達海は赤崎が嫌いではない、むしろ好きだ。けれど、抱かれるとか、そういう行為はあまりしたくない、とよくごねて赤崎を部屋から追い出していた。
別に抱き合うのが嫌いなわけじゃない、問題なのは赤崎のやり方だ。

「赤崎ー」
「はい?」

いつものように達海の部屋へやってきた赤崎を、クッションを抱きしめた達海が呼ぶ。
今週はもう二回そういうコトを断ったけれども、と赤崎の様子をうかがうと、雑誌を閉じた赤崎はいつもと変わらないように見えた。

「あのさ、今日さあ」

これなら断れそうだ、と少し肩の力を抜いた達海だったが、それ以上言う前に、赤崎が達海をギラギラした目で睨みつける。

「今日は、ヤりますから」
「あ……やっぱり?」

ニヒ、と達海がひきつって笑うと赤崎は一気に距離をつめてくる。キスをされ、どさりとベッドに押し倒されながら達海は目を閉じた。
(やだなあ)
コイツ、意地悪なんだもん。
そんな心の中のため息は赤崎に届くはずもなく。



かり、と固くなった乳首を噛まれて達海は思わず赤崎の肩を押した。
皮膚の薄いそこはどうしても敏感だと何度も言っているのに、赤崎は少し痛いぐらいに歯を突き立ててくる。

「あっ、ぁ…赤崎、んッ、痛っ…」
「痛いだけッスか」

噛んだあとに、そこを癒すように舐められる。こうやって緩急をつけて崩してくるのが赤崎の手口だと達海が気付いたのは、完全に赤崎のやり方に落ちてからだった。

「ん、…んっ、…なめられるの、は、気持ちいい、けど」
「じゃあしてやんない」
「やっ…く、あぁ、いたぁ…ッ」

かり、とまた胸の粒を噛まれ、びくりと震えた達海が弱く赤崎の髪を引く。噛まれたところからじわりと熱いものが広がり、達海は無意識に身体を丸まらせた。

「……達海さん、足開いて」

胸から口を離し、にやと笑った赤崎は達海が力を抜くよりも先に達海の中心へ手を伸ばす。

「ひ」

目を見開いた達海が反射的に赤崎の手を掴むが、赤崎はそれをものともせず達海の性器を扱いた。
くちゅ、と粘つく自身を擦られ、どうしたって気持ちいいそれに達海の身体から力が抜ける。
すると、脱力した達海の足を広げた赤崎が、そっと達海の性器の根本を握った。
ぎゅ、と力を込められて思わず達海は息を止める。

「ん、あッ、なんで、なんで、あかさき、やだぁ、ひ、ぁッ」
「我慢スよ、達海さん。イイのはこれからだから」

言うなり、赤崎はひくひくと震える達海の自身の先端を刺激しはじめた。

「っひ、ア」
「……ちょっと、まだトばないでくださいよ」
「…ぁ、ァ、ああぁッ、やだッ、くあっ、いきた、ぁ、赤崎、やだあぁ…っ…」

カリカリと尿道口を引っ掛かれ、狂おしい快感に高められながらも決して出すことが出来ない苦しみに苛まれる。
ぶわ、と涙が溢れる達海の目を見てフッと口元を緩めた赤崎は、これみよがしに爪を達海の尿道口に押し付けた。
根本を押さえられてもとろとろと溢れる先走り。それを確かめるようにつぷりと埋められた爪に、達海はたまらず赤崎の手を握る。

「ああッ!いっ、ん、ぁ、ひいぃ…ッ…も、やめ、そこやだっ、赤崎ぃ…だめ…っ」
「何が駄目スか。こんなに溢れさせといて」

力の抜けた達海の手など気にもせず、赤崎は蜜を溢れさせるそこを暴くように指を動かした。
くりくりと、そこを掘るように引っ掛かれる度、痛いほどの快感に達海は濡れた声を上げる。

「俺、達海さんのそういう声好き」

もっと聞きたい、と言って赤崎は先端を刺激したまま裏筋にねっとりと舌を這わせる。
(いきたい)
ぐりぐりと刺激された先端から溢れた先走りを舐め、赤崎は達海を見つめた。
達海は赤崎の視線に気付いていたが、ひっきりなしに喘ぐ唇から唾液が零れているのも、達したいとゆらゆら揺れる腰も止められない。
いきたい、はなして。
そんな風に達海が言う度に、赤崎は唇の端を上げた。

「ヤダ。……もうちょっと我慢できますよね」
「あ、やだ、イきた…い…っ、ひっ、…つめた……」

ぶるぶると首を振る達海の足を開かせ、赤崎はとぷりとローションを垂らした。
温められないままのローションの冷たさに達海が慣れるより先に、赤崎は達海の後孔に指を入れる。
あ、あ、と泣きそうな声をあげ、達海は赤崎の手に触れた。

