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※匿名さまリクエスト「シズイザですれ違いの喧嘩→ハッピーエンド」
続き物です。今回は新羅視点。

















臨也と喧嘩をした。
そう言ってやってきた友人その1は、酷く気落ちした風情だった。

「その様子だと、今日で1週間くらいってところかい?」

そう問えば、友人――静雄は、こくりと頷いた。
普段の――池袋で喧嘩している――彼らを知るものにしてみれば意外かもしれないが、静雄と臨也はよくこういう喧嘩をする。
いわゆる冷戦。
大体は臨也が静雄を無視し続けて、地味な精神攻撃のような様相を呈する。

「…君たちもたいがい懲りないよねぇ」
「うるせぇ」

唸るような音の科白も、ここまで気落ちした静雄のそれでは普段の効果はなかった。
新羅は、ははっと笑って紅茶をなみなみ注いだカップを友人に手渡す。

「それで?今回は何が原因?」
「………わかんねぇ」
「ああなるほどね」

それは臨也が怒るわけだ。
納得して、新羅は静雄の向かいのソファに座った。
「そろそろ君らも落ち着いて話をした方がいいと思うよ?」
「…………」
まあ、それができればとうの昔にしているだろうけど。
沈黙で応じた静雄に溜息を零して、新羅は笑う。


静雄と臨也が付き合い始めたのは今から3年前だ。いい加減落ち着いて、相手との付き合い方が掴めていてもおかしくないのに、未だに彼らにはその気配がない。暴力を伴う喧嘩こそ遠慮がないが、それ以外での彼らはお互いを恐る恐る探るだけで、どうしても踏み込むことができずにいるのだ。


もどかしいなぁ…。そう考えて小さく息を吐き出す。
小さなすれ違いを繰り返して。
お互い相手を失うのを怖がって踏み込めなくて。
こんなに近いのに、お互いがちゃんと見えないなんて。

「まるで、背中合わせみたいだね」

自分の言葉に苦笑して、新羅はさてどうアドバイスすべきかと考え始めた。














※新羅さんと静雄さん。


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