上だろうと年下だろうと、女性はなかなかに嫉妬深い人が多かった。少なくとも、ジーノが今まで相手にしてきた中には。
流石に度が過ぎれば面倒だが、ジーノは基本的に嫉妬する女性は嫌いではなかった。
ああ、僕のことをこんなに愛しているんだろうなあという気持ちをはかることもできるし。
(やきもちは恋のスパイスでしょう…)
軽く目を伏せたジーノは、だからこそ戸惑っていた。
目の前の恋人が、あまりにも飄々としているせいで。

「……ねえタッツミー、僕の話聞いてた?」
「あー、うん」

ぱら、とサッカー雑誌のページをめくりながら達海は適当に返事をする。
ちょっとした話の流れで好きな女性のタイプの話になり、ああそういえば女性のあんなところは可愛いよねえとジーノが話していたのだ。
ジーノからしてみれば、少しは達海が過去の女性に嫉妬してくれるんじゃないかと思っていたのだが、目下雑誌に夢中な恋人は全くそんなそぶりを見せてはくれなかった。

「タッツミーってば」
「聞いてたって。お前のタイプがセクシーでグラマラスないい女だって話だろ」

はあ、とため息をつきながらまるで興味がなさそうに言う達海に、流石のジーノも落ち込みはじめる。
(もしかしたら)
……なんて、ジーノの頭に王子らしからぬ考えが浮かんだ時、達海はばさりと雑誌を閉じた。

「俺は色っぽくもないし女でもないけど、それでもお前が好きなんだけどね」

閉じた雑誌を横に置き、達海はジーノを見つめる。
そんな達海にジーノが思わず抱き着くと、達海は体の力を抜いた。

「タッツミー!僕も君を愛してるよ!」
「ああはいはいわかったわかった、わかってるよもう」

ぱん、と軽くジーノの背中を叩き、達海は香水の匂いがする肩に鼻を埋めた。

「お前がこんななのに、嫉妬させようとするのが間違ってんだよ……って、おい」
「いた、アハハ、痛いよタッツミー」

どさくさにまぎれて達海のシャツの中に手を入れたジーノ。その頭を容赦なく叩いてから、達海はゆっくりと目を閉じた。






end
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