「達海さん、次はどんな作戦で来るの」

唐突な持田の質問に、一瞬達海は目を丸くする。

「……え、教えるわけないじゃん。なーんで敵のお前に教えなきゃなんねえの」
「ケチ」

持田の部屋で持田の雑誌を読み当然のように持田のベッドに寝転がる達海が、「ケチってなんだよ」と唇を尖らせた。
その唇にリップ音を立ててキスをして、今度は持田が唇を尖らせる。

「だって達海さん、俺の話聞いてばっかであんまり自分の話しないし」
「だからってチームの話はしません」
「……今キスしたんだから、ちょっとぐらい反応してよ」
「ああ……いや、……なんかごめんな?」

がくりと肩を落とす持田を見ながら、仕方なさげに達海は持田の頭を撫でた。

「……あれ?」

それからおもむろに持田の手を掴み、甲に鼻を寄せる。

「なんか持田、いいにおいがする」
「……なに言ってんの、アンタも一緒に風呂入ったんだから一緒のにおいだろ」
「そうだった」

にひ、と笑った達海に持田がため息を吐く。
今までの相手と違いすぎて全然ペースが掴めない。普段の自分を知ってる奴らからしたらひどく奇妙に見えるだろうな。
そんなことを思いながらも、持田は達海の頬に触れた。

「それとも、誘ってんの?達海さん」
「……どうかな?」

猫のように気まぐれな恋人、なのに、首輪をつけられてしまったのも、甘いにおいに骨抜きになったのも自分みたいだ、と自嘲する。
すると、達海は持田を見つめて、雑誌をベッドの端へよけた。
(そういう空気にはビンカンなんだなあ)
今度はおかしくなって持田が笑うと、達海はじとりと持田を睨む。

「なに笑ってんだよ、持田」
「んーん。じゃあチームじゃなくて達海さんの弱点、教えてよ」
「……勝手に探せば?」

達海が目を閉じて、持田が「そうする」と笑う。
少ししてからかちりと音がして、部屋の明かりが消えた。





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