短編 | ナノ


出会ったのはーーいつだっただろうか
彼に始めてあった時彼の第一印象は「獣」だった
正確には「野生の獣」だ
彼に興味がでたのはある日のたいいくの授業だった
その日、男子はバスケだった
彼がバスケ部に入っていた事は知っている
(全校朝礼の日に屋上で叫べば誰もが覚えるというものだが…)
黒子くんのパスが彼に渡り、彼はそのままダンクを決めた

「ちょ、ゴール壊れんじゃね!?」
「この前、海常で壊したって聞いたぞ」
「まじで!?」

周りがただただ騒ぐ中私はただ感動していた

あんな表情をするのだと
キラキラ輝いて、バスケを心から楽しんでいて、大好きだと言っているような表情

多分、この事がなかったら私は彼の隣にはいなかったんだと思う
私にとっては運命だった

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ハーと手に息をかける
手は一度湿っぽくなり、暖かくなる
でも、それは一瞬の事で…

ふわっ…

首に布がかかった
視線を上に変えたらいたのは大我だった

「たっく、先に帰っていいって言ったろーが」
「だって、バスケ部今WCに向けて、休日も部活で会えないんだから、せめて一緒に帰りたいの!」
「…っ//せめて、学校なか入ってろよ。ほら、帰んぞ!」

大我はそう言って、私の手をつかんで歩き出した
大我の手は大きくて、暖かい

「なぁ、バーガー食べに行ってもいいか?」
「またぁ?あんな食事してていいわけ?仮にもスポーツ選手でしょ?」
「仮にもは余計だ!一個わけてやっからさ」
「もー」

私の歩幅にあわせて歩く彼

「また、黒子くんがいるかもね」

ーーぶっ!!

「ちょ、汚い!」
「わ、わりっ」

ちょうど、彼と目があった

ーぷ
ーくくっ

「大我!バスケつづけてよね」
「たりめーだ。やめてたまるかっの!」

あの時と同じ笑顔で話す彼
私は彼のこの表情に惚れたんだよ

ただ一つの愛
(私の始めで、最後の恋)

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