ぽん、と火がついて勢いよく上昇。
達海への恋心を何かに例えるならきっと、ロケット。
椿がそういうと、達海は少しだけ笑った。

「なんでかな、椿が言ったらすごいちゃっちいロケットみたいだ」
「そう、すか?確かにそんなに知識はないッスけど」

達海の部屋の中で向き合いぎゅっと繋いだ右手に力を込めて、もたれ掛かるように抱き着いてくる達海の背中に、手を回す。
ドキドキと鳴る心臓の音になんて慣れきってしまい、もう聞こえない。
緊張のあまり椿がこくりと喉を鳴らすと、じゃれるように達海が椿の首を噛んだ。

「で、そのロケットで……大気圏は突破できた?」
「…ッス、…多分、きっと」
「そう、じゃあもう空気もないのな」

に、と唇で弧を描いた達海が、ゆっくりと椿に口付ける。
閉じられた瞼と睫を見つめてから、椿も目を閉じた。
きっと達海も知らない、椿の恋心は日に日に勢いを増すばかり。
達海に近付きたいと、どんどん膨らんで、胸を内側から叩く。

「……にひ、最後の空気も奪ってやるよ」
「駄目ッス、ほんとに」

今にも、息が止まってしまいそうだ。





end

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