▽鯉伴存命。親子。会話文。
「鬼は外! 福は内!」
「よしっ、リクオ豆まきはこんなもんだろう」
「お父さん、これでボクの家にも福が来る?」
「おう。もう来たんじゃねえのか?」
「良かった! 此れで皆幸せになれるね」
「リクオ……。そうだなあ、ウチのもん全員幸せになれるな」
「うん。お父さん、次は何をするの?」
「ああ、次は豆を年の数食べるんだ」
「どうして?」
「一年間の無病息災を祈るんだよ」
「へぇ、分かった! ボク食べるよ」
「リクオは……三つな」
「はーい。戴きます」
(食べてる姿も可愛いなあ。流石は俺の息子)
「食べた! ご馳走様でした」
「此れでリクオの一年は安心だな」
「お父さんは?」
「え?」
「お父さんは年の数食べないの?」
「お、おう食べる、食べる」
「四百個だっけ」
「……豆を、四百」
「むびょーそくさいの為だよ! 頑張ってお父さん」
「……っ。が、頑張る。父さん頑張るから、リクオはそこで見てな」
「うんっ」
「戴きます。……はあ」
「先ずは一個!」
(道程はなげえなあ……)
二月拍手御礼。
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