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白鳥沢メンバーの中学生時代



「みんなの中学時代のアルバムが見たい!」


「また始まった、天童の思い付き」


「だって気にならない? 若利君にも身長165cmだった時があったんだよ? 国語の授業で『そうかそうか、つまり君はそういう奴だったんだな』って音読してた時があったんだよ? 見たくない?」


「俺は小6の時点で170cmはあったが」


「若利君、マジレスやめて! とにかくみんな、明日の練習は中学時代の卒業アルバムを持ってくること! 持ってこなかったら罰ゲームとして、懐かしの一発ギャグやってもらうからね!」


「そう言うんだったら天童も持ってこいよな」


「俺、寮生だもん〜。卒アル実家だし〜」


「きったねえなお前!!」


「仕方ないなぁ。俺と英太と若利は中等部出身だから、俺が一冊持ってくればいいだろ」


「あっ! そういえば巴と諏訪ちゃんも中等部組だから、獅音君のアルバムで見れるわけじゃん! せっかくだから空知ちゃんとか戸鷹姉妹とかにも持ってきてもらお〜」


「ますます天童だけ持ってこないってのが腹立つな…」


「山形もだぞ」


「若利、俺を矢面に立たせるな! 俺も寮生なんだから仕方ねえだろ!」














翌日


「「ほい、卒アル」」


「うわっ、マジで持ってきたのかお前ら!」


「沙羅と杏樹はともかく、私の卒業アルバムなんて見ても面白くないと思うけど…」


「いや、むしろ空知ちゃんが一番気になるデショ〜! それじゃ早速、15歳の空知ちゃんとご対面〜!」ペラッ


「えっと…これか! って、空知の髪が長えぞ!?」


「高校入るまでずっと伸ばしてたから…。白鳥沢のバレー部に入る前に、心機一転と思って髪を切ったの」


「中学の時、小鳩の学校と一回だけ試合したけど、その時は髪長かったもんな!」


「へぇ、でも似合ってるよ。なあ若利?」


「えっ!? え、いや、お、大平くん! そ、そんな牛島くんにそんなこと…!」アタフタ


「俺は今の空知の方がいいと思う」


「はっ…はひっ…!?」


「あれだけ長いと、動くときに邪魔だろう。今ぐらい短い方がバレーをする分にはいいと思うが」


「あ、そういう意味か…。ほんとぶれねえな、若利…」


(う…牛島くんが『今の私の方が良い』って言ってくれた…! 私、もういつおばあちゃんになってもいい…!)プルプル


「本人は感激のあまり震えてるからいーんでない?」


「でも、空知この頃から身長高けえな。何センチあった?」


「えっと、この写真を撮ったのが4月頃だったから…173cmはあったと思うけど」


「「よかったじゃん山形、1cm勝利」」


「戸鷹テメェ、中3でようやく170cm台へ乗ることができた俺をディスってんのか」


「で、でもこの頃は今みたいにバレーをちゃんとやってなかったんだよ! 中学はそこまで強いチームじゃなかったし、私も部活が強制だったから入ったようなもので…。今思うと勿体無い時間を過ごしてたな…」


「でも、今はウチの正セッターで主将なんだし、いいじゃんか! 小鳩はもっと自分のトスに自信持つべきだぞ!」


「巴…!」ホロリ


「「それじゃ、いい話で締めたところでウチらの卒アル解禁〜」」ドサッ


「この流れでそのノリを保てるお前らが凄えわ…。まあ見るけど、どれどれ…」


「…え? どれ?」


「これだよ、同じ顔してるっしょ」


「…は!? このツインテールの!?」


「うっそぉ!? ベ◯メタの両サイドの子みたいなんだけど!?」


「しかも身長めっちゃ小っちゃいじゃん!! 嘘ついてんじゃねーの!?」


「失敬な、ちゃんと160cmはあったわ」


「うちらも小鳩と同じで、高校入学前に髪切ったんだよね。かわいいっしょ、ツインテール」


「うえええ、絶対詐欺だろ…! っていうか、お前らいつからそんなデカくなったんだよ…」


「なんか、5月くらいから一気に身長伸びてきてさー。中3の1月くらいに170cm突破した感じ」


「それまでうちらライトでレシーバーやってたけど、にょきにょき伸びるからミドルに転向してみたら、ご覧の有様ですよ」


「え、レシーバーだったんだ!? ぶっちゃけレシーブはそんなでもないじゃん?」


「いや、前はレシーブそこそこだったんだけど、身長伸びてから思ったようにできなくってさ」


「昔は普通に構えててもボールの下に入れたんだけど、デカくなってからはめっちゃ腰落とさないと入れなくなっちゃったから」


「あー…それは仕方ねえな。でも、戸鷹たちって確かスポーツ推薦組だろ? 桃ちゃんに代わる前の監督って、バリバリの高身長高能力主義だったのに、よく推薦取れたな」


「前監督的には『身長伸びてくれたらラッキー』ぐらいのギャンブル感覚で推薦してくれたらしいよ」


「なのに入学した時に『ある意味お前ら詐欺すぎるだろ』って言われた」


「だろうな!」


「ま、沙羅も杏樹もめっちゃ良いブロッカーなんだし、結果オーライじゃん! でもレシーブはもうちょい頑張れよ! 泉澄にばっか頼ってないで!」


「「いやん、巴マジぐう聖〜」」


「…そういや、やけに戸鷹たちが自由だと思ったら、諏訪がいねえのか。なんで今日はいないんだ?」


「なんか昼休み、諏訪ちゃんに卒アル見るよ〜って言ったら『私のいないところで見ろ、さもなくば殺す』って言われたから」


「なんでそんな殺気丸出し!?」


「その答えはこの卒アルにあるだろうな」ペラッ


「そういえば、私もこはくの中学時代は知らないな…。白鳥沢と試合した時も、こはくは控えだったし」


「どれどれ、諏訪ちゃんの写真はどこに…!?


