◎ ファッションモンスター
「空知ちゃん、巴! これから英太君の服買いに行くんだけど付き合ってくんない?」
「は!? おい天童、俺の服買いに行くなんてたった今はじめて聞いたぞ!」
「だってホラ、俺らもうすぐ卒業で、大学デビューが差し控えてるワケじゃん? 英太君があんな服で華のキャンパスライフ送ってるところ想像しただけで、もうなんかご愁傷さまって感じだし〜」
「堂々と失礼だなお前!!!」「ま、まあまあ……。それならちょうどよかった、私たちも服買わなきゃねって話してたの。今までバレーばっかりで、あんまり私服持ってなかったから」
「別にジャージでもいいんだけどなー。あたしらは大学でもバレーやるし」
「あ、そういえばこの手の話に一番必要なのは若利君! お〜い若利君、一緒に服買いに行こうよ〜! 空知ちゃんが見繕ってくれるって〜!」
「なっ……! ちょ、ちょっと天童……!」アタフタ
「服? それなら必要ない、つい昨日買いに行ったばかりだからな」
「あれま、タイミング悪かったのネ。ちなみに1人で行ったの?」
「いや、
幼馴染に見繕ってもらった」
「「あっ」」「……そ……そうだよね……。私なんかが取り付く島もないよね……」ズーン
「3年間の高校生活で一度も変わらない、空知ちゃんのこの反応も見納めか〜」
「ちっとは反省しろやテメェ!」
某ショッピングモールにて
「ええい、このTシャツならどうだ!?」
「ビミョー」
「お前さっきからそれしか言ってねーだろ!」
「いやだって英太君のチョイスする服がどれもビミョーすぎて」
「そ、そんなことはないと思うけど…。でも、瀬見くんはスタイル良くてかっこいいから、そういう柄物よりもシンプルな服の方が似合うと思うな。こういう白シャツとかならそのまま着てもいいし、カーディガンとかと合わせてもいいし、どうかな?」
「お、おぉ……。空知が言うんだったら間違いなさそうだから、それ買うわ」
「英太君。自分のセンスが信用できないからって、人から勧められたものばっかり着てたら、ますますセンス良くならないからね」
「
うるっせー余計なお世話だ! …ってあれ、巴はどこ行った?」
「あれ、さっきまでここにいたのに……。あ、あそこの売り場にいるみたい」
「……」ジー
「巴、なに見てるの?」
「うわっ、小鳩!? な、なんでもない! なんでもないから!」ブンブン
「なんでもないってことはないでしょ。もしかして、このワンピース見てたの?」
「ち、違うからっ! 確かに可愛いなーとは思ったけど、でもそれは小鳩みたいな美人が着たらの話であって、あたしみたいな男女が着ても意味ないから!」
「そんなことないよ、巴にも似合うと思うよ! ほら、気になったんだったら試着してみよ!」グイグイ
「うわーっ、いいってばーっ! 絶対似合わないし! 服が可哀想だってばーっ!」ズルズル
「……英太君、なんで顔を抑えてんの」
「そういうお前だってそうだろ……。ああいうとこで可愛げ出してくるの、マジで卑怯だろ……」
「巴に対して一瞬でも『可愛い』って思うと無性に悔しいよネー……」
ワンピースは小鳩が巴にプレゼントしてあげました。
「空知ちゃんの私服って、割とマニッシュな感じだよね」
「そうだね、なんだかんだ言って動きやすい服装が好きだから。天童はカジュアルな服が多いよね」
「そうだね〜昔はストリート系のモンばっか着てたからなぁ。大学デビューはキレカジ系でいきたいんだよね!」
「天童は背高くて足長いから、どんなファッションでも似合いそうだと思うなぁ。私も大学生になるんだし、もう少しフェミニンな服買おうかな……」
「おー、さすが花のJD! 俺的には空知ちゃんはコンサバ系が似合うと思いマス、絶対!」
「??????」
「あいつらは何語使って喋ってるんだ……?」
ファッション音痴、瀬見と巴。かくいう私もユ○クロ民でね……。