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先生、愛って何ですか?




(先生×生徒)


「アウッ!悪いなゾロ」
待ったかと顔を覗きこむと、別にとそっぽを向かれてしまった。顔が赤くなっているのは、寒さのせいにしてやろうと頭をぐしゃぐしゃと掻き回してから一緒に歩き出す。

「こんなとこ見られたらどうすんだよ。フランキー先生」
「これみよがしに先生とか言うな。見られたら見られただ」
気にすんなとすっかりクリスマスムードになった町並みを当てもなく歩いていたら、いつの間にか町はどっぷりと闇に浸かっていた。最近寒いなとか日が落ちるのが早くなったなとか、必死に話題を振るがゾロは生返事しかしてこない。
誕生日に会議で遅刻してきたことを怒っているのかとも思ったが、こんなときに喧嘩になるのは嫌なのでそのあとは無言で歩いた。

人だかりが出来ている巨大ツリー前で立ち止まり、どこかのアナウンサーのカウントダウンに合わせてツリーの明かりが一斉に点灯すると、ゾロは眩しそうに目を細めた。


「…んだよ。ツリー見ろよ」
「これバカバーグが設計したらしいぞ」
ゾロの文句を無視してそう言えば、ツリーを見上げるゾロの瞳はおびただしい数のライトが点滅するたびに色を変えた。それが面白くてあからさまに覗いていたらしまいには殴られた。

「おれここしか考えてなかったんだけどよ、どっか行きてェとこあるか」
「別にねェ」
「んだよ。クリスマスに会えねェこと怒ってんのか」
ゾロは怒ってねェと怒鳴るとおれを睨みつけた。焦れたように腕を引かれ、どんどん町外れに進んでいく。その姿に迷子なんじゃねェかとだんだん心配になってくる。
人通りの少ない場所で立ち止まるともう一度睨みつけられてスーパー怒ってんじゃねェか、とため息を吐いた。


「あの人混みの中に生徒とかおれらの知り合いがいたらどうすんだこのバカ!」
「…うっ」
「それからクリスマスはルフィ達と約束してるし全く気にしてねェ」
一気にまくしたてたゾロに肩をすくめると悪かった、と落ち着かせるように頭を撫でた。きょろきょろと辺りを見渡して誰もいないことを確認すると、ぎゅっと抱きしめる。


「おれのせいでてめェが悪く言われんのは嫌なんだ。下手したらクビに退学だ」
「オウ、分かってるよ。でもおめェの誕生日ぐらい甘やかさせてくれよな」
しょうがねェなと恥ずかしそうに笑うゾロの鼻筋にキスをしておめでとうと囁いてみた。頬を赤くして俯いたゾロを見て、今週の俺はきっとスーパーだとそう思った。

(20111111)


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