▽銀高/死



 高杉が捕まったという情報が俺の耳に届いたのは捕り物が行われた一週間後。丁度その時、テレビが壊れ更に追い討ちをかけるようにして俺と神楽が風邪をひいた。新八にうつすといけないから、という理由で必要な物だけ買ってきてもらい、暇を与えた。
 そうしてやっと風邪が治り、外を歩ける状態になったので久し振りにパチンコでも行こうと外出してみれば外がいつも以上に賑やかだ。浮かれているような、そんな感じ。どうしたのか、と下の階のババアに聞いてみれば、あの過激派テロリスト高杉晋助が捕まったのだと返された。

高杉晋助が、捕まった。

 まさかそんな筈が無いだろう。だってあいつは人一倍気配等には敏感で、俺と渡り合える位の強さを持っている。なのに、捕まった? 何故、何故、どうして。

「処刑は今日の午後なんだとよ。これで少しは江戸の街も平和になるかねぇ」

 冗談じゃない。高杉を殺すのは江戸の役人でもなく、真選組の連中でもなく、この俺だ。勝手に人の物に触らないでほしい。あいつは、俺のなんだから。
 気付けば何時ものように洞爺湖を握り締めて駆け出していた。走る、走る、走る、走る。嫌な汗が額から滴り落ちる。嗚呼、どうか間に合っておくれ。あいつを取り戻す為の時間をください、誰か。
 走って走って走って漸く辿り着いた処刑場。沢山の人だかりを掻き分けて一番前へと進む。中央には刀を持った真選組と、縛られたまま座らされている高杉の姿。良かった、まだ間に合った。大丈夫だよ。今、助けるからね。

「高杉!」

 大声で名前を呼ぶと、俺の声に気付いたのか此方を見て昔のように優しく微笑んだ。なんだ、まだそうやって笑えるじゃないか。助けるから、今度は俺の目の前で笑ってくれ。

「たかすっ、」

 柵を飛び越えながらもう一度呼び掛けようとしたその刹那。沖田君の刀が高杉の首に降り下ろされ、なにかを切断する音が聞こえた。
 ごろり、と転がった、そのまあるい物体は……。






落ちる、くび。



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