Disapper tear

 運命の歯車は回り出す



「お前、名前は何という?」

リオンさん?ちゃんかな。
まぁ、とりあえず彼女が艶やかな黒髪を揺らしてこちらを向いた。

でも、もう一人の美人さんに止められる。
その美人さんは柔らかい笑みを浮かべて、俺と同じ目線になるようにしゃがんだ。


「初めまして、お嬢さん。僕はカノン・クルフェレン。」

しっかりと俺の目を見てゆっくりと言葉を発するその人――カノン。


海に深く潜った時に見られる水のような深い青が、真っ白な白い肌に良く映えていた。
肩まで伸ばした髪は透明な水のような色をしていて、涼しそうな音を立てている。


「こちらは客員剣士のリオン・マグナス様です。失礼ながら貴女のお名前を教えていただけないでしょうか?」

後ろのリオンさん?を手で示し、カノンさんは更に笑みを深くした。何ていうか、すっごい綺麗。

同じように笑みを深くするのでも、先程の男達のような気味悪いものじゃなくて、優しくて綺麗だった。


「アリア……アリア・スティーレン。」

ちゃんと笑えて返せたかな。喉がカラカラしてて、うまく音が出ないや。
カノンさんは俺に向かってす…と細くて白い手を差し伸べた。うっわー…、何食べたらこんなに細くなんの?



「アリア、僕達のところにおいで?」
「おいカノン。勝手に決めるんじゃない。」


リオンさん?が心底嫌そうに言うが、カノンさんは笑顔を崩ささずににっこりと笑った。
うん、この二人、間違いなく女だわ。これで男だったらこの世の女の人、みんな負ける!断言できる!!



「お言葉ですがリオン様。彼女はソーディアンマスターの資質がありますよ?」
「…っ…!」

言葉に詰まったリオンさんにカノンさんは満足気に微笑み、こっちを向いて俺の顔を覗き込む。

「決まりですね。アリア、行こうか?」
「…………。」


いつの間にか握っていた真っ白な手。でも嫌じゃなかった。




だって、言葉も表情も。


とても暖かくて、心地良かったから――――…。

 


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