Short story ∇あなたと同じ場所@梓 「弓道を始めようと思う」 私がそう梓に告げると、梓は少し目を見開いてからはあ、と溜め息を吐いて私にこう言った。 「…本当に?」 本当じゃなかったら梓に言ったりしないのに梓は私に聞くんだ。 「うん。だから教えてね、梓」 私がそういうと梓はもう一回溜め息を吐いて頭をガシガシと掻いた。 「突然どうしたの」 「飽きっぽい梓が弓道にはまってるからどんなもんなのかなーって」 「ふーん…」 本当は、梓と同じことしたいだけなんだけどね…なんて本人には伝えられないし。 「…ま、やりたいならそれでいいけどさ」 「…私にできるかな」 ボソッと、小さな不安を零す。 これは色んな意味でできるか、だ。 正直私は人付き合いが得意ではないから弓道部に入って部員達と仲良くできるかわからない。 それに、梓みたいに矢を的に当てられることができるかもわからない。 私が俯くと、梓はこう言った。 「ただ弓を引くだけなら誰にでもできるよ。それだけなら、ね」 ただ弓を引けるだけじゃ無い。 梓と対等になれるように、梓と同じ場所に立てるようになりたい。 そしたら、梓に言うんだ。 「梓みたいに矢を的に当てたい」 「それじゃあちゃんと練習しなきゃね」 にやり、と効果音がつきそうなほど意地悪く笑った梓に私は唇を尖らせた。 「…梓が教えてよね」 「僕は厳しいけどそれでもできる?」 そう言って顔を近付けてジッと瞳を覗きくんでくる。 できるできないじゃない。 私はやってみせる。 これは、私が成し遂げたいことだから。 私が前に進むためにも。 「やるよ。私はやってみせる」 「…そう。じゃあ僕がみっちり教え込んであげるよ」 私は梓の言葉にうん!、と元気良く頷いた 。 私の未来のために、成し遂げてみせる。 私が梓に想いを告げるのはまた別のお話…。 弓道をやりたくてやりたくて書いちゃった。 04.08 Mon 05:07:07 ∇白い液体@春組卑猥なので注意してください。 「朝、誰もいない教室の床にあるものがありました…」 「で、それが白い液体?」 「はい羊くん答え言わない。つまらないでしょ」 「最初からつまらないし…」 「なんかいった?」 「別に…」 「…というわけで、白い液体があったんですよ。私は吃驚したよそりゃあ。…朝の学校で一人でシちゃうんだとか思ったわけですよ」 「お前なんの話してんだよ!?」 「哉太煩い。顔真っ赤にして言わないでくれる?こっちが恥ずかしいわ」 「お前が一番恥ずかしいわ!」 「とまあ哉太は放置して、私はそれをどう片付けようか悩んでたの」 「お前それ見て片付けるって考えに行き着くんだな…」 「じゃあ錫也だったらどうしたの?」 「俺は片付けるしかないけど…」 「でしょ?」 「いやお前は一応女の子だからな」 「一応とか…いや陽日先生が男はキスしたら次はセックスしたいとか考えるんだよって言ってたからさ、えっちぃ本読んで興奮しちゃったのかなって思って仕方ないなってなったわけなの」 「お前には恥じらいってもんがないのか!!」 「哉太は恥ずかしがりすぎ」 「そっそんなことねェ!」 「ハイハイ、声裏返ってますよ―。というわけで片付けようとしたら横山が入って来たの。私が白い液体の前でしゃがんでるのみて吃驚した顔してからスライディング土下座してきたの」 「痛そう…」 「ズザサァッ!!!って感じのいい音がしたのは覚えてる。確かに痛そうだった。私は何で土下座されたのかわからなくて取り敢えず後ずさったの。そうしたらね、横山が俺が飲むヨーグルト溢しちゃったんだ!!って言うからさ…」 「一人でシてるとか考えちゃってすみませんでしたって?」 「いやそんなこと思ってないけど」 「結局お前は何が言いたかったんだよ!!」 「白い液体が落ちてた話がしたかっただけ」 ちゃんちゃん 友達がとても卑猥な話をしてたから書いちゃった。 02.25 Mon 23:53:41 ∇何にも残していかないで@一樹私と一樹は幼馴染みだ。 小さい頃からずっと一緒にいた。 私は一樹にずっと甘えていた。 事あるごとに私は一樹一樹って名前を呼んで助けてもらっていた。 一樹は一時期荒んでいた時期があったが、私はそれを見てみぬふりをした。 大好きだった一樹が、優しかった一樹が人を殴ったり傷つけたりすることなんかないって。 その時、一樹と出会ったのが月子だった。 前より雰囲気が柔らかくなった一樹と、可愛い女の子。 私は一樹が月子の事を好きなのだと悟った。 ずっと一緒にいたのに、私ではなく他の女の子のこと好きになるなんて。 でも、ある事件をきっかけに一樹は月子に近づかなくなった。 私はそのことにホッとした。 もしかしたら、私を見てくれるかもしれないって。 だけど、一樹はどこか悲しそうだった。 それからは何事もなく中学時代を過ごして、一樹と一緒に星月学園に入学した。 そして一樹は星月学園の生徒会長になった。 いつ頃だったかもう覚えていないが、一樹が桜士郎を庇って窓から落ちて怪我をしたことがあった。 私は一樹が心配で病院に行こうとした時に事故にあった。 同じ日に怪我するなんて馬鹿だなぁ、と暢気に考えながら自動車とぶつかった。 気がついたら病院にいて、横に一樹くんがいた。 私は一週間近く眠っていたそうで、とっても心配された。 それと同じくらいに怒られもしたけど…。 仲良く入院生活を過ごしていたのは良かったのだけれど、出席日数が足りなくなって留年してしまった。 この時は親にも呆れられた。 でも親は高校はちゃんと卒業しろと言って、私を通わせてくれた。 