※「君のペット」の続きです




「なんか…ねーかな……」

押し倒した達海に跨がり、持田が腕を組む。その間、達海は嫌そうな顔で目をそらしていた。

「……お。なんでそんな顔なの達海さん」
「や、だってまさか尻尾付けたいなんて…言うと思わねーよ…、やめろよ、箒とか突っ込むの」
「いいね、それ」
「じょーだんじゃない……」

せっかく恋人が猫耳を付けているんだから、あと猫に必要なのは尻尾。
どうせならなにか、ないだろうかと持田が部屋を見回す。
(あ)
ふとそれの存在を思い出し、ベッドサイドの引き出しをあさった。
あったと達海に笑いかけると、達海が勢いよく首を振る。縦ではない、横に。

「それ前もう使うなって言っただろ、やだ。却下、却下だって」
「えー、楽しそうだったじゃんバイブに責められんの。失禁しちゃうぐらいにさー」

紫色の、ぼこぼこと突起がついたグロテスクなバイブを達海の目の前で振ってやると、さあっと達海の顔が赤くなった。

「お前ほんと、性格最低だなー…」
「その最低がスキなくせに。ねー、絶対動かさないから。入れるだけ、な?」
「駄目って言っても無駄だろ…」

そう言って持田の手を握る達海に、持田は唇を尖らせる。
(甘いなあ)
甘やかすと、余計酷い目にあうのに。そう思いながらも、達海の気が変わらないうちに、ローションでどろどろにした指を達海の後孔へ差し込んだ。



「あ、う、…もー、いい?」
「うーん、ちょっとガチなやつ買い過ぎたから、可愛いつうよりエロいかー」

四つん這いにさせた達海の身体に、くぷ、とバイブを挿入する。
紫色のバイブが小さな穴を拡張していることを視覚的に主張してきていて、かなりエロい眺めになっていた。
とても尻尾とは呼べないけれど、これもアリだと持田はバイブを掴む。

「…んー…この辺り?達海さんが気持ちいいトコ」
「あ、ひッ、そこ、やだ、持田っ、ぬいて、……ん、ん」
「ここでしょ?」

ぐりぐりとグロテスクな玩具を動かすと、びくりと背を跳ねさせた達海が耐え切れない様子でシーツを噛んだ。
太い物でピンポイントに刺激を与えると、わかりやすく達海の身体が持田を求めはじめる。
(なのに、ねー?)
シーツに縋り付く達海は、嫌だと首を横に振った。面白くない顔をしたり、素直じゃない反応をするのは彼の癖のようなものだから別にいい。
別にいいけど、いじめっ子としては格好のポイント。

「……嘘ついちゃ駄目でしょ。ねえ?」

少しずれた猫耳を直しながら甘い声で囁いて、隠し持っていたリモコンをカチリと動かすと、いやらしく持田の心を擽る声が達海の喉から漏れる。
大きく振動をはじめた玩具に必死に逃げようとシーツを掴む達海。その背中を捕まえて、震えるバイブをゆっくりと抜き差しした。

「あ、あ、っ、そこ、ほんと、やだ…ッ!や、んぁッ!」
「弱いなあ。ま、可愛いからいいけどさー」

ヴヴヴと達海の体内で音がなる。
(これはこれで)
身体の中に異物を入れられている、と自覚させるのも性感を刺激するのかもしれない。
四つん這いから上半身が崩れた、腰だけを高くした格好の達海は、持田の下で肩を震わせ、引っ切り無しに甘く喘いだ。
この、彼を征服した瞬間がたまらない。
ぺろりと唇をなめた持田が、微妙な力加減で達海の背を撫でる。

「ねー、達海さん……もっかいにゃあって鳴いて。じゃあ止めてあげるから」
「あ、ん、ああっ、ひッ、あ、あーッ!」
「にゃ、あ、だよ」

ぴくぴくと震える猫耳が外れないようにいつもより少し優しく、達海を仰向けに転がす。そして達海の足を掴んで大きく開くと、彼はまともに回らない舌で「嫌」と呟くけれど、それで持田が止まるわけもなく、むしろ増長。
(それに気付かないかな…)
馬鹿、と心の中で呟いてから、持田は掴んだ達海の膝にキスをした。

