ガリガリ、ガリガリと飴を噛むなかなかに耳障りな、少なくともジーノにとっては不愉快な音が部屋に響く。
そんな音で僕の部屋を満たしてどうするの、と呟いても、なにやら忙しそうにペンを走らせる恋人には届かない。
忙しいのを承知で連れてきたから強くは言えないけれど、とジーノはため息をついて投げ出された達海の足を撫でた。

「タッツミー」
「んー」
「それ、やめない?口寂しいならキスしようよ」

散らばる包み紙を見ながらこつんと達海の肩に頭をのせると、重いと振り払われる。
ひどいよ、とジーノが呟いたあたりで、ようやく達海がジーノと目を合わせた。

「……今キスしたらお前の舌噛むよ」
「いくらなんでも苛立ちすぎでしょ、隣に僕がいてあげてるのに。ねえそれやめなよ、エレガントじゃない」
「んー?あ…、5個も食ってたか、俺。無意識だった」

髪をぐしゃぐしゃと掻き乱しながら達海がバキバキと肩を鳴らす。ひどい音に顔をしかめてからジーノは近くに置いてあった飴の袋を取った。

「……とりあえず、これは預かっておくよ」

拗ねるだろうと覚悟しての行動だったが、意外に達海はなにも言わない。
不思議に思い尋ねると、聞き取りづらいほどの小さな声が返ってくる。

「だってお前に嫌われたくねーし」

ああ、なんてことを。
思わず後ろから達海を抱きしめると、「離せ」とぶっきらぼうな声がする。
(そんな言葉じゃ意味ないよ)
だって、耳が真っ赤だ。

「はやく終わらせて、思う存分キミを堪能させてね、タッツミー」
「……おう」
「おや、頼もしい」

変に素直な達海に頬は緩むばかり。
たまらず、ふふ、とジーノは達海の背中に笑いかけた。





end

元ネタ:おはしたん
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