【椿くん×達海さん×映画】

ゾンビだ。
一面、ゾンビだ。
(グロいね)
時折素直に声をあげながら、達海の部屋で椿と達海は映画を見ていた。
なにか映画を見たいという話になり、レンタルショップで見つけた『怖がりの人は見ちゃ駄目!』。
そんなポップに惹かれて眺めていると、椿がこれを見ようと提案したのだ。
(おかしいなあ)
映画はまあまあ面白いけれど。
それより、嫌だ、見ないッスと泣きそうな顔で拒否する椿が見たかっただけなのに、と達海は隣の椿をちらりと見る。

「わ」
「……ん?」

なぜか目が合った。
そしてその瞬間、達海の頭にひとつ、仮説が生まれる。
ほとんど外すことはないと思えるような仮説が。

「椿、ちょっと独り言言っていい?」
「…あ、…うす」
「もし椿がこの映画選んだ理由がさ、『これ怖いらしいなあ、怖がる達海さん見れるかな、自然にくっつけるかも』って理由だったらどうしようかなって思ってさー」

呟くと、隣の椿の体がみるみるうちに硬直していく。
(やっぱり)
同じようなことを考えていたらしい。
叱られるとでも思っているのか、青くなっていく椿の顔を見て、達海はふっと笑った。

「そういうとこもまとめて好きだから安心しろよ」
「うう、……はい…」
「……あーどうしよ、すげえ怖くなってきた。こんなんじゃ一人で寝れないなー」
「もう、棒読みじゃないですか……」
「そう?それよりチャンスだろ、恋人が怖がってるんだから」

にひひと笑いながら椿に体をくっつけると、ようやく椿が達海を抱きしめる。
緊張しているのか耳元で震える、「俺がいるッス」の言葉に吹き出しながら、達海は椿の肩に顔をうずめた。





end


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