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kiss

※キスの話。















シズちゃんとのキスは好きだ。
大嫌いだったはずの苦みも、今ではやみつきで。
慣らされた体は、従順にシズちゃんの舌を受け入れる。

「…ん」

ついばむようなそれを受け入れて素直に目を閉じれば。
シズちゃんが吐息で笑ったのがわかった。

「なに…?」
「…いや、なんでもねぇよ」

目元に、頬に、口の端に。
何度もキスが落とされる。
意地の悪い笑みだ。
普段だったら俺の方が浮かべていそうな表情で、シズちゃんが笑う。
なんだか不愉快だ。

「シズちゃん、君ね──」
「黙っとけ」

文句は最後まで言わせてもらえず、シズちゃんの口内に消えた。
苦い舌が俺の舌に絡んで、押しつぶすみたいにこね回される。

「っ…ふ……ん、ぅ」

歯列をなぞられ、上顎の柔らかいところをなめられて。
繰り返されるうち、頭の奥がじん、と痺れてきた。

「…あ、ぅ」

たっぷり貪られて、溢れそうになる唾液をこくりと飲み込む。
それに満足したのか、唇が離された。
離されたけど、つ、と透明な糸がシズちゃんと俺の唇を繋いでいて。
見上げた先のシズちゃんの目が熱をはらんでいて、こんなものじゃ足りないと言っているみたいで、煽られた。
うっすら涙の滲んだ目で見つめて、視線で強請る。

「その顔かわいいな」
「…なに、それ」

問うてはみたけど、なんとなく想像はついた。
今俺は、潤んだ目と蕩けきった顔でシズちゃんを上目遣いに見上げているわけで。
俺の欲情した顔が好きだと常々言ってるシズちゃんには、大層魅力的に映っているんだろう。

「しずちゃん、悪趣味」
「んなことはねぇよ」

いいや。絶対悪趣味だ。
そう思ったけど、口にする前にまた唇は塞がれて。
すっかり煙草の苦みが染み着いた舌が、当たり前のように差し込まれる。
それがいいと思う日がくるなんて、昔の俺は想像もしてなかったけど。

「ん」

シズちゃんがやりやすいように角度を心持ち調整して、侵入した柔らかい舌を軽く食む。
すぐに逆襲されて、引っ張り出された舌をたっぷり甘噛みされて。
その遠慮のない愛撫に翻弄されるのが気持ちいい。
深いキスに頭の芯が痺れていくのに身を任せて。
俺は、やっぱりシズちゃんのキスは好きだなぁと思った。














※シズちゃんのキスが大好きな臨也と、キスの時の臨也の表情が大好きなシズちゃんの話。
しかし、管理人は二人がキスしてる話ばかり書いてる気がする…


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