「どうした天童…って、もしかしてこれ諏訪か!?」


「「くっそ髪短くね?」」


「空知ちゃんと戸鷹姉妹とは真逆の衝撃だわ〜! 今の巴ぐらいしかないじゃん!」


「中等部の女バレは、全員髪短くするってのが伝統だったからなぁ」


「なんだその悪習、今もそうなのか?」


「桃ちゃんが監督になったばっかりの時、中等部の監督に『えっ、髪切らせてるんですか? 本人の意志は関係なしに? どんな理由で?』ってニコニコしながら聞いたら、何も答えられなかったらしくて、そっからちょっとずつ緩くなってるらしい!」


桃ちゃん怖っ…若利君といい、悪意ないのってほんと最強だねー」


「諏訪は身長低いのと髪短いので小学生男子に間違われることが多かったらしくて、その頃の話すると嫌そうにするんだよな」


「ああ、それであのマジ殺気なんだ…」


「ってことは、もれなく鷲匠も髪が短かったわけだ」


「おう!」


「って今と全然変わってねーじゃん」


「巴、今も昔も髪短いもんね…」


「だって髪長いと、汗で髪が顔に張り付いたりするし、邪魔じゃん」


「せっかく桃ちゃんが中学の方も改革してくれたってのに」


「まあ、巴らしいといえば巴らしいけどな…」















「男バレ期待のエース、五色工と!」


「女バレ期待のサーバー、折瀧志弦が聞く!」


「「3年生の中学時代面白話〜!」」


「「ちょっとー、ハモリはうちらのお株なんだけどー」」


「早速ですけど戸鷹さん! 中学時代の面白話を聞かせてください!」


「面白話なんてないよ、うちら地元じゃ美少女双子姉妹として有名だったんだよ」


「埼玉のマナカナと呼ばれ高嶺の花扱いだったんだよ」


「ウソつかないでください、さっきの卒アル見ましたけど集合写真で2人だけ白目剥いてましたよね!? 完全に面白双子枠ですよね!?」


「っていうか、沙羅さんと杏樹さんって埼玉出身なんですか?」


「そだよ、埼玉生まれ埼玉育ちのさいたま市民だよ」


「ってことは、天童さんとか山形さんとかと同じで寮生ですよね? なんで卒アル持ってるんですか?」


「決まってんじゃん、2人知らぬ土地で一からスタートするのに、心細さに負けないようにと持ってきたんだよ」


「涙で枕を濡らした夜も、昔の仲間の写真を見て『頑張ろう』と思いながら今日まで乗り越えてきたんだよ」


((絶対ウソだ…!))








小鳩の場合


「面白話か…そんなに面白くないかもしれないけど、忘れられない話でもいい?」


「はい、どうぞ! 小鳩さんだったら沙羅さん杏樹さんと違って、まともな話が聞けそうね!」


「えっとね、私の中学ってカトリック系の女子高で…。中2の時の文化祭で、私のクラスは劇をすることになったんだよね」


「おっ、宝塚ですか!?」


「ち、違うよ! ウチの中学の伝統で、聖書の一説を劇にすることになったの。それで、なんでか私も出ることになったんだけど…。私がイエス・キリストを演じるか、聖母マリアを演じるかで、票が真っ二つに割れて…けっこう深刻な対立構造ができちゃって…


「あ…なんか予想できてしまう…」


「あの時は本当に学校に行きたくなかったね…。でも仕方ないし、どっちを選んでも軋轢は避けられないから、いっそ別の役をやれば上手く収まるんじゃないかと思って。キリストを裏切るユダの役をすることにしたの」


「おぉ、ダーティな空知さん…! それでどうなったんですか!?」


「…それが、カトリック系の学校なのにユダの株が上がりに上がって…。文化祭の後、学校内でユダの福音書が流行りに流行ったんだよね…」ズーン


「「あっ…(察し)」」


「もう何をしても裏目に出るんだなって、あの時のことは忘れたくても忘れられないな…」←遠い目








巴&こはくの場合


「中学ん時はバレーしかしてないな! だから面白話とかあんまないわ!」


「上に同じく」


「ええっ、そんなハッキリと…! バレーしてた中で面白話とかあるんじゃないんですか?」


「ウチらの時代の中等部女バレは、今の高等部とは雰囲気ぜんぜん違かったからね。練習外でもヘラヘラしてようものなら『たるんでんじゃねえ』って言われてたよ」


「な、なんか随分古いタイプの部活だったんですね…今じゃ考えられない…」


「ま、色々あったけど、昔の話だからな。五色と志弦は中学時代、どんなんだった?」


「「そりゃもちろん、華麗なる活躍を遂げてましたとも!」」ドヤッ


「お前らほんと、沙羅と杏樹かってほど息ぴったりだな!」


「「だからウチらのお株じゃんそれー」」











白鳥沢中等部女バレの話ですが、今後本連載で少し触れる予定です。
いつになるかわかりませんが、乞うご期待!


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