ライオンと猫
※パラレル。
匿名さまリクエスト「半獣静雄×臨也で砂吐く位の甘々」
金色の耳と尾。
それをふるりと揺らして、静雄は空気の匂いをかぐ。
甘い匂いだ。
静雄の様子に気が付いたのか、その源である男が「なに?」と首を傾げる。
不思議そうに見つめてくる目は独特な色合いをしていて。
そう言えば、自分を拾った時のこの男の目はきらきらと好奇心で輝いていて、まるで子猫のようだったと思い出す。
自分よりよほどこの男の方が半獣のようではないかと。群れを追われた獅子の半獣は苦笑した。
「いざや」
名を声にすれば、陽だまりの猫が楽しげに笑う。
「なあに、シズちゃん?」
「こっち来い」
呼べば、ふうんと目を細め気がない素振りをするところが実に猫っぽい。
ぱたりと一度尾で床を叩けば、臨也は仕方ないなぁとまた笑った。
弄っていたパソコンの画面を切り替えてから近づいてきたその細身に、静雄は迷うことなく手を伸ばす。
くふんと鼻を鳴らして擦り寄ってくる臨也の柔い身体を抱きとめてその頬を舐める。
「ん」
「逃げんな」
身じろいで逃れようとするのを首筋を軽く咬むことで押さえ込む。
「ちょっと、いちいち噛まないでよ」
「うるせぇ」
じゃれ付く程度の甘噛みでさえすぐに傷つく柔肌をそっと舐めて。
静雄は不満げに喉の奥で唸った。
逃げるなと言ったのに逃げようとするせいで、そこはうっすらと血が滲んでいた。
「シズちゃん?」
自分のケガに無頓着な猫のような男を膝の上に抱き上げて、シャツから覗く鎖骨を軽く食む。
別に血の味に興奮したわけではないが、欲情はしていた。
わずかに強張った身体から徐々に力が抜けて、また、ふうんと意味ありげに呟いた。
するりと、臨也の手が静雄の身体に触れてくる。シャツのボタンを外し、素肌に触れてご満悦の笑みを浮かべる。
「いざや」
警告の声を唸りに乗せて発すれば、おやという顔をされた。
気持ちがいいことが好きなこの男は、子猫がじゃれつくような無邪気さで静雄に触れる。
こっちの気など知ろうともしないで、だ。
静雄ははあと溜息をついて、臨也の身体を抱き起こし膝立ちにさせた。
「脱がせてやるから大人しくしてろ」
「いいけど、この前みたいに破かないでよ?」
一言多い。
くすくす笑う相手にそう言っても良かったが、今はそれよりもしたいことがあった。
だから、静雄は今は文句を飲み込んで彼の服を脱がしていく。
その間も頬や耳や唇を舐めて、軽く噛んで、その感触を確かめて。
手のひらで、指で、肌の滑らかさを堪能する。
「…シズちゃんって動物みたいだ」
やたら舐めたがる、と呟いた臨也に静雄は首を傾げた。金色の被毛に覆われた尾も一緒に揺れる。
「俺は動物だぞ?」
「…半獣って、動物なんだ?」
「だろう?とりあえず人間じゃねぇしよ」
人間とは違う人型を持つ生き物――それが半獣だ。遥か昔から存在する人類の隣人たる彼らは、独自の社会を持ちながらも長らく人類と良好な関係を築いている。
「そっか」
自分で言った割りにこだわりはないのか、臨也は静雄の髪に手を差し込みやや丸い金色の獣耳に触れて撫でまわす。
「俺、シズちゃんのこの耳と尻尾、好きだな」
「そうかよ」
「うん」
好きだ、ともう一度、耳元で囁かれて。
猫が甘えてくる仕草みたいだと静雄は笑った。
悪くない。
甘い匂いが近くにあって、たまらなくなる。
「ん…しずちゃ、ん」
「ちっと大人しくしてろ」
「俺も、もっと触りたいんだけど」
「だめだ」
意地悪だと睨む臨也の瞳は潤み始めていて。
金色の獣は嬉しげに喉を鳴らした。
※じゃれるライオンとにゃんこ。
せっかくの半獣設定が活かせてなくてすみません。しかもパラレル…せめて甘くなってればいいんですが…。
書き直し要請受け付けますので!
リクエストありがとうございました!
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