dr08 | ナノ
エラー


※無駄に長い。ギャグですがやることはやってるのでR-18。






































「あああっ、こんのへったくそ!」
「んだと手前ぇ!」

怒鳴り合う二人の声が響き渡る。
それだけならば、いつもの如く喧嘩しているだけのように思えるのだが、問題は彼らのいる場所と服装と体勢であった。
他に人のいない妙に凝った装飾の室内、真ん中に置かれた大きなベッド。その上で、彼らは半ば服を脱いだ状態で常のようにいがみ合いながらも互いのものを扱いていた。

「もうちょっと力抜いてっ!痛い!萎える!!」
「ちっとも萎えてねぇだろうが!」
「ちょっ、それ痛いマジ痛いッ!!」

涙目になって悲鳴じみた声を上げる臨也に、ちっと舌打ちして静雄は手の力を抜く。
力加減の下手な静雄の手の中の自身がなんとか無事なのを確認し、臨也は整わない息もそのままに叫ぶ。

「なんなのもうシズちゃん!ありえないよっ、まさか握りつぶす気だったとか言うんじゃないよね!?」
「アァ?いっそそうしてやろうか?」
「勘弁してよ!それでなくても無理やりつき合わされてるんだよ俺!?」
「手前だって分かったって言っただろうがっ」
「うんそれ無理やりだったからね?人の腕脱臼させて馬乗りになって首へし折るぞって脅されて頷くしかなかった俺のそれを心からの同意だと思うんなら、君も俺とは別な意味だけど俺並みの外道だよ!?」
「うるせぇ黙れ」
「あああ人の話を聞けこの童貞野郎!!」

ぎゃあぎゃあ喚く臨也に、静雄は止めていた手の動きを再開させた。目論見どおり、臨也の声はすぐに喘ぎを噛み殺す小さな悲鳴だけになる。

「ひっ…ッ…や、だ」

ふるふると小さく首を振って止めようと躍起になる臨也の手は、だが震えてまったく役に立っていなかった。

「手前もしろ」
耳元で命じると、潤んだ目がそれでも果敢に睨みつけてくる。逆効果だという可能性は考えていないらしい臨也に、静雄は低く笑った。


何故このような状況になっているのか。
最初はいつもの喧嘩の中での些細な言い合いだった。
その中で、静雄を心底嫌うからこそ静雄を知ることに余念の無い臨也が静雄の下半身事情をからかった。
頭に血の上っていた…実際は多分まだ今も上っている…静雄がなら手前を使うと宣言し、一瞬呆けた臨也が言葉の意味を正しく理解し慌てて逃げ出そうとしたが捕まって、結果今に至っている。
後悔先に立たず、あるいは自業自得。臨也の絶体絶命の状況はこうして完成した。


「臨也、さっさとしろ」
もたつく臨也に再度命じる静雄に、快楽に半ば引き摺られながらも臨也は心底嫌そうに眉を寄せる。
「なに、えらそうに命令してんの…さ。ていうか、よく嫌って、る人間のもの…ッ…握れるねシズちゃん…?」
「うるせぇ。さっさとしねぇとぶち込むぞ」
「うわあ、準備もしないでそれは是非とも遠慮したいなぁ」
「ならやれ」
「はいはい…ホント君っていろいろ普通じゃないよね」

緩く勃ち上がった静雄のそれに臨也はうわー嫌だなーと内心引きつつ手を触れた。
手のひら全体で包むようにして扱き、時折指先で軽く先端を弄る。みるみる大きくなるそれに思わず「さすが童貞」などと呟いたのが聞こえたのか、先程よりは軽くだが自身を握りこまれてビクリと動きを止めるはめになった。渋々何も言わずに裏筋や下の双球にも指を這わしていく。
少しの間互いの息づかいと水音だけが響いていたが、育ちきった静雄のもの弄りながら眺めてた臨也の手が止まった。

「…ていうかさ、こんなトコまで規格外とか有り得ないよ。なんでこんなにデカイのマジ有り得ない」
「うぜぇ喋んな。黙って喘いでろ」
「横暴だねぇ。っ、は…そこ、イイ…」

静雄の指が鈴口を弄るとくふんと鼻を鳴らして目を細める。
シズちゃんもっと、と耳元で熱っぽい声がして、思わず手を止めそうになった自分に何故か腹が立って静雄は唸った。

