(今日の試合は楽しかった)
とっ、と軽い足取りでジーノが愛車へ向かう。
本日ETUはなかなかに好調で、その波にジーノもぴったりとはまったのだ。
大活躍、と言っていいほどプレーを楽しんだジーノは、試合の疲れを上回る高揚を心地好く感じながら車のロックを外し、振り向いた。

「タッツミー、君はどうする?」
「んー…、…おまえんち、帰る」

ジーノとは反対にいつもより大人しい達海が、不機嫌そうに助手席に乗り込んだ。
(……かわいい)
不機嫌そう、と言ったけれど、これは機嫌が悪いんじゃない。
(今日は僕がゴール決めたから、余計だね)
興奮、しているのだ。
軽く達海の肩を引き寄せ、頬にキスを贈ってから、ジーノは前を向き直した。



どさ、と音がして二人でベッドに倒れ込む。仰向けに寝転がったジーノに乗るように抱き着いた達海が、はあ、と荒い息を吐いた。

「……今日はまた、随分だね」

ジーノが達海の髪を撫でると、達海は「うるさい」とぶっきらぼうに呟いた。

「お前があんないいプレーするから悪い」
「興奮したんだ?」
「……ん」

素直に頷く達海に笑みを深くしてジーノが体勢を整えた。ベッドのヘッドにもたれ掛かるようにすると、依然唇を尖らせたままの達海がまたぺたりとジーノにくっついた。
(いつもはあんなに嫌そうにするのに)
それもまたいいけど、とジーノが達海の背を撫でると、小さな声をあげて達海が尻をジーノの中心に密着させる。

「……これはまた、いやらしいお誘いだね」
「うー…だっておまえのを、ここに入れたくて、仕方ねえの」

わかってるくせに、と唇を尖らせた達海に頬を撫でられ、キスをされる。
小鳥がするようなキスに物足りなさを感じてジーノが達海を引き寄せると、普段よりずっと積極的に達海が舌を絡めてきた。唾液が絡む音が頭に響いてくらくらする。

「試合の後で興奮が続くのはわかるけど、君は少し特別みたいだね」
「俺は走って発散できないからね。……悪いか」
「んーん、キュートだ」

だけど、僕だけにして?と付け加えると、達海はますますぶすっとした顔をした。
そして「限界」と呟いてジーノの上に跨がる。

「……なんにもしなくていいから、見てて」
「悪戯がしたくなったらしてもいいのかい?」
「だめ」

ふ、と意地悪そうに笑った達海が、カチャリと音を立てて自分のベルトを外す。
ベルトの重みでするりと落ちるズボン、そして下着も足から引き抜き、達海はそれを床へ落とした。

「ふふ、シャツは脱がなくていいの?」
「そんな余裕、ねえもん」
「……上が全く乱れてないのはひどくそそるね」

ネクタイも外さないのかい、とジーノが聞くと、外したければ外せばという返事がある。
(まいったな、僕は裸で抱き合うのが好きなはずなんだけど)
シャツとネクタイだけというのが、こんなにクるものだとは思わなかった。ジーノがつい出したくなる手を抑えていると、ローションで達海が指を濡らした。

「あ、ちょっと待ってタッツミー」
「なに、っわ……なにこの体勢」
「ふふ」

膝立ちだった達海の身体を引き寄せ、肩につかまらせる。
上半身だけジーノに預け、尻を向こうに突き出した格好に、ジーノの腕の中の達海はおそらく唇を尖らせているのだろう。

「こうしたら、君の声がよく聞こえるからね」
「……うるさくても知らねえから」

案の定、拗ねたような声で達海は指を後ろに伸ばす。
小さな尻と濡れた手がよく見え、ジーノはふ、と息を吐いた。
指が入ったらしく、達海がびくっと震える。
それからすぐに甘い鳴き声と粘着質な音が聞こえて、ジーノは目を閉じた。

「その分じゃ、すぐにとろとろになりそうだね」
「んぁっ、や、ジーノ、あ、っふ、んん」

は、と荒く不規則な呼吸を繰り返す達海の背中を撫でながら、ジーノはため息をつく。
ひどく淫らで魅力的な状況とわかっていても、そろそろジーノの手はお預け状態に限界を感じていた。

「……本当は、僕が全部してあげたいんだけど。まだ触っちゃだめ?タッツミー」
「ん、ッ、……まだ、だめ」

おれがすんの、と言って達海がジーノから離れる。
に、と笑う顔に微笑み返すと、達海はジーノの中心を服の上から撫でた。

「なんだ、もう硬いじゃん。……すけべ」
「はは、君のあんな声を聞いて反応しない男なんていないと思うよ」
「……お前以外に反応されても気持ち悪いだけだろ」

言ってから恥ずかしくなったらしく、かあっと頬を赤くして、取り出したジーノのモノに唇を寄せる。
おっきい、と呟いてから舌で唾液を塗り付けジーノのものを濡らす達海。
はふ、と苦しそうに息をしながら舌を使う達海の頭を撫で、ジーノは少し硬い笑顔を浮かべた。
(まずいなあ)
試合の興奮を引きずっているのはジーノも同じ。
だから本当はジーノも達海に触りたくて仕方がないのだ。

「……タッツミー、限界」

達海の額に触れて言うと、汚れた口元を拭って達海もジーノを見つめる。
それから、達海はジーノの身体に跨がり、ジーノの頬にキスをした。


「ひッ、ああ、あ、あぁ…ッ…!」

達海の重さでずぶずぶとジーノのモノが挿入される。
衝撃に見開いた目からぽろっと涙を零す達海、その頬を撫でながらジーノも息を荒げた。

「ほんとに嬉しがってるね、君の中。吸い付いてくるよ」
「あんっ、んん、ぁ、ジーノぉ…っ…」

夢中で身体を揺らす達海を補助してやりながら、ジーノも息を吐いた。
(まいった)
達海の様子を見ているだけで簡単に達してしまいそうな自分に、煽られすぎだ、と苦笑する。

「ま、仕方ないか……、ね、もうちょっと、絞められる?」
「んん、っ、あ、ぅ……んッ」
「そう……いいこだね」
くるりと達海の腹を撫でながらジーノが言うと、達海が切なげな目でジーノを見た。

「ジーノも、うごいて」
「……もちろん。すぐに天国へ連れてってあげるよ」

達海にキスをすると、「期待してる」と達海が笑う。
(煽っちゃって)
どうなってもしらないよと言いながら、ジーノは達海を抱きしめた。



疲れきって気を失うように眠った達海を、ジーノは愛おしげに見つめた。
これだから楽しいゲームは好きだと思うと同時に、隣でくたりと瞼をおろしている恋人に苦笑もする。

「……僕だけにしてくれよ、頼むから」

そう言って、達海が起きないように願いながら首にひとつ、しるしをつけた。





end

鴨様、ありがとうございました!
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