忙しい日々のつかの間の休息。一晩ぐっすりと眠ったオフの日の朝、後藤は隣で眠っていた達海がすり寄る気配で一度目を覚ました。
まだ眠っている達海の行動に思わず目元を緩め、起こさないようにその体を抱く。
規則正しい達海の寝息は後藤の眠気をもう一度引き寄せるので。

「……こうしてれば可愛いのにな」

そう呟いてから後藤は、二度寝をするべく目を閉じた。



「おはよ、ごとー」
「ぐ」

気持ちよく眠っていた後藤は、再び達海に起こされることになった。
ぎゅう、と抱き着かれ思わず声を上げると、達海の楽しそうな声がする。

「痛い、達海……いま何時だ?」
「10時ぐらい」
「はー…よく寝た…。ほら、離れろ」

ぺし、と達海の肩を叩くと、達海はやだと唇を尖らせる。

「やだってなあ……」

ぱち、と目が合い、特になにも考えずに後藤は達海にキスをした。
達海の唇が尖っていたから、つい。

「ん、……後藤」

殊の外深くなってしまったキスに潤んだ目で達海が後藤を見つめる。昨日は疲れたからと言ってそういうコトをしていないのだ。思わず達海を抱きしめたくなるけれど、後藤は達海の肩を掴むに留めた。

「朝からはちょっと不健全すぎるな」

そういって、ははと渇いた笑いをこぼすと、達海が後藤の手を取り、指を舐めて笑う。

「……部屋暗いから大丈夫だろ、んなの」

だからシよう。そんな達海流のおねだりに後藤はため息を吐いた。

「あーあ……さっき一瞬でも可愛いと思ったのに」
「今も思ってるくせに」

じいっと人の心を読むように見つめてくる達海に肩を竦めてみせて、後藤は言う。

「……内緒」

お返しに達海の指を舐めると、達海がくすぐったいと笑った。




俺にさせて、と言う達海が後藤の上に乗る。後藤も身を起こし達海を支えてやると、達海が身じろいだ。

「どうした?」
「……これ、擦れて、きもちい…っ…」

首に腕を回してくる達海を抱えて、息を整える。腹に達海のが当たる感触がした。

「達海、……っ」
「あー…っ、ごと、ぁ、あ、ッ」

イイところに後藤のモノが当たるように達海が腰を動かす。浅い入り口を何度も擦っては荒い息を吐く達海を、後藤は苦笑しながら見つめた。

「……好き放題やりやがって」
「ぁ、あ、あ……っ、後藤…っ」

きもちいい、と呟く達海を抱きしめ、後藤は深く息を吸う。昨日使ったソープと汗の、達海のにおいに不思議なほど欲情した。

「達海、もっと体重かけていいから。奥まで、入れさせて」

形の良い尻を撫でていうと、達海は首を振る。
深いのはヤだ。そう呟く達海に悪戯心が生まれ、後藤は撫でていた達海の腰を掴む。

「……ごめん」

無理矢理腰を落とさせると、達海は衝撃に目を見開いた。

「あぁぁッ、やだ、やだぁ…っ、ふか、ぁ、あッ」
「ごめんな、…ん、すごく気持ちいい、達海」

宥めるように後藤は達海の背を撫でる。
熱い達海のナカは達海が少し動くだけで後藤に快感を与えた。
(……それは達海もだけど)
ぽんぽんと達海の背中を叩いて後藤がゆるりと腰を揺らすと、力の抜けた達海の体重でさらに結合が深くなり、達海はふるりと首を横に振った。

「んんッ、んぁ、も、むり、動けないよ、……ごとー…」
「ははっ、体力落ちたな……っ」
「うるさ、……っ、あ、ア!んー…ッ!」

ベッドに仰向けに寝かせた達海に、息を整える暇もなく突き入れると、達海の目からぽろっと涙が流れた。

「…の割に昔と同じぐらい感じてるのな、そんなひんひん泣くなよ、達海」
「ばか、泣いてねえ……っ、う、あ、まって、まっ、…んぅぅ」
「待たない。今度は俺の番だろ」

熱く蕩けた内壁を後藤が自身で擦ると、達海は目から惜し気もなく涙を流す。
こんな時しか流さない涙が愛しく、後藤はそれを舌で拭ってから達海に口づけた。

「ん、……ん、勢いが良いのは最初だけなんだな」

後藤が笑うと、機嫌を損ねたらしい達海が「煩い」と呟き、中にある後藤のものを締めた。

「く、っ……こら、達海」
「にひ、…ん、ぁっ…ざまみろ…」
「ふ、ぅ……っ殊勝にしてりゃいいのに」

眉を寄せて、達海のモノを手で擦る。さっきまで笑っていたくせに、そうすると達海は後藤の肩を押した。
あ、あ、と上げる声が高くなって、もともと限界だったらしく驚くほどあっけなく達海が達する。

「……気持ちいい?達海」

俺は気持ちいい。そう言って笑い、達したばかりで絡みついてくる達海のナカを掻き分けるように突くと、達海が強く後藤の肩を掴んだ。
言いたいことはわかるけれど、わかるからこそ後藤は達海の腰を抱えなおす。

「あー……気持ちいい、達海のなか」
「だめ、ぁ、あ、いま、いったばっか、ッ、ひあぁ…っ…ん!」
「知ってるよ。でもまた……反応してる」

さっき放ったものでとろりと滑る達海の性器を握ると、肩にある達海の手に一瞬力が入ってから抜ける。
気持ちいい?と聞くと素直にこくこくと頷くものだから、うっかり煽られてしまった後藤は自嘲した。
まだまだ、落ち着くには遠いようだ。

「後藤、ごとッ……あ、あぁっ、ひッ、んあっ」

ぐち、と音を立てて奥を突くと、一気に絞りとられそうになる。
弱々しく押し返してくる手を背中に回させて達海を見つめると、照れたように達海は目をそらした。

「ここで照れんのな、お前」
「うっせ、バカ……っ、あ、ぁ、んッ」

笑うな、と言いながら背中を叩く達海にどうしても後藤は笑いかけてしまう。

「ん、イきそ……っはは、認めざるをえないな」
「なにが、ッ、あ、あ!くっ…」
「…っ、あ、……は、やっぱり俺、お前が可愛い」

何歳になってもスゲー可愛い。
達海の中に熱を放ってから昔のように軽い口調で言うと、抱いた達海の身体がぶるりと震え、内壁が後藤のものを搾り取るように収縮した。それと同時に、後藤の腹に熱いものが飛び散る。

「く、ぁッ!う、あっ、あぁー……ッ!」
「……なに、今のでイった?…はは」
「はあ、っは…うー…笑うなよ、もー……最悪」
「顔真っ赤。……可愛い、達海」
「うるさい、くそ、ばか後藤」

べし、と手加減なしに背中を叩かれ、後藤が顔をしかめた。

「俺ばっか悪者か?」

そう言うと、うー、と唸ってから達海が後藤に抱き着く。

「もー、気持ちよかったよそりゃー!」
「キレんなよ、面白いなあ」

照れながら怒った達海を宥めて風呂に入った時、時計はもう昼を指していて。
今にも眠りそうな達海を見つめながら後藤は、こんな一日もいいかと笑った。






end



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