【赤崎くん×達海さん×映画】
「おおー」
「おー」
画面いっぱいに散った火花に、赤崎と達海は二人揃って歓声をあげる。
達海の部屋で肩を並べて見るのは、今日は珍しくサッカーの映像ではなく、互いに少し気になっていた映画。
レンタルしてきたアクション満載のハリウッド映画は、期待を裏切らない王道っぷりで、なかなかに楽しめる。
(もう終わりそうだけど)
画面から目を離さないまま赤崎が水を飲んだ。すると、同じく画面に釘付けの達海は、少し不服そうにする。
「なー赤崎、俺こういうスカッとする映画は嫌いじゃねーの」
「俺もッス。…まあ、わかりやすいしね」
「でもさー…そう、この辺がいっつも気になんの」
この辺?と首を傾げつつも画面を見ていると、始まったのは主人公とヒロインの濃厚なキスシーンだった。
見るなり達海は、「やっぱりな」と腕を組む。
「だいたいこんな、さっき会ったばっかりで何回キスすんだよ」
「まー…アッチの人だから…?」
「えー?…ったく、キスだけで世界救えんじゃねーの?」
これさえなけりゃなあ、とスタッフロールが流れる画面を見る達海。
その横顔を見つめてから、ふと気付けばとても近い二人の距離に、赤崎はにっと笑った。
「…じゃあ世界でも救ってみます?」
「えー、ここハリウッドじゃないしなー。救われるのはせいぜい、俺とお前ぐらいでしょ」
今にも唇が触れそうな距離で静かに囁きあう。
じっとお互いの瞳を見つめていると、達海がゆっくりと目を閉じる。
画面に流れる文字などには目もくれず、赤崎は達海を抱きしめた。
end