「ちっ、とりあえず手前は一回イっとけ」
「いや遠慮しとくよ。これから化け物の君に付き合わなきゃいけないのに体力削ったりしたら俺腹上死しかねないよ。君に抱き殺されるとか気持ち悪過ぎて反吐が出る」
「それは俺もごめんだな」
「でしょ?」

うんうんと頷いて、臨也は少し身体をずらす。
ホテルに入る前に急遽用意したボトルをはいと差し出すと静雄は怪訝そうな顔をした。

「なんだ?これ?」
「ローション。さっき薬局寄った時買ったヤツ。ひっじょーに不愉快で不本意だけど入れるならこれ使ってよ」
「…消毒薬と包帯買ったんじゃなかったのか?」
「それも買ったよ。っていうか、さっさと受け取って」

ほらを催促されて受け取って。静雄はそれを矯めつ眇めつして眉を寄せる。
そして、
「で?」
と真面目な顔で訊いた。
「で?ってなに?」
「これからどうすりゃあいいんだ?」
その言葉に、残った服を脱いでいた臨也の動きが止まる。

「………ああああッ!!これだから童貞は!!相手に聞くな!これがもし女の子だったらちょっと引くよ!?」
「手前だからいいだろうが」
「どんな理屈!?……もうやだなんで俺こんなのの相手してんの。こんなの相手に初めてとか最悪だよッ」

臨也の叫びに今度は静雄の動きが止まった。
妙にぎこちなく問う。

「…はじめて、なのか?」
「ああそうですよ!臨也さんはノーマルなんで男となんかヤったことありません!!」
「じゃあ初めて同士ってことか」
「うんそこ。童貞と処女じゃだいぶ違うからね?君と違って俺は童貞はとっくの昔に捨ててるからね?」
「だ・ま・れ。とりあえずつっこみゃいいんだろ?」
「もう死ね今すぐ死ねっ」

怒鳴って逃げようとするのを片腕で阻止しなおも逃れようと腕に噛み付いてくるのを無理やり押さえつける。
嫌だと叫ぶ臨也に、静雄は青筋を浮かべたままだがそれ以上の暴力に訴えることはしなかった。

「…ちっ、じゃあさっさと教えろ」
「……。なんでそんなにやる気満々なのかその方が気になるんだけど。そもそも俺で童貞卒業とかホント有り得ない。どういう神経してんの」
「手前なら壊したって問題ないだろうが」
きっぱり言い切られれば、もう反論するのも馬鹿馬鹿しくなる。
「はあ…まあいいかもう。面倒だしさっさと終わらせよう」
逃げるのを諦めたらしい臨也が静雄の腕を退けてのろのろ起き上がり、そして喧嘩の延長としか思えない行為は再開された。










「ひっ…あ、マジ、…痛ぇ…ッ」
長い時間を掛けて準備させてから繋がったものの、お互い初めてで要領を得ないもの同士。
痛いと文句を言われ続け、更になかなか入らないことに焦れた静雄が一気に押し込んだことで、臨也は身体を硬直させ痛みに悲鳴を上げるはめになる。
「力抜け!この馬鹿っ」
「むちゃ、言うねッ………っく…う、は、っ…ぁ」
怒鳴られたところでどうにかなるようなものではない。下肢を埋め尽くす圧迫感と痛みに耐えることしかできないのだ。
浅い呼吸を繰り返して青ざめ震える臨也の様子に、静雄は舌打ちする。
「ッ…仕方ねぇ」
「へ?…ッ!?……ちょ、まって……ッ!」
臨也の下肢に手を伸ばし、すっかり萎えて縮こまったものを扱いた。
急な刺激に驚いて臨也が焦った声を出すが、それは気にせず先程弄り合うなかで見つけた弱い部分を丹念に嬲っていく。
「ふ、ううっ…ぁ…あッ」
「…これでちったぁマシだろ」
「童貞の癖にちゃんと気遣うとか、い、がいに…ァ…紳士的、だね」
「うるせぇ黙れ」
「ははっ……二言目には、それだ……んぅ」

力なく笑う臨也の口を己のそれで強引に塞いで黙らせれば、がりと唇の端が噛まれた。
「っ…手前ぇ、いい度胸じゃねぇか」
「君、相手に…大人しくしてる理由、無いからねッ」
そう口の端を吊り上げて言う相手に、静雄はなら手加減はいらねぇなと低く囁くように口にする。

