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告白は日を選びましょう

※匿名さまリクエスト「シズちゃんの直球告白が通じない臨也」











その日が何日であるかなど、静雄は考えていなかった。
それ最大で唯一の誤算だった。






「好きだ」

その言葉に。
臨也はきょとんと静雄を見上げた。

「すき?」
「ああ」
「なにそれ」
「…は?」

はあ、と大げさな溜息がつかれる。

「せめてもう少しマシな嘘ついてよ」
「…あ、いや…嘘じゃねぇんだけど」
「はあ?まだ言うの?」

呆れきった声でそう言って。
臨也は静雄を睨みつけた。

「いくらなんでもその嘘はないよ」
「いや、だから嘘じゃねぇって」
「…ふうん。じゃあ、そんなこと言うとか、シズちゃん何か変なもの食べた?」
「…おい」
「ま、変なもの食べたってそれはないな。うん。でもさ、嘘をつくにしてももう少しマシな嘘つきなよ。そんなんで俺を騙そうとかどれだけシズちゃんってばお馬鹿なのかな?とりあえず、お生憎様。どこの誰に入れ知恵されたのか知らないけど、シズちゃんがそんなこと言い出した時点で嘘だってバレバレだし」
「おい!」
「なに?」
「違ぇ、俺は本気でお前のことがッ」
「好きとか言う気?ばっかじゃないの?」

そんなわけないでしょ。騙されると思ってるの?と、きっぱり言い切る臨也は、それが嘘だと欠片も疑っていないのだ。
心底馬鹿にしたような表情で言われ、普段ならムカついて殴りたくなるところだが、今日ばかりはさすがに凹みそうである。

「…どうしてそこまで言い切れるんだよ…」
「どうしてって…」

はあ、と溜息をついた臨也が、はい、と携帯のディスプレイを見せてきた。
なんだ、と思う必要もない。
大きく時計が表示されたその画面が示す日付は――

「あ」

ようやく今日が何日か思い至った静雄だが、臨也は静雄も最初から今日の日付を知っていると思い込んでいた。だから、あの静雄が胸くそ悪くなると称する笑みを浮かべ、首を横に振って馬鹿だねぇと鼻で笑う。

「この素敵で無敵な情報屋さんの俺が、今日が何日か忘れる訳ないじゃないか。捨て身の嘘が空振りでご愁傷様!来年はもう少しマシな嘘にしてよ!」

ケラケラ笑って、手を振って。
臨也は呆然と立ち竦む静雄を放置して、さっさと雑踏に紛れてしまった。
放心状態のままそれを見送って――。
ようやく正気に戻った静雄は、自分の迂闊さを大いに呪ったのだった。








その後、すっかり消沈してしまった静雄はトボトボと自宅へ戻ろうとして、セルティと出会い事の顛末を話すことになる。
もう告白する勇気がでねぇと呟く静雄に、友人想いの妖精は(あんな奴止めておいた方がいいと思うんだが)と思いながらも慰めるのだった。

『なぁ、静雄。せめて4月1日でなければ、そこまでの相手にされないということはなかったと思うぞ?だからそんなに落ち込むな!少なくとも完全に嘘と決めつけられることはないはずだ!』
「…そうかもな」

もっともな指摘に静雄は頷く。
日付に気付かなかった件に関してはもはや後の祭りではあるが、まだ諦めるには早いはずである。
それから一時間ほどセルティに励まされた静雄が、後日改めて臨也に告白したのかどうか。
それは、その後足繁く新宿へ通う池袋最強の姿から充分想像可能と思われるので割愛させて頂きたい。













※告白は日を選びましょう(大事なことなのでry…)

他の方面から攻めてみようかと思ったのですが、さすがに通常臨也さんでは直球で分からないほど鈍くはないかな…と思ったのでエイプリルフールネタになりました。
実際はシズ→(←)イザなのですが臨也さんの方は出せずじまい…。構成力を上げる努力が必要なようです…。
遅くなってしまい申し訳ありませんでした!
リクエストありがとうございました!


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