「や、ッあ、赤崎、いきた、いきたい、っあ、あ」
「まだ駄目ッス」

ぐぷ、ぬちゅ、と必要以上の音を立てて、柔い粘膜が愛撫される。
(濡れてるみたいな、音)
身体の中を触られる、それだけで心臓が煩くなるような刺激に、達海はがくがくと身体を震わせた。
何度も粘膜を擦る赤崎の指は達海のナカを傷付けないように配慮はしているようだが、それも疑わしい激しさ。
柔い粘膜を擦られる少しの違和感と快感、そして熱く溜まった快感の塊を出せない苦痛に啜り泣いていると、にやりとした赤崎が指で達海の後孔を開いた。

「ひ、っ」
「だいぶ緩くなったッスね、もう入れてもいい?……それとも、こうして見てましょうか?綺麗な色だし」
「ッ、見るなよ、ばか…っ」

ぺし、と達海が力の抜けた手で赤崎の腕を叩く。
キッと眉をつりあげた達海を見て、赤崎はにやりと笑いながら自分のモノを、とろとろにした達海の後孔へ密着させた。

「達海さんのその顔、好き」
「うるせ…っぁ、あぁ…ッ、あ、くぅ、ああぁ…ッ」

ぐぷ、と入れられるガチガチの物に、達海は赤崎の肩を掴んで首を振る。
いきたい、おかしくなる、いかせて。
半泣きになった達海が言うと、漸く赤崎は手の力を緩めた。

「仕方ないか」

きつく押さえられていた達海の自身が解放される。
(あっ、あ……)
長い絶頂にどくりと溢れるものを更に押し出すように、達海の身体の中に全てが挿入された。
赤崎に揺さぶられるままに達海の身体が揺れる。
もう何度もした行為でも、達したばかりできゅう、と締まる中を無理矢理拡げられることに慣れるわけではなく、たまらず達海は赤崎の肩に爪を立てた。

「いっ……ちょっと、力抜いてください」
「っあ、むり、むり、ぃッ……おまえが抜け、バカっ」
「……やだね」

達海の腰を掴んだ赤崎が、ふと唇で弧を描く。そして、勢いをつけて達海の中を突き上げた。
熱い大きなものに貫かれ、衝撃で達海の足はびくりと跳ねる。
は、う、と荒い息を吐きながら目をつむっていると、赤崎はあやすように達海の胸の粒を指で挟む。
じわりと腰に響く甘い快感に、達海は潤んだ目をうっすらと開いて、赤崎の背中に手を回した。
それに気付いた赤崎が達海に視線を合わせる。
あかさき、と小さな声で達海が赤崎を呼んだのが合図になった。

「ひッ、ああぁ、ぁ、や、赤崎ッ、くるしっ、アッ」
「ちょっと苦しいぐらいが、好きでしょ…っ」

ほら、締まった。額に汗を浮かべて赤崎が笑う。
その表情から目を離せないまま、達海は目を細めた。
(腹立つ)
年下なのに。赤崎のくせに。
そう悔しく思うままに、達海は赤崎の背中に爪を立てた。
まあ後で薬を塗ってやるのは自分なんだけど、と達海が悪戯っぽく笑うと、赤崎は眉をしかめる。

「…いってぇ、っく、…余裕じゃないスか……ッ!」
「そうでも、ねぇ…よッ…、あ、ぁ、やだ、あ、赤崎ッ、深……っ」

ぐち、と身体の奥の方を掻き回され、視界が点滅した。
今度は悪戯ではなく、うまく力が抜けずに赤崎の背中を引っ掻いてしまうが、赤崎は何も言わずに達海の頬に手をあてる。

「ん、はあっ、あぁあッ、ぁ、赤崎、あか、ッ、くぅぅ…っ」
「達海、さん、……達海さんっ」

歳と立場の差とか、いつもしょってる面倒なものをこの時ばかりは忘れて達海は赤崎にしがみつく。
溺れる。
ぼんやりした頭で達海がそう喘ぐと、しっかりと達海を抱きしめた赤崎が笑った。

「いいッスよ、……溺れちゃえ」



けほ、と軽く咳をした達海が赤崎を睨みつけた。
あかさき、と掠れた声を出した達海の頬を撫でながら、赤崎は機嫌よく頬杖をつく。

「……もうちょっと、手加減するとか、ねえの…」
「無いッスね、気持ちよすぎて必死に俺に縋り付いてくるアンタが好きなんスよ」
「お前本当にやな性格してるのなー」

ふてくされた達海の頬を軽く摘んで赤崎は笑う。

「やな性格ってわけじゃないね、達海さんが虐めがいありすぎるせい」
「あかさき……」

何故か得意げに言った赤崎の言葉を聞いて、くたくたに疲れ果てた達海がため息をついた。





end

創様、ありがとうございました!
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