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 大平監督の企画会議



性懲りもなく映画ネタです。






「さて、期待の新人五色も新しく仲間に加わったことだし、そろそろ大平組も次回作の撮影に入ろうと思うんだが」


「いつも思うんだけど、この映画ネタってどういう世界観なの? バレーは?」


「それを言ったら元ネタからツッコミどころ満載だからな。というワケで企画会議を始めるぞ!」


「えっと、会議メンバーは白鳥沢からは監督の大平くん、脚本の天童、照明の瀬見くん、録音の白布くん、それから出演の私と巴ね。あと他校からは美術の鎌先くんと撮影の西谷くん…ってあれ? 西谷くんは?」


「あ、西谷は俺の作品の追撮(※1)に、赤葦くんと一緒に行ってもらってますんで。代わりに製作を担当することになった俺、縁下が参加させてもらいます」


※1=撮影期間内に撮りきれなかったり、後から付け加えたシーンを、後日追加で撮影すること。


「あ、こないだ『CROWS ANGELS』見たよ! めっちゃ面白かった! 次はあたしも出たい!」


「お前は『CROW』じゃないだろ、強いて言うなら『EAGLE』だろ」


「はいはい、話が進まないから感想は後でな。じゃあ会議進行役は白布に任せた」


「わかりました。それじゃあ獅音さんの最新作ですが、企画は既に決定してます。ずばり『五色の主演映画』です」ムスッ


「めっちゃムスッとしてんのね賢二郎」


「スクリーンに写るだけで五億点の空知さんや、役に入り込んだ瞬間のパワーが桁外れの鷲匠さんと較べて、五色はハッキリ言って実力不足ですから。ゴリ押しキャスティングにも程があります」


「お前なぁ…。五色はこれが初めての映画出演なんだし、その辺を支えるのが俺たち裏方の役目だろ。獅音だってその辺のことはちゃんと考えてるよ」


「ますますバレーが迷子になってるんだけど、これなんてSHIROBAKO?」


「で、結局どうすんだー? 俺らは美術作るだけだから、ストーリーとかは専門外だぞ」


「せっかくだから、五色にしかできない役をやらせたいし、五色だからこその映画を撮りたいな。縁下くん、同じ監督としてはどう思う?」


「そうですね…こんな映画はどうでしょうか?」






タイトル『セッション(仮)』

バレーボールに熱中する少年、五色工はバレーの名門、白鳥沢学園バレーボール部の監督、鷲匠鍛治にスカウトされ、単身白鳥沢までやってくる。
ここで成功すれば偉大なバレーボール選手になるという野心は叶ったも同然。
だが、待ち受けていたのは、天才を生み出すことに取りつかれた鷲匠の常人には理解できない〈完璧〉を求める狂気の練習だった。
浴びせられる罵声、仕掛けられる罠…。五色の精神はじりじりと追い詰められていく。
恋人、家族、人生さえも投げ打ち、鷲匠が目指す極みへと這い上がろうともがく五色。しかし…。






「却下!!! 五色になんて映画をやらせるつもりだお前は!!!」


「さ、さすがにそれはちょっとどうかな…。五色くんは白鳥沢に来たばかりで、これから全国に向けて頑張ろうって時なのに、そのストーリーはちょっと洒落にならないっていうか…」


「や、やっぱり重かったですかね…渾身のネタだったんですけど…」


「面白そうだけどな! あたしはその映画見てーぞ!」


「あ、ありがとうございます、鷲匠さん…(ガサツそうな人だと思ってたけど、案外優しいんだな…)」


「縁下カントク〜他にネタないの〜?」ギロッ


「えっ、そ、そうですね…」ビクッ


「そういう天童こそ、脚本担当じゃんか! なんかネタないの?」


「えー? そうダネ〜…せっかくだからバレー関係ない映画とかの方がいいんじゃん? 例えばこんなんとか〜」







タイトル『キック・アス(仮)』

五色工はスーパーヒーローに憧れる少年。
誰もヒーローになろうとしないことに疑問をもった彼は、自分で本物のヒーローになろうと思い立ち、ネットで買ったスーツを着てヒーロー活動を開始する。
あるとき五色は3人組に襲われていた男を救い、その模様を撮影した動画はやがてYouTubeにアップされて話題を呼び、五色は一躍有名人に。
ある日、悪漢に悩まされている女性から連絡を受けた五色は、早速悪漢を退治せんと悪の拠点へ。
だが、そこで出会ったのは、本物のスーパーヒロイン"ヒットガール"だった…。







「却下」


「なんで!? 良くない!?」


「面白そうだけど、俺はアクション系の演出苦手だからなー。あと今は本格アクションをやる予算が無い」


「それに、誰がヒットガールやるんだよ。あれの元ネタって11歳って設定だろ」


「それは若利君の幼馴染チャンとかにお願いすりゃいいじゃん、あの子だったらアクションも大丈夫っしょ?」


「あー、今は外部に出演を依頼できるほど予算無いからな。なるべく身内の中で済ませたい」


「だから何なのその無意味なリアルさ?」


「縁下さんの案なら、そんなに予算をかけずに済むんじゃないんですか? ロケ地は白鳥沢で済むし」


「それだと俺ら美術の仕事が減っちまうじゃねえか! 安く仕上げるから、もうちょっと仕事のし甲斐があるネタにしてくれ!」


「あっ! あたし思いついた! こんなんどう?」






タイトル『デビルマン(仮)』

五色工は、ごく普通の少年であったが、ある日地球の先住人類「デーモン(悪魔)」が復活し、地球を人類から奪い返そうとしていることを知る。
デーモンの超能力を取り入れて戦わなくては人類に勝ち目はない。デーモンと合体し、人間の正義の心がまさればデーモンに心を支配されることはないという。
かくして五色はデーモンと合体し、悪魔の力と人間の心を持つデビルマンとなることに成功する。果たして五色の運命は…。








「みたいな感じ! どうよ!? かっこよくね!?」


「うん、確かにそのストーリーはかっこいい。ただしそれを実写映画化するのは壮大な死亡フラグだ


「もうなんか面倒なんで、この企画はポシャった(※2)ってことでいいですか」


「ご、ごめんね五色くん…私にはどうしようもできないかも…」


※2=企画が途中で頓挫すること






元ネタ映画解説


@セッション
ジャズドラマーの主人公があらすじ通りの運命を辿る、アカデミー賞受賞した傑作洋画。実はまだ見てない。見たい。

Aキック・アス
クロエ・グレース・モレッツが可愛すぎる新世代のヒーロー映画。アメコミ映画wwwとか思ってる奴はとりあえず見ろ。続編もあるよ。

Bデビルマン
鬱展開でお馴染み傑作漫画。管理人はシレーヌ萌え。えっ、実写映画版? そんなものはなかった。




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