▽3Z銀←高。無自覚。



 胸が苦しい。
 どきどき、どきどきと高鳴るこの胸は一体何だと言うのだ。十数年生きてきた中でこんな事は今まで無かった。激しく鼓動を打つ心臓。火照る体。勃ちあがった下半身のソレ。病気なのでは、と初めは疑った。パソコンや携帯を駆使してこういった症状が出る病気を探したのだが、該当せず。病気では無いのか、と少し安堵した自分が居た。病気では無いと言うのならば一体何なのか。俺の気のせいなのか。否、そんな事は無い。今でも、現在進行形で胸が苦しいのだから。
 ただ一つ、このおかしな症状に気になる点がある。普段生活している分には全く困らないのだ。何せ、普段は今まで生きてきたように体も心臓も正常に動いているのだから。だからこの症状に悩まされていても、誰も気づかない。毎日顔を合わせる万斉は勿論、来島やクラスの連中に心配されるなんて事はこれが始まってから一度も無いのだ。
 そう、これは担任である銀八の前だけで起こる現象。あいつと話す時、同じ空間に居る時、あいつの事を考えている時、起こるのだ。
 おかしい。俺の体は狂ってしまったのだろうか。では一体どうすれば治ると言うのだ。誰か、誰か教えてくれ。助けてくれ。
 嗚呼、廊下の端から此方に向かって歩いて来る銀色の姿が見える。また今日も正常な体が異常な体へと変わっていく。胸が苦しい。痛い。辛い。泣きそうだ。
 誰か、この病名を教えてくれ。



不可思議症状。


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