dr04 | ナノ
愛情含有率1%未満

※血、暴力表現注意

















微かに血臭が漂う路地裏で口にしていたタバコを指先につまむ。
そのまま、火のついたそれを倒れ伏した相手の肌に押し付けるとジュッと音がして僅かに焦げた臭いも漂い始めた。
その焼け爛れたタバコの痕に爪を立てれば、ずるりと皮膚が剥がれ落ちる。
だが、もう完全に意識がないのか目の前の憎たらしい男からは何の反応もなかった。
「おい、死んだか?」
一応声はかけてみる。
殺すつもりで振り下ろした足は、すんでのところでこいつの頭を踏み潰さずに終わった。
ただの気まぐれというわけではない。こいつに抱く殺意は本物で、いつだって本気で殺したいと思っている。
だが。
それでも、ぴくりとも動かない男を殺す気は足を振り下ろした瞬間には消えていた。
いつもならこんな風に無様に地面に転がるはずのない相手だ。

「…病み上がりだって言ってたか?」

おそらく一昨日の傷だろうとあたりをつける。包帯こそないが確実にアバラに罅は入れたはずだった。
無防備に晒された血塗れの男を見るとはなしに見下ろす。
思い切り打ち付けてやったのだから、さすがのこれも当分は目を開けないはずである。
ざっと見たところ大きなケガは頭部のものだけ。吐血は折れたか何かしたのだろう骨が内臓を傷つけたんだろう。残りは無数の擦過傷といったところだ。
嫌味なまでに整った顔も今は無残に血と打撲痕で汚れきっている。髪も頭部の出血でずいぶん汚れている。
ちっと舌打ちしてから、だらりと弛緩した身体を担ぎ上げた。
血が付着して気持ち悪いがまあ仕方がない。頭部の出血はすでに止まっているのかそれ以上血が零れる気配がないのがせめてもの救いだな。

「…も、ちょっと…優しく、してよ…」

声に視線をくれてやれば、うっすらと開いた独特な色合いの目が俺を見ていた。
眼球には傷が付いていないことを確認できて上々だ。
以前僅かとはいえ目を傷つけて時は、いくら臨也が相手でもさすがに暫く見るたびに居た堪れない気持ちになったことだし。

「俺のテリトリーでウロつきやがる手前が悪りぃんだろが。手前ぐらいだぜ、ここまで俺の気分を悪くさせるのはよ」
そう言いつつ足を運ぶ。行き先は新羅のところだ。
「そいつは、光栄だね…。でもさ、俺すっごく、痛いんだけど」
あんまり揺らさないで欲しいななどとのたまうノミ蟲野郎を睨む。

「我慢しろ」
「無理。俺はシズちゃんと違って普通の人間なの。分かる?シズちゃんが平気なケガでも俺は――ッ!!」

動けなくても変わらず減らず口を叩く男の腕を掴み力を入れて黙らせる。
ボキリと独特の音がしたが、まあどうせこれだけボロボロなら大差ないだろう。

「…ほん、と…もう少し、優しくして欲しいなぁ…」

切れ切れの訴えを鼻で笑ってやって、俺はとりあえずこ新羅のマンションへと足を速めた。








※恋人の定義って何ですか?な二人。
内臓傷付いてるのに乱暴にすんなよとか思わないでもない。


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