ぱちぱちれんさい | ナノ
 クリスマスが今年もやってくる



クリスマス―――
それは恋人たちが愛を語らい、寄り添いあう聖なる日―――






「んなワケねーだろ、合宿だよ合宿」


「クリスマスすっ飛ばして年末まで合宿とか…。俺、実家県外なんだけど、帰省できんのかな」


「いや〜諦めたほうがいいっしょ。俺らのサンタさんはおっかない鍛治くんです」


「プレゼントは地獄の筋トレメニューか…」


「楽しみだな」


「そんなこと言ってんの若利君だけだから」










「さすがにクリスマスに何もないのは可哀想だから、夕飯のデザートにケーキを用意しました」ニコニコ


「「「やったぁー!!!」」」


「小さいケーキだけどね。練習をがんばってるみんなに、クリスマスプレゼントです」ニコニコ


「桃ちゃんがマリア様に見える…。これで明日からの練習頑張れるよ!!」


「なんか特別な感じがして、こういうクリスマスもいいね。みんなと一緒だし、楽しいや」


「ふふ、本当は男子にも差し入れようと思ってたんだけど、鷲匠先生に止められちゃった。『甘やかすな!』って」ニコニコ


「うわ、ジジイの言いそうなことだわ」


「でも可哀想だね。今が一番キツイ時期だし、甘いもの食べたら元気出ると思うんだけど…」


「私もそう思うの。そこで、空知さんと鷲匠さんにお願いがあるんだけど…」ニコニコ


「「?」」












「し…死ぬ…」


「さすがにカレー大盛5杯はヤバいな…。俺ら食べ盛りだけど、許容量を遥かに超える飯を食わされるのはちょっと…」


「練習はキツイし飯もキツイし、長期休みなんてキライ…。早く来い来い3学期…」


「馬鹿だな天童、授業終わってからの土日遠征合宿があるだろ…」


「早く着替えろ、消灯まであと30分だ」


「なんで若利はけろっとしてるんだ…」


ガラガラッ


「よっ、生きてる?」


「うわっ!? な、なんだ!? 巴!?」


「あたしだけじゃねーよ、小鳩もいるよ」


「お、お疲れ様…」


「お前ら何やってんだ!? いきなり窓から入ってきて、っていうかここ男子の部屋…!」


「シーッ! あんまでかい声出してっとジジイに見つかる!」


「鷲匠先生に見つかったらヤバいから…巴、早く渡して」


「はいはい。ほれ、桃ちゃんから!」


「? なんだ?」ガサゴソ


「こ…これは…!」


「「「ケ、ケーキだぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」


「静かにしろっつーの! ジジイに見つかんべ!」


「桃ちゃんが、クリスマスなのに何もないのは可哀想だからって…。人数分あるから、分けて食べてね」


「桃ちゃんさっすが〜! そんじゃ遠慮なく!」


「は〜果物以外の甘いもん久しぶりに食うわ! いただきます!」


「すまないな、眞白先生に礼を伝えてくれ」


「は、はい…!(あぁっ、お風呂上がりの牛島くんかっこいい…! 巴と一緒に来てよかった…!)」


「さて、用事は済んだし帰んべ。小鳩、先降りて」


「うん。じゃあみんな、お休みなさい」


「…あれ? そういえばここ、確か3階じゃ…


「「「!?」」」


「大丈夫、巴が比較的安全なルート知ってるから」


「こちとら3歳の頃から合宿所を遊び場にしてたんだから、ジジイの見回りルートの死角から男子の部屋に行くのなんか余裕だっつーの! じゃあ、また明日なー」


「ひ、比較的ってなんだよ!? って、あいつら配水管歩いてやがる!! やめろよ、危ないだろ!!」


「野生児かよ」


「明日会ったら叱っておこう…いくらなんでも2人とも女の子なんだから…」


「お前たち、食べるなら早く食べろ。消灯まであと15分だ」


「若利君ほんとぶれないのね」











こっから白鳥沢女バレしか出ません。



「合宿といえば? そうコイバナですね」


「という訳で、小鳩と巴の恋愛事情を女バレが田○総一郎ばりに語っちゃうよー」


「やめんか、こちとら疲れてんだよ! さっさと明日に備えて寝ろ!」


「「こはくマジメかー」」


「でも、小鳩さんと巴さんがいないこの隙に語りましょう! 最初の議題はやっぱり天使よりも尊い小鳩さんですよね!」


「美羽、余計なこと言ってないで黙って寝てて」


「泉澄、酷い! ズバリ、小鳩さんの相手は本当に牛島さんor白布でいいのか? ですよ!」


「白布はともかく、牛島は仕方ないでしょ。小鳩が好きになっちゃったんだもん」


「アウトオブ眼中どころの騒ぎじゃないけどねー」


「そもそも、ちゃんと女子と認識されてるかどうかだよねー」


「ぶっちゃけ、小鳩さんの魅力に気付かない牛島さんは目が節穴以外のなにものでもないです。ミジンコが美しく見える美的感覚の持ち主なんじゃないですか?」ビキビキ


「美羽、ミジンコより酷い顔してる」


「私は白布とは結構うまくいきそうだと思うけど。どっちも気遣い屋だし、お互い一緒にいて不快にはならないでしょ」


「そこだよねー。小鳩ってさー、男の三歩後ろを黙って歩く系の完璧すぎる大和撫子タイプだから、男子受けはちょっと悪いよねー。その代わり女子受けスゲーけど」


「やっぱ連載夢主の幼馴染チャンみたいに、思い通りにならないし目が離せないんだけど愛嬌があって可愛いタイプの女の子のが、男子受けはいいよねー」


「小鳩さんは男子受けとか女子受けとか、そういうのを超越した神々に近い存在なのでいいんです!」


「こはくさん、私いい加減つっこむの疲れました」


「ご苦労さん、あんたは休んでいい。…まぁ、小鳩が最終的に幸せならいいよ。失恋に泣くことになるのは避けられないとは思うけどさ…」


「その時は私の胸で思いっきり泣いてもらって、私が慰めてさしあげます!」


「その無い胸で?」


「泉澄ーっ!! それは禁句だって言ったでしょーっ!!」


「じゃ、次は巴かー。みんな、ぶっちゃけどっち派? ウチらは天童派なんだけど」


「瀬見派」


「瀬見さんです!」


「それだけは美羽と同意見で、瀬見さんです」


「「天童人気ねー」」


「だって、天童さん小学生みたいだから、一緒にいて疲れそうですし」


「それに巴はあんなんだから、面倒見てくれるタイプの方がいいでしょ」


「えー」


「天童と巴のカップルなんて、絶対面白いのに」


「デート風景を後ろからずっと見ていたいわ」


「あんたらが楽しみたいだけかい」


「あと、瀬見は巴がいなくても大丈夫そうだけど、天童は巴がいなきゃ駄目そうだから」


「え? どういうことですか?」


「天童が巴を見る目って、なーんかこう好きな女子を見る目じゃないんだよ。いや好きなんだと思うけど、普通の恋愛と違うっていうか」


「…なんとなくわかるかも。だから、やっぱり瀬見の方がいいわ。少なくとも、健康的に付き合ってくれそうだし」


「「こはくったら現実主義ー」」


「はい、この話は終わり! さっさと寝るよ、疲れてんだから!」


「「うぇーい」」








諏訪こはく
何気に拍手連載初登場。白鳥沢女バレ一の苦労人。割と短気。



双子の言ってることってどういう意味?って方は、拍手連載ページの『ちょっとまじめな白鳥沢』というリンクにある話を読んでもらえると、何となくわかるかと思います。



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