(ジーノはタチが悪い)

練習が終わってすぐ、達海の部屋を尋ねてきたジーノに、達海は渋い顔をした。

「今日は僕の家においでよ、タッツミー」
「やだ。昨日も一昨日も行っただろ」
「夜が明ける前に帰したでしょ、今日は朝まで君といたくてね」

にっこりと言うジーノに達海は頭を抱えた。自分が言うのもなんだが、堕落しすぎているだろうと。それ以上に、ここ数日はやらなければならないことが達海にはたくさんあった。
だから、すうっと息を吸い込む。

「仕事。仕事があんの!だから今日は絶対駄目。帰れ帰れ」
「……ヤダ。今日は僕、練習頑張っただろ?だから君をご褒美にするって決めてたんだ」
「勝手な……っ、ちょ、やめろよ」

ひどい扱いに文句を言おうとすると、トン、とドアに押し付けられ、そこでやっと達海は気付いた。
部屋にジーノをいれるべきじゃなかったことに。

「ちょっとだけ、味見するよ」
「やだっジーノ、ん、ん…むぅ、んんッ…ん……ふぅ…っ」

ぎゅっと目を閉じ、ジーノの肩を押そうとする達海。まるで気にせず、痛いくらいに達海の身体を抱きしめたジーノは、隙をついてにゅる、と舌を達海の唇に侵入させた。

「……ん、ふぁ、っ」

ゆっくりと口の中を柔らかく舐められ、だからこそ擽ったくて、感じてしまう。
かぷ、と軽く唇を噛まれると、蕩けそうなキスに逃げる気力も奪われた。

「ん、んっ」

す、とジーノの手が達海の尻に触れる。
キスで精一杯になっている間にジーノにいやらしい手つきで、ぐに、と尻を揉まれる。するすると腰を撫で摩られて、いやでも身体が疼く。
(……この馬鹿ッ)
つう、と割れ目を指でなぞられ、そのイメージに身体が反応してしまって、悔しいといくら思っていても、気付いた時にはジーノに縋り付くようにしないと立てないほどガクガクにされているのだ。
耐え切れずドアに預けた背中がずるりと下がると、ジーノは軽く開いた達海の足の間に左足を押し込んだ。

「あ!んっ……ん、ん、ッん、ふ」

びく!と激しく反応した達海に気付かないふりをしてジーノが軽く足を動かす。少し乱暴に性器を圧迫され、ますます足の力が抜けて、悪循環。
(さい、あく)
そのころには、唇を解放されてもなにも出来なくなっている。

「……で、今日、家にお連れしても?」

スルリと腰から背中を撫でてジーノが言う。駄目だ、なんてとても言えそうにないようにしたくせに、と達海はジーノを睨みつけた。

「ん、っ卑怯……」
「嫌ならもう少し、僕のキスに慣れた方がいいよ?……ほーら、膨れない」

達海の頬をつついてジーノが嬉しそうにした。
ここからはもうお決まりのパターンで、ジーノによって力の抜けた達海の身体がふわりと宙に浮く。
横抱きにされ、男として恥ずかしいことこの上ないのだが、ここで渋ろうものならまた力ずくで黙らされるのだ。
ふう、と息を吐いて達海は目を閉じる。

「どうしたの?眠いかな?」
「ちげぇよ、もー……」

めんどくさいめんどくさいと言いながら、結局ジーノを甘やかしているのは達海本人。
(……わかってるけどさ)
このもやもやとした疲れをどうしたものかと、達海は大袈裟なため息を吐いた。





end


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -