一度コトが終わって、身体に残る余韻にくったりとする達海。
その体をいたわるように、時折悪戯するように撫でながら、ジーノは、投げ出された達海の足に目をやった。
痛みは与えないように彼の足を折り曲げ、丸い親指の腹を撫でると、達海が唇を尖らせる。

「ジーノ、……くすぐったいんだけど」
「そう?マッサージだとでも思ってよ」

とはいえ、ジーノが達海の足に触れば触るほど達海の足は強張る。きっとくすぐったくてしかたがないのだろう。それでも、限界までは好きに触らせてくれるところが、甘くて、愛おしい。
思わずジーノが「可愛い」ともらすと、達海は訝しげな顔をした。
どこがだよとまた尖る唇にキスをして、微笑む。キミのどこが可愛いかなんて、僕以外知らなくてもいいんだけれど。

「タッツミーが気持ちいい時に、ぎゅうって丸くなるこの爪先が可愛くてね」
「はあ……またそういうこと言うのな…、ってこら、おい!」
「ん?」

掴んだ足の甲に唇を落とすと、達海が慌てて身を起こそうとする。だめだよ、と囁いてから掴んだ足の位置を高くして、身体を起こしづらくなるよう意地悪すると、達海はため息をついてジーノを睨んだ。
そしてジーノはというと、その恨みがましい視線に応えるではなく、ぱくりと達海の足の親指をくわえる。シャワーは浴びていたし、嫌悪感はない。ただ、びくりと怯えた顔をした達海に少し、興奮した。

「……ん、大丈夫だよタッツミー、嫌がらないで」
「やだよ、んなとこ舐めんな……、ばか」
「本当に嫌?」

ちゅう、と指の股を吸うと達海の視線が刺さる。
視線の意味は「嫌」が半分。あとの半分に胸が高鳴った。
しっかり掴んだ右足の指を湿らせていく。舌先を細くしてくすぐるようにしたり、甘噛みしたりすると、達海はいつのまにかシーツを掴んでいた手を開いたり、またシーツをたぐりよせたりを繰り返した。
(瞳が、甘い)
達海が放つ空気が、どんどん、ジーノを煽っていく。

「…ん…ん、あの、さ、ジーノ」
「なに?」
「あんまり、舐めない、で、ほしい」

気持ちよくなっちゃった?と聞くと、決して口に出して肯定はしないけれど顔を赤くする達海。ばればれだよと笑ってもう一度親指を軽く噛むと、今度こそ達海がびくりと、確かに、快感に反応した。
(くすぐったいだけって言ってたのにね)
雰囲気にやられたのか、すっかりその気になった達海の身体を見つめて目を細める。
そのうちこの指で触れるだけで、気持ちよくなってくれないかな。
そんな邪な考えに思わず頬が緩んだ。なにを馬鹿なことをと。
でも、それでもこの人を、自分だけのものにしてしまいたい気持ちに嘘はない。

「ジーノ、…それやだ、っ…ん、ぁ」

達海の足の裏の中心を舌でなぞると、ジーノの好きな甘ったるい声がする。
じわりとしみる声が、ぐちゃぐちゃと考えていたジーノの頭の中を乱していって。
最後に残るのは結局、本能みたいなもの。
(ちょっとスマートじゃないけど、ね)

「……タッツミー?だめだよこんなとこで感じちゃ」
「うるさい、感じてな、っひゃ」
「ふふ、……さて」

ぱたりと足を解放してやって、ジーノは達海にのしかかる。
ようやく近付いた距離に、我慢出来ないといった表情で達海が手を伸ばした。しっかり背中に回された手に、ジーノはふっと頬をゆるめる。
それから耳元で囁いた。

「一緒に気持ちよくなろうか」

こくりと頷く達海。態度は素直だ。
なのに、今にもキザだとか馬鹿だとか、そういうことを言い出しそうなのは唇。
塞いであげよう。
とびっきりの愛でもって。





end
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