手から崩れ、砕け散ったのは何だったか
自分だけが触ることの出来ていたもの。
それを、砕いた。
砕いたのは誰。勿論、自分。
戻すことは出来る。
戻す気はない。
期待はしていた。けど、裏切られた。
行く宛もなく帰る宛もない、床に散らばった、戻ることのないもの。
(どうしようか)
迷いながらも、まだまだ砕けていくものをじーっと見ている。
ひとりでに砕けていく。
気持ちが悪い。
そう感じたのは、今が初めて。
気付いてなかっただけでずっと思っていたのかもしれない。
俺が触れる時点で、もう嫌だ。
なあ、なんで、なんだ。
なんで、大事な大事な物を砕いたんだ。
俺は触れる事が出来ないけど、お前なら出来る。同じ手でも俺とお前は違うんだ。見た目が、頭脳が、血が、一緒でも違うんだ。
あれはお前のものだ。俺に押しつけるな。