「臨也、ちゃんと息してろよ?」
「うっわ…い…やな予感……ひッ!!!」

がつんっと音がしそうなほどの勢いをつけて、静雄はいきなり加減無く動き始めた。
これにはさすがに臨也も息を詰まらせ眉を寄せて目をきつく閉じる。
溢れるほどローションで濡らして散々慣らしたおかげか、結合部はその乱暴な抽挿にも切れなかった。だが、それに内心ほっとする暇もなく臨也は加減の利かない静雄に揺す振られ続ける。ぐちゅぐちゅと溢れる水音が響く。

「アァ…ひ……んぁ」

内壁を容赦なく抉る硬いそれに感覚の全てが押し潰されて、それ以外の何も感じることができない。
性急な動きで突き上げられ、ずるりと抜き出されて。
抜ける寸前でまた強引に挿入される。
痛みと熱に翻弄されて、時折感じるかすかな快楽の兆しに縋って喘ぐことしか許されなくて。
頭の芯が熱を持ち過ぎて死にそうだ、とふと僅かな間正気に返った臨也は思う。

「んっ…う…ぁ……ッ…あ!?」

本当に偶然、静雄の硬いそれがぐっと前立腺を擦り上げた。
「ここかよ?」
問われて意味も分からず臨也は首を振る。
「あっ…な、に…ッ?」
「ここイイんだろ?」
ぐりぐりと先端で擦られて、身体が痙攣した。
「やっ…そ、れ…ッッ…やだッやめッ!」
痛みで辛うじて保たれていた理性が蕩ける感覚に、臨也は必死で懇願する。が。

「うるせぇ。気持ちいいならそれでいいだろうが。手前は大人しく啼いてろ」

そう呆れたような面白がるような、そんな声で言われたて。
雄の欲望を剥き出しにした静雄の顔に、俺本当にこのまま殺されるかもなと胸中で呟いて。
それを最後に、臨也の意識は初めて知る快楽の波にさらわれて、途切れ、何もかも分からなくなった。










「あー…やっちゃったって感じ」
「………」
ころりとベッドの上を転がる臨也に、静雄は沈黙で答えた。
背を向けたまま、意地でも見ようとしない相手に不満げに眉を寄せ、臨也はにじり寄って肩にあごをかける。振り払われないのをいいことにそのまま体重を預け、
「なーに自己嫌悪に浸ってんのシズちゃん。冷静になれば…ってシズちゃんが冷静とか鼻で笑っちゃうけど、でもわかってたことでしょ?頭に血が上って一時の感情でこんなのとしてさ、もうこれ一生ものの傷跡だよ。まさに黒歴史!闇に葬り去りたいから今すぐ死んでよシズちゃん」
「………」
ケラケラ笑うが静雄の反応は薄い。一瞬ビクッと背を揺らしただけでやはり振り向きもしない。
それに小さく肩をすくめて、臨也は笑みを消す。
「まあいいや。やっちゃったものは変えようがないし」
静雄から離れてもそもそとベッドの縁まで移動して。
生きてるだけでも上々かなと身体のあちこちを触って動きを確かめて、臨也は伸びをしてどこか痛んだのか顔を顰めた。
はあと大げさなため息をついて縁から足を下ろす。
「シャワー先に浴びるね。なんなら先に帰ってもいいけど、さすがにそのまま服を着るのはお勧めしないよ」
「………」
声をかけるが返事はない。自己嫌悪に陥っているのだろう静雄の様子にもう一度ため息をついて、臨也は痛む上に動きの鈍い心もとない足腰の感覚に内心舌打ちする。ああムカつくなあ、掘られたのは俺の方だってのに。
何か仕返ししてやろうとしばし考えて、臨也はそれは楽しそうに目を細める。
「あ、そうだシズちゃん」
わざとらしい声を出して、もう声を掛けられると思っていなかったためにビクついた静雄に歩み寄る。
そして、ちゅっと唇にやわらかい感触。思わず固まる静雄に臨也はにんまり笑って一言。

「ごちそうさま」

一瞬ののち、呆けた静雄の顔が怒りからか羞恥からかは判別できないが一気に赤く染まる。
「……こ……ッ…このノミ蟲があぁぁぁっ!!!」
さっさとシャワーブースに引っ込んだ臨也の後を追いかけるように怒声と何かがべきりとへし折られた音がしたが、それでも耳まで真っ赤にした静雄が臨也を追いかけてくることはなかった。








※喧嘩の延長戦みたいな感じで。
この二人はこの後もぎゃあぎゃあ言いながら殴り合って殺し合って気付いたらあれ?みたいな関係が続くと思います。


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