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!2010年8月21日〜22日・140字で臨波リレー
リルさんjoys蓮見さん



 ハンドルを握る手、アクセルを踏み込む脚。その、どこか引き締まった横顔を、嫌でも見つめてしまう。この席に座ったのは、久々だった。視線に気づいた彼の薄い笑いは、何も変わらないのに。…どうして私の鼓動は、速いのだろう。


 助手席
(渋滞が動き始めた)



「……なに?」
口の端だけを歪めて臨也は笑った。嘲笑う、というような表情。思わず眉根を寄せた。そんな事はない。そんな事は、あってはならない。
「意外、って顔だね」
 その不愉快な口だけは変わらないのね、と言いかけて、止めた。それでは、まるで……思考も止める。臨也は相変わらず嘲笑っていた。

「あなたはそうやってすぐ、いやらしく、笑う…」
「おれはきみには優しいよ」
「嘘よ、きたないわ」
 波江はふるふるとちいさな頭をふってみせた。きたないのよ…、もう一度、宝石をつややかにたらしたような空に向かって、いった。彼はきたなくて、ずるいひとだ。それでいて、慈しむような声をだす…。


 甘ったるい沈黙に耐えられず、唇を震わせた。
「どこへ、いくの」
 敢えて真っ直ぐに前を見据える。このまま、空に散らばる星の一部になってしまいそうで、それが癪で、それが、
「君となら、どこだって良い」
 それが―酷く魅力的で。
「ねぇ、」
 ああ、朝なんか来なければ良いのに。

「どこにいきたいの」






Special Thanks:紗原さん(ログありがとうございました!マジ天使!)