職業柄滅多にしない仲間との飲み会の最中、酒には弱くない緑川の肩に、少し熱い腕が回される。

「のんでる?」

はい、と適当に返事をすると、馴れ馴れしくというよりは、酔いっぷりに心配になるような態度の達海はにやりと笑んだ。
そのまま隣に腰をおろした彼は、無駄にご機嫌なまま緑川の体にもたれかかる。

「のんでないだろ」
「んー…達海さんは飲み過ぎかな」
「んなことねーよー」
「おっと」

気を抜いたらテーブルに突っ伏してしまいそうな頼りない体を支えて緑川は苦笑した。
こんなふうに触れ合う機会なんてなかったから、すぐ近くにある彼の髪のにおいにがらにもなく胸が鳴った。
いよいよ飲み過ぎで力の抜けている達海に水の入ったグラスを渡して、緑川は自分の分のグラスを置く。
周りを見回すと仲間はみんな馬鹿騒ぎをしていて、こちらに気がついていないようだ。
細い体を軽く撫でて、ツイてると内心呟いた。

「ねードリー」

ねえねえ、と緩い口調で言ってくる達海をあまり直視しないようにして、緑川は相槌を打つ。

「はいはい?」
「俺ってどう?好き?」
「……はい?」

思わぬ質問に、あまり動じないたちの緑川も固まる。
もたれかかってくる達海はどう見ても酔っ払いなのだけれど。
試されているのだ、言ってしまえと、誰かが背中を押した。

「好きですよ」
「ほんと?」

緑川の肩にもたれ掛かったまま、「素面で言ってよ」と言った達海。
その腰をさりげなく抱いて、達海の赤い耳に囁く。

「明日の朝でよければ」

テーブルの上にぺたりと置かれた熱い手を握ると、酔っ払いは軽く目を見開いてから頷いた。
優しくしてくれる?と囁かれ耳が熱くなる。

「もちろん」

それはもう、と緑川が重ねて言うと、達海はおかしそうに笑った。




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