「は」
「だから、その」

口をあんぐりと開け目を点にした達海に見つめられ、椿はたまらず視線を下に落とす。
まさかそうくるとはと達海もつられて視線を下にやった。
(確かに今日逃すとかなり長い間、出来ないけどさ)
出来ない、というのはいわゆる恋人同士の。
達海は別にその行為が嫌いなわけじゃないが、明日の予定上どうしても今日、椿を受け入れるわけにはいかないのだ。
我慢が出来ない椿とシたら、足がガクガクになってしまう。
(だからってさあ……)
唇を尖らせて椿を見ると、少しびくびくした椿と視線があう。
年下ということもあって可愛くてたまらない恋人だけれど、だからこそ提案された内容に達海は耳を疑った。

「……椿がそんな変態さんだなんて知らなかった」

思わずそう呟けば、椿が「変態じゃないっす」と消え入りそうな声で言う。
(ずりーの)
そんなんだから許しちゃうじゃん、と達海はますます唇を尖らせた。


「もう、ちょい、締められますか?……あ、いい、です」

四つん這いになった達海の後ろで、椿が腰を動かす。
きゅっと閉じた達海の足の間に自身をピストンさせて、椿は気持ち良さそうに息を吐いた。

「椿の、擦れて、っ……ぁ、あ」
「達海さん、達海さんの足、気持ちいい…っ…」

ローションでぬるぬるにしてあるせいで、椿のものが足の間を行き来する度にぱちゅ、と音がする。すごくいやらしいことをしているように思え、達海の顔が赤くなった。
それだけでなく、猛った椿のものは、達海のものの裏筋を何度も擦って直接的な快感を与えた。
(駄目、頭フットーしそう)
本当に入れられているかのように錯覚しそうになり、後孔がひくりと疼くのがわかる。さっき、そこも散々に濡らされてはいるから余計に、期待感だけが無意識に高まった。

「……ひくひくしてる、達海さん」
「んっ、馬鹿、言うなよ……へんたい」

振り向いた達海が拗ねたように睨みつけると、ぴたりと動きを止めた椿がへらりと笑う。

「へんたいになっちゃうのも、達海さんのせいですから」
「うっそー、…人のせいにすんなよな…って椿、つめた…」

ごそ、と何か取り出した椿が、その何かを達海の後孔に押し当てた。少し冷たく丸い感触に達海がごくりと唾を飲む。
椿のを入れるわけにはいかないと言ったら、椿がそれならせめて負担が小さいこれをと提案してきたもの。

「……椿、なんでローターなんか入れたいの?…やめねえ?」
「俺ばっか気持ちいいのは嫌だし、……ここは、嫌とは言ってないみたい、ッス」

言うなり椿は、く、と力を入れてローターを達海の中に押し込んでいく。
丸いそれが飲み込まれる度にあからさまに甘い息を漏らす達海に、椿のものもますます硬くなった。

「や、あぁ、ひ…っ…あんッ」
「この辺…かな…?」
「ひッ!やだ、つば、き、そこやだ、そこ、駄目」

びく!と激しく達海が反応したところで、椿はローターを離す。
シーツをぎゅっと掴んで達海が振り返り椿を止めるけれど、もう一度達海の股にモノを挿入した椿は、カチリとリモコンを触った。
途端、ぶるぶると震えた玩具に感じるところを刺激され、達海の腕はかくりと力尽きてベッドに崩れる。
(あ、あ、そこ駄目、弱い)
サイズは小さくても、ピンポイントに弱い粘膜を揺さぶってくる玩具に振り回される。

「ああぁッ、あ、あ、つば、きぃっ…くぅぅ…っ、ふぁ…ッ」
「たつみさん、ぁ、きもちい、っす」
「そこやだ、椿、あッ、あ、やだ、ぁ、ん、ひぃっ」

ぶるぶると腹の中で暴れるローターに気を取られていると、引き戻すように自身を椿のモノが突く。
押し潰される前立腺に頭がふわふわして、達海はシーツに額を擦りつけた。

「ひッ、ん、あぁ、ひぁッ、や、やーっ…!」

止めて、と言っても椿には効果などまるでない。

「……今、ね、達海さんのお尻から、ピンクのコードが出てるんすよ」
「あ、あっ」

それがゆらゆらしてる、と少し嬉しそうに達海の太股を軽く撫でる椿。
(正直、気持ち良すぎてトんじゃいそう、だけど)
やられっぱなしは性に合わない。
くるっと振り向くと、視線があった椿はすごく男臭い顔をしていて、それも可愛いなあと思いながら達海は挑発的に微笑んだ。

「あ、んぁッ、…あんまり見るなよ、っ、…ッ…椿の、えっち」

ふり、とコードが垂れる腰を揺らすと、尻を掴んでいた椿の手にわかりやすく力が篭る。
かかった、と笑うと、達海の背中に椿の荒い息がぶつかった。

「……達海さん、煽ってどうするんですか」
「にひひひ。……おいしそーだろ?こういうのは嫌い?」

煽るだけ煽って、「でも、入れちゃ駄目」と加えるとますます椿は辛そうな息を吐いた。

「好き、です。大好き、だから……うう……」

最後にぽつりと「入れたい」と呟いた椿を笑って、達海はまたシーツの上にぺたりと伏す。
ぎゅうっと足で椿を締め付けてやると、ふいをつかれた椿が気持ち良さそうに喘いだ。
(ほんと、可愛い)

「つばき、気持ちいい?」
「…あ、ぁ…いい、ッス、……達海さんのここもやわらかくなってる…」

コツ、と挿入した指でローターを突かれ、息が止まる。
(俺の身体で気持ちよくなってんのとか、俺に欲情しちゃってんのとかが可愛くて)
だからなんでも許すけど、椿が達海にめろめろなせいで椿との行為は結構ハードだ。

「試合終わったら、好きにしていいから」
「……!ッス!」
「ああもー……かーわいいのになあ……」

もう少しやることも可愛ければ、とため息をついてから、達海は諦めて快感に身を任せた。






end

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