達海は昼寝が好きだ。
外でも中でも、暖かい場所で丸くなるのはたとえ眠らなくても、目を閉じているだけで気持ちいい。
プラス、とっておきが加わるから達海にとって昼寝は大事なものだった。
昼寝の場所は決まっていない。その日の天気と気分で決まる。
今日は天気がいいから、クラブの屋上で寝転んだ。流れていく雲を見るのもいいけどやっぱり目を閉じて、達海は深く息をした。
すると、ぱたんと下で扉が閉じる音がする。
(……来た)
そのまま転がっていると、カンカンと梯子を踏む音。それから、ふうっと息を吐く音がする。

「今日はここにいたのか、達海」

探したよ、と言いながら近寄る後藤に、達海は目を閉じたまま言う。

「探させてやったんだよ」
「偉そうに。ま……お前を探すのは俺が一番上手いし、探すしかないんだけどな。もう少し特定の場所にいろよ」
「やだ」
「ったく……」

後藤の足音が自分のすぐ横で止まり、しゃがむ気配がする。達海はすうっと息を吸った。
それから目を開けると、青空をバックにした後藤が視界にうつる。逆光で見えづらくても、後藤が苦笑しているのはわかった。

「にひ」
「なんだよ達海、ご機嫌だな」
「まあね」

やっぱり、目を開けてまず見るのが後藤というのは、なかなか悪くない。
達海は手を伸ばし、「起こして」と後藤にアピールした。

「はいはい」

仕方ないな、といった顔で達海を起こす後藤の目の下には、うっすらと隈が出来ている。
チームのために頑張っているんだろうな、と思いながら達海は微笑んだ。
この時間が、後藤の息抜きになっていればいいなあと。





end
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -