綱海と立向居 10年後 ちずる様 | ナノ

変わるモノ
と変わらないモノ
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久しぶりに会った立向居は10年前の面影は残っているものの、凛々しくなって、背も高くなっていた。

「久しぶりですね、綱海さん」
「…っああ」

10年という長い年月の間にこいつは何を学んで、何を見てきて、何をしていたのだろう。聞きたいこと、話したいことはたくさんあるのに会えた嬉しさで言葉が出てこない。

「……背、」
「え?」
「背、伸びましたね。175pぐらいですか?」
「あ、ああ」

確かにこの10年で俺は背が伸びた。特に高校に入って、立向居だって伸びてんじゃん。って言いたいのに、やっぱり俺の口は動いてくれない。ああ。しか言えないなんて…………なんて無様。

「うらやましいです、あの頃はあなたを追い越すために毎日、牛乳を飲んでいたのに。10年経ってもあなたを抜かせないなんて……あはは…」
「立……向居…」

苦笑いしながら立向居が昔を懐かしむように話す。……のを黙って聞いていた。言え、言え、お前も伸びたよなって。今、168pぐらいだなって。

「……お前も…伸びたな」
「え?」
「背が…高くなって…」
「そうですか?」
「さらに……可愛くなって…」

言ったあとに気づいた。たしか可愛いは禁句だったハズ。あー、やべぇ。こんなこと言うつもりなかったのに、何言ってんだよ俺は。

「……良かった…」
「え、?」
「綱海さん……変わってない…」

俺の可愛い発言に怒るかと思ったけど、笑顔をこぼしていい放った。その笑顔さえなんら変わってない。俺が昔から、ずっと好きな……笑顔。

「なんで…笑顔なんだよ。昔、可愛いって言われるの嫌だって言ってたじゃねぇか」
「綱海さん、さっきからずっと…ああとかしか言ってくれないから綱海さんじゃないのかもって思ってたので」

10年前と変わらず、しつこく俺に可愛いって言ってくれる綱海さんのままで嬉しいです。なんて言われて……恋人にこんな可愛いこと言われて我慢なんて出来ねーんだ。可愛い恋人を前に理性を保てるほど、俺は立派な大人じゃない。

「っ立向居!!」
「わ、綱海さん…っ?」
「久しぶり、背高くなったな、ますます可愛くなったな、凛々しくなったな、笑顔が変わってないな、ずっと会いたかった、……立向居………大好きだ」
「…綱海さん……俺もずっと会いたかった…、大好きです」


涙目で笑顔の立向居が一瞬、10年前の姿と重なった。すごく懐かしくなって、昔の思い出が溢れてくる。

「…立向居…、」
「はい…?」

立向居の体をグイッと引き寄せてその存在を確かめた。ああ、立向居だ。と思うほど、やっぱりその抱き心地は昔と変わっていなくて、嬉しかった。背だって、俺も立向居も伸びたけど俺達の距離は変わっていないんだ。

「俺たち、変わったんだな。大人みたいだ」
「みたいじゃなくて、大人なんですよ」

10年もの間、離れていた俺たちは変わった。背と声と態度、落ち着いた大人だ。









「変わるモノは変わります。でも、この綱海さんへの気持ちは変わらないモノです」

はにかみながらそう言われ、そっと可愛らしい唇にキスを落とした。



「俺だって、変わんねぇよ」

end

ちずる様リクエストの24綱立でした!!
私の中では、綱立はバカップルです←ラブラブすぎな(笑)

とりあえず10年経っても2人の気持ちは変わらないんです、ということを伝えたかった分かりにくい小説となっています←


リクエストありがとうございました\(^o^)/これからも、開口一番と林檎をよろしくお願いします。

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