一樹と、ずっと一緒にいれることが嬉しかった。 だけど、それは崩れた。 私達が三年になった時、あの女の子…月子が入学してきたのだ。 一樹のことを忘れていたのに、彼女は暢気に笑って過ごして私は苛ついた。 一樹は傷ついてるのに、なんでコイツは笑ってるんだって。 だから私は月子と仲良くなんてしたくなかった。 だから、ずっと避け続けた。 なのに一樹が月子と仲良くしてやれよって、悲しそうに言うものだから、仕方なく仲良くした。 最後の一年とは早いもので、気がつけばもう冬も終わろうとしていた。 私は一樹と月子の関係の変化に気がついた。 どこかギクシャクしていて素っ気なかった。 これは何かあったと思って一樹に問いただしたら、月子に告白されたということだった。 私は、ショックで仕方なかった。 一樹の片思いなら私に勝ち目があったかもしれないが、両思いならば私は勝てやしない。 それから卒業まで一樹と話さないようにした。 学科が違うことが幸いしてか、会うこともなかった。 卒業しても私は一樹と会わないようにした。 大学は一緒だったが、選択している科目が違うから会うことはなかった。 気が付けば私は大学を卒業して、社会人になっていた。 毎日毎日仕事ばっかで自分の時間もなかった。 会社から電車で帰ってきて、私は重たい足を上げてアパートの階段を上った。 ドアの横にあるポストを開けると、公告と葉書が一枚ずつ入っていた。 それを手にとって家の中へと入った。 暗い部屋の電気をつけ、葉書を見た。 そこには、不知火一樹と夜久月子の名前が横に並んでいた。 心臓がどくん、と大きく脈打った。 暑くない筈なのに背中に汗が伝う。 胸の辺りがキリキリして、肺が押されている感じがした。 そっと、葉書を裏返した。 やはりそれは結婚式への招待状で、私はその場にぺたんと座り込んだ。 その葉書をじっと見つめていたら、涙が頬を伝った。 私はまだ一樹のことが好きなんだ。 昔、ずっと一緒にいた私じゃなくて月子を選んだ理由を、一樹になんでなのか聞きたかった。 でも今ならわかる。 私達はずっと昔から一緒にいて、家族のように過ごした。 きっと兄弟にしか思えなかったんだ。 だから一樹は月子を選んだ。 でも、私は本当に一樹が好きだった。 私は一樹の好きなところも、嫌いなところも全て言える。 こんなことを私に残していかないで。 私のものになってくれないのなら、いっそ私から全てを奪っていってくれればよかった――… なんかよくわかんなくなった〇│ ̄|_ 結婚式の招待状ってどんな? ぬいぬいが留年してること忘れててつけたしたとか…。 そのうち書き直してヤる。 Title by 確かに恋だった 02.08 Fri 01:05:38 ∇Eternal sleep...@錫也私は東月が好きだ。 入学した時からずっと好きなんだ。 私達はもうすぐ卒業するから、もう少しで三年もたつというのだ。 三年も東月を見ていればわかるだろう。 東月が誰を好きなのか。 東月の想いは、私には向いていないということを。 ずっと、私と東月が出会う前から、その想いは月子に向けられていた。 それに気づいた時は悲しかった。 一晩泣いて学校を休み、沢山の人に心配をかけた。 正直言えば月子のことはとても憎かったし、嫌いになった。 でも、月子は私のことを本当に心配してくれているのに勝手に嫌いになって、勝手に恨むなんて馬鹿馬鹿しいにも程がある。 学校を休んだ次の日、東月と月子を見かけた。 二人はとても仲睦まじげに歩いていた。 私はその時気づいた。 東月に想いを告げて関係が悪くなるのより、想いを告げずにずっと友達のままの方がいいんじゃないかって。 その日から東月への想いは胸の奥底へとしまい、永遠の眠りにつかせた。 もう誰も恨んだりしないように。 私が想いを告げなければ全てがうまくいく…だから―― 英語よくわかんないφ(゜゜)ノ゜ 02.05 Tue 00:18:39 ∇ふたつの欠落品@翼私と翼は、どこか欠けていた。 私は痛みを感じることや、泣くことができなかった。 翼は、笑うことや怒ることができなかった。 人として大切な感情の一部が、欠落していた。 「なんで私と翼は違うんだろうね…」 「きっと、俺達が特別なんだよ」 翼は毎回そう言って私を励ました。 翼の言葉は私にとっては全てだ。 翼が人を殺せといったら私は迷わず殺すだろう。 いつからだったか、翼が気になり始めたのは。 そんなのはもう忘れた。 ずっと、昔から一緒にいた翼に私は惹かれていた。 それは翼も同じで、気が付けば私達は付き合い始めていた。 「この頃、君と一緒にいると嬉しいんだ」 そういった翼の口角は上に上がっていて、初めて翼が笑った。 その笑顔はとても、とってもぎこちないものだったけど、すごく綺麗だった。 気が付けば、私の頬を涙が伝っていた。 「泣いてる…?」 「…可愛いよ」 翼はそう言って、また笑った。 私の涙は止まることを知らずに流れ続ける。 この体が、渇れるんじゃないかってくらいに。 これは、嬉し泣きなんだ。 翼に会えたことと、ふたりで欠落していたものを掴み始めたことに。 私達は、ふたりでひとつ。 ひとりでは頼りなくて歩いていけなくても、私達ふたりならきっと進んでいける。 大きな未来へと。 ふたつの欠落品 翼くんおたおめでした。 一時間と一四分も過ぎてしまいました…。 こんな感じの話好きだな、と。 終わり方が好き。 title by joy 02.04 Mon 01:14:50 back |