「んー、イイ眺め。ほら、言えって」
「…あ、あッ…にゃあ、ひッ、にゃ、あぁ…ッ」
「ごーかく」

笑ってやってひとつ、バイブの出力を上げると、がちりと捕らえた身体がのたうつ。
やだ、いく、うそつき。
そんな言葉を放つ恋人を見下ろすと、持田の背にぶわりと衝動が走った。
ずれた猫耳、尻尾の代わりにうねる紫のバイブ。ニセモノの猫が快感から逃れようと爪先を丸めて腰を揺らす。

「…あーあ…かわいそうに、こんなぐちゃぐちゃに濡らして」

我慢出来ずにそう囁きながら達海の性器を刺激してやると、達海はあっけなく精を放った。
はあはあと荒い息を吐くその身体から玩具を引き抜いて、持田は太い質量を失っていやらしく口を開ける達海のアナルに、早急に自身を挿入する。
衝撃に暴れた達海の身体をしっかりと抱きしめて、ずぷりと内壁を埋めてやると、その快感に抗えるわけもない達海は甘い声で「馬鹿」と繰り返した。
そして、ぎゅうっと掴まれた腕に力が込められる。
そこではじめて気付いた。

「……あ。服脱がせる余裕も無かったんだ、俺」
「ん、んっ、ふ、ぁ…っ、脱、ぐ…?」
「もーいいや、……アンタ、このシャツ駄目だよ、立ってるのわかる」

薄いシャツの上から人差し指で乳首を押し潰すと、ぎゅっと目をつむった達海がシーツに爪を立てるように引っ張った。
その反応に気を良くし、くにくにと指で弄ると、達海の唇から甘い声が漏れだす。

「ここも気持ちいいの?」
「ん、あ…う…うるさい、しょーがねーじゃん、触るなって」
「拗ねんなよ、ハハ」

もうそろそろいいか、そう思い持田がゆるゆると腰を動かした。
いつもは壊すぐらいに激しく抱くけれど、今日は少し焦らしながら。
(猫さんが悶えるところ、見たいしね)
そう思いながら、持田は達海のナカから自身を引き抜く。

「あ、っ、ああ…ッ、持田、ぁ」
「んー……達海さんのナカ、相変わらず気持ちいいね」

絡み付いてくる内壁をゆっくりと擦ると、身体をびくびく跳ねさせた達海は口を両手で押さえる。
結局、ビンカンらしい。
蕩けた顔の恋人を見つめ、持田は複雑な顔をした。

「達海さん、今俺、アンタのこと焦らしてんのに。あんまり気持ちよくならないでよ」
「ばか、無理言うな、っ、んッ、あ、くぅぅ…ッ」
「んー……そんじゃいつもみたいにぐっちゃぐちゃにしていい?達海さんが泣いても止めない、って、あ……」

ぴたり、と動きを止めた持田を不安げな顔で達海が見つめる。
ミスった。持田の顔に渇いた笑いが広がった。
(ゴム、つけわすれた)
猫耳にどんだけ興奮してんだ、と自嘲しながら達海の頬を撫で、囁く。

「……つけた方がいい、よな」

一瞬目を丸くした達海は、へらりと破顔して「かっこつかねえの」と持田の手を軽く叩いた。それから、挑発的な笑みを浮かべ囁く。
猫はヒニンなんてしねえの、にゃ。
今度は持田が目を丸くして、それから笑った。

「へえ……じゃあ孕ませちゃおうか」
「やだー、持田くんコワイー」

可愛い恋人ともう少し、話をしていたい気もしたけれど、そこそこに。
(……まいったな)

「……猫さんが鳴いたら合図ね」
「にゃあ。…はやくして、持田」

(溺れそうだ)





end

Title By TOY
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