▽3Z銀高。



「せんせ、」
「なあに、高杉」
「キス」
「駄目」

 この会話ももう何度目になるだろうか。付き合うようになってからだから、もう百回は越えている気がする。何回、何十回繰り返しても先生から返ってくる言葉は否定の二文字。オッケーなんか貰った事はない。
 先生はセックスが好きだ。毎夜毎夜次の日が仕事だろうが休みだろうが関係無く俺を求めてくる。それは良い。俺もきもちいいのは好きだから。不満があるとするのなら、キスを貰えないという事。

 セックスが好きな先生は、キスが嫌いだった。

 唇と唇が触れ合うのが嫌だと言う。汚い、と言う。

「俺の尻穴に挿れる方が汚いだろ」
「汚くないよ。高杉のナカは綺麗」
「嘘」
「本当」

 この会話ももう何回目だろうか。そろそろ飽きてきた。この一連の流れも疲れる。此れが先生と付き合う限り続くのだろう。キスが欲しいならば別れて他の人間とキスをすれば良いじゃないか、と言われた事もある。それは違うんだ。俺はキスが欲しい、他の人間のじゃなくて、目の前にいる先生の。

「せんせ、キスして」
「……だーめ」
「キス」
「駄目だって言ってるじゃん」
「せんせい」

 お願いだから、キスしてよ。





くちづけを待っている


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