じゅうまん | ナノ
殺し屋探偵裏話
「スクアーロ君、あれはあれは?」
「あれはスクランブル交差点だぁ!ってかテメェ仕事に来たんだろうがぁ!!何有意義に観光してんだよ!!」
「あれだけ大量の人がいるのに何でぶつからないの?日本人ってやっぱりニンジャなの?」
「聞いてんのかテメェ!!!」
日本観光 東京編
「スクアーロ君スクアーロ君、すごいよあれ見て見て」
「あ゛ぁ?・・・う゛お゛ぉい、着物を来てる日本人に盛り上がるなんざテンプレ通りすぎるだろぉ・・・」
「だってあの服すごくない?絶対動きにくいよ、夜中にあの服装で薬中とあったらどうする気なんだろう」
「日本とイタリアを一緒くたにするんじゃねえ!!!」
「スクアーロ君、ここ何?」
「ここは東京タワーだぁ。観光名所ではあるが実際は大したことのねえただの電波塔だぁ」
「あ、私ローザから聞いたことある。トーキョーには奴隷階級の血で染められた赤い塔があるって」
「う゛お゛ぉい、ミスゥゥゥゥゥゥ!!!何大嘘ぶっこいてやがる!!!」
「・・・犬だ」
「あ゛?・・・柴犬がどうかしたかぁ」
「柴犬っていうんだ・・・。おいでわんこ、ほらほら」
(こいつ犬好きだったのかぁ・・・・・・。長い付き合いだが初めて知ったぜぇ)
「確かアジアの文化って犬の肉食べるんだよね?」
「日本じゃ食わねえよ!!!食うのは一部の国だけだぁ!!!」
「そうなんだ、どんな味がするのか気になってたのに・・・」
「何あれ?」
「あれは雷門だぁ。あれを越えれば浅草っていう演芸が盛んな街に入る」
「演芸?オペラとか?」
「日本の場合は落語だなぁ。落語家っていうパフォーマーが1人でベラベラ昔話をするパフォーマンスをやってる」
「へぇ、見たいなぁ」
「テメェ日本語わかんねえだろうがぁ!!」
「身振り手振りを見れば何となくわかるもんじゃないの?」
「バレエじゃあるまいしわかる訳ねえだろ。落語ってのは日本語特有の言い回しやら言葉遊びやらが盛り沢山で、おまけに落語で使ってる日本語は俺でも完璧にはわからねえ古臭え日本語なんだ。テメェにわかるはずがねえ」
「その口ぶりから察するに、スクアーロ君落語を見に行って玉砕したんだね」
「うるせぇ!!!」
「スクアーロ君、私喉渇いた」
「んだとぉ?仕方ねえ、何飲みたいんだぁ」
「んー、炭酸が飲みたい」
「ったくよぉ、相変わらずテメェは世話の焼ける奴・・・お、丁度いいところに自販機が」
「・・・え?何これ?缶が並んでる・・・」
「こいつは飲み物の自動販売機だぁ。金を入れれば商品が出てくるシステムになってる」
「じゃあこの機械の中に金が入ってるってこと?絶対に金盗られるじゃん、こんな安っぽい鍵一つしかなくて」
「だから日本とイタリアを一緒くたにするんじゃねえっつってんだろぉ!!!日本人は気性が弱いからだれもかれもが盗みをやらかしたりしねえんだよ」
「すごいねそれ、私の住んでるとこなんて薬中か売女か人殺ししかいないのに」
「テメェの住んでるアパートはイタリアでもかなり特殊だがなぁ」
「ここは日本じゃ珍しく活気づいてるね」
「ここは歌舞伎町だぁ。日本の中でも規模のでかい歓楽街で、ヤクザなんかも出入りしてる」
「・・・スクアーロ君、あの何かが住んでるとしか思えないほどでかい髪型をした女は何なの?」
「あれはキャバクラとかいう女が客の接待をするクラブで働いてる、日本じゃ『キャバ嬢』とかいう呼び方をされてるビッチだぁ。あの髪型は・・・日本での流行らしいぜぇ」
「何なんだろうあの髪型。中世のヨーロッパ貴族だってあそこまで凄くはなかったと思うよ」
「あれに関しては俺も全く理解できねぇ」
「テンプーラ美味しい」
「あ゛ー!!天ぷらにそんなに塩を振りかけるんじゃねぇ!!素朴な食材本来の味を楽しむのが日本料理だぁ!!」
「うんほんとに美味しい。同じ揚げ物なのにフライとは違うよね。何で揚げてるの?」
「天ぷらは小麦粉に卵を混ぜたものを衣にして揚げてるんだぁ。庶民的な日本料理の一つだぜぇ」
「こちら松坂牛のステーキになります」
「・・・ちっちゃ。ほんとに肉?」
「いいから食べてみやがれぇ!!どうせお前ろくな牛肉食ったことねぇだろぉ!!」
「失礼な、アメリカンビーフぐらい食べたことあるよ。じゃ、とりあえず一口」
「山葵は辛ぇから大量につけるんじゃねえぞぉ」
「うん」パク
「どうだぁ?」
「・・・・・・・・・」
「ナナシ?」
「・・・今まで私が牛肉だと思っていたものは牛肉じゃなくてサンダルの底だったんだ」
(俺が初めて松坂牛食った時と同じ反応してやがる・・・)
「え、何これ美味しい凄く美味しい。本当に牛肉?笑っちゃうくらい美味しい」
「高え和牛を食わせてんだから当たり前だぁ!!」
「美味しい超美味しい。スクアーロ君また連れてきてよ。あとビール飲みたい」
「自分で行けぇ!!!おいそこの女ビール2人前!!!」
「かしこまりましたー」
「いやー楽しかったー・・・。スクアーロ君ありがとうね」
「俺はテメェのお守りで疲れたがなぁ・・・」
「スクアーロ君日本のこと熟知してるね。今度イタリアで日本観光のハウツー本出したら?」
「出すかぁ!!!」
翌日、なかなか仕事モードに入らないナナシは、仕事が完全に終わった際にはまた天ぷらと松坂牛をご馳走することをスクアーロに約束させ、ようやく仕事モードに入ることができたらしい。
匿名様からのリクエストでした。殺し屋探偵続編の裏話ということで。リクエストありがとうございました!