うよ、主に服のセンスの方を」


「お前ほんとにぶっ飛ばすぞ…！」


「キャ〜、こわ〜い。あ、せっかくだから空知ちゃん達にも聞いてこよ〜！」ﾋﾟｭｰｯ


「待てやコラ、逃げるんじゃねえ！」ﾀﾞｰｯ


「覚、楽しんでるなぁ」


「？」












空知小鳩の場合


「プライベートで何してるか？ うーん、何もない時は基本的に勉強するようにしてるけど……」


「うっわ、マジで！？ 空知ちゃん賢二郎みたいダネー！」


「私も白布くんも、スポーツ推薦じゃないからね。ある程度は自力でキープしておかないと、みんなみたいに大目に見てもらえないし……」


「いや、俺らもヤバイ成績取ったら監督に殺されるから、ある意味必死だけどな……」


「あとは、家の手伝いしたり、お茶したりかな。女バレのみんなと一緒にカフェとか行ったり、評判のお店行ったり」


「お、おぉ、女子っぽい……。空知、そういうの好きそうだもんな」


「ご、ごめん、ミーハーだなってのは自分でもわかってるんだけど…！ でもやっぱり、美味しいもの食べると疲れも取れるし。良いリフレッシュになってると思うよ」


「いやいや、良いことだと思うよ！ 少なくともガチャに金つぎ込むよりは健全デショ！」


「廃課金ユーザーのお前が言っても説得力ねえな」


「お、お金は大事にしないと駄目だよ、天童……」








鷲匠巴の場合


「普段なにしてるか？ まず筋トレだろ、それからストレッチだろ、あとロードワークだろ、それから……」


「巴といい若利君といい何なの？ 動くのをやめたら死ぬの？ サメなの？」


「いや、ある意味バレーボーラーとしては正しい姿だろ……」


「あとはそうだな、犬と遊んでる！ そんくらい！」


「犬？ 巴んちって犬飼ってんのか？」


「おう、土佐犬飼ってる！」


「え、土佐犬ってあのデカくておっかないヤツ？」


「ジジイがちゃんと躾けたから、大人しくていい子だぞ？ 人懐っこいし利口だし、散歩に連れてくとめっちゃ尻尾振ってきて、可愛いんだよなー！」


「鍛治君はやっぱり、選手も犬もとにかくデカいのが好きなんだねー。名前はなんていうの？」


「『ヨシツネ』！ 命名はジジイ！」


「なにその『鍛治君、ただ単に源義経が好きなだけ説』の裏付けみたいな名前は」


「ああ、『牛若丸』だからな……」







諏訪こはくの場合


「勉強。以上」


「はやっ！ もっと話を広げようよ、諏訪ちゃん！」


「私のプライベートとか、知ってどうするつもりなのよ。真面目に話したところで事あるごとに話に持ちだされるのがオチ、特に天童の場合は」


「お前すっかり嫌われてるな、一体なにしたんだよ？」


「アレかな〜、初めてあった時に『アレッ、小学生？ 誰かの妹カナ〜？』って言っちゃったのがマズかったんだろうな〜」


「人の地雷を踏み抜くのが得意だなお前」


「第一、私は瀬見とかと違って高校でバレー辞めるんだから、受験勉強に備えるのが当然でしょうが。むしろなんで天童は勉強してないのよ」


「ギクッ」


「そういえばそうだな！ お前、春高終わったらバレー辞めるって宣言してたよな？ その後のこととかちゃんと考えてんのか？」


「プライベートなことなので質問にお答えできませーん」


「人には散々聞いといて何だその態度」











戸鷹沙羅・杏樹の場合


「ウチらは音楽聞いたりー、寮抜け出してライブ行ったりー」


「内緒で持ち込んだギターとベースの練習したり、そんな感じー」


「戸鷹姉妹ってほんと音楽好きだよねー。軽音部とか行きそうなのに、なんでバレー始めたの？」


「中学の時は軽音行こうとしてたんだけどねー。でも当時の軽音部の顧問が『早死にしないロックンローラーはもはやロックではない主義』のヤツでさー」


「作り手側が歳をとって円熟味をましたロックの魅力がわからない思考停止ヤローのもとで音楽はしたくないと思った結果、バレー部に入ったというワケですよ」


「思っていた以上にガチの音楽好きなんだなお前ら……。まあ最終的に、戸鷹たちにはバレーも合ってたと思うけどな」


「でも他の子らと違って、『バレー以外には浮気しません』的なタチじゃないからさー」


「ちょっと新しいスポ根JKの在り方を提唱しようと思って、色々試してるんだよねー」


「最近はDJアプリとかを使って、部屋の中で『戸鷹ナイト』なるイベントを開催してるよ」


「寮の部屋の照明とか魔改造してクラブっぽい雰囲気にして、後輩とか呼んで毎晩踊ってるよ」


「学生寮で何やってんだお前ら」


「何ソレ、めっちゃ行きたいんだけど！ 俺も呼んでヨー！」


「いずれは合宿の夜とかに教室まるまるクラブ風にして開催しようと企んでる」


「スポ根とパリピは両立できるんだぞっていう新たな在り方の提唱だよ」


（なんだか深いことを言ってるように聞こえるが、ただ単に遊びたいだけだろ……）








おまけ
別に読まなくても全く問題ない白鳥沢3年女子の家族設定

・小鳩
両親と小鳩の3人家族。父親はコーヒー豆や香辛料を専門に扱う輸入食品会社の社長。母親は元CAで現専業主婦。自宅はお高いマンションで、海外で購入したオシャレインテリアがそこかしらにある。

・巴
祖父母、両親、巴の5人家族。父親は元白鳥沢バレー部のWS、現体育教師。母親は鷲匠監督の娘で、元白鳥沢のマネージャー、現栄養士。愛犬は土佐犬のヨシツネ(♂・去勢済み)。自宅は白鳥沢の近くにある一軒家で、庭には烏養家みたいにコートがある。

・こはく
祖母、両親、こはくの4人家族。両親共に小学校教師。実は獅音とはご近所さんで、幼稚園の頃からずっと一緒の学校。自宅はごく普通の住宅街にある一軒家。

・沙羅＆杏樹
両親、双子の4人家族。父親はスタジオミュージシャンのベーシスト、母親はジャズバーのオーナーで元シンガー。自宅は埼玉にある一軒家で、レコーディングルームがある。