▽銀高/3Z



「高杉は俺なんかで、本当に良いの?」


 二人きりになると必ずと言って良い程、先生は辛そうな表情でそう尋ねてくる。毎日毎日。何度も何度も。俺が「先生が良い」と言っても数時間経てばまた同じように尋ねるのだ。
 不安なんだ、と先生は言う。男同士だし、年離れてるし、教師と生徒だし、と。そう話す先生は辛そうで、今にも泣き出しそうな表情をしているのだ。透き通った赤い瞳がゆらゆら、ゆらゆら揺れて涙が零れるのではないかと思う位。

「其れがどうしたってんだ」

 俺は、思う。男同士とか、年齢が離れているとか、教師と生徒という世間では禁断の恋愛と呼ばれるような間柄だとか、そんなのどうでも良いじゃないか、と。只、俺達が好きになった相手が男で、しかも歳も離れていて、教師と生徒だったってだけで。何も俺達は悪い事なんてしていない。たまたま、偶然世間からは白い目で見られるような事が重なっただけなんだ。良いじゃねえか、白い目で見られる位。俺は、先生と一緒に居られるなら何だって受け止めるよ。好きになってしまって、愛してしまったんだから。後悔なんかしてねえんだ。嫌だ、とか思わないよ。
 だから、先生。そんな辛そうな顔すんなよ。俺まで辛くなっちまう。

「先生、好きだよ。愛してる」
「俺も高杉の事、愛してる」

 数時間もすれば同じ事を尋ねてくるのだろう。その時はまた安心させれば良いのだ。何回も何百回も、素直な気持ちを伝えれば。


愛を唄え。


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