マサ蘭♀
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バリバリバリバリ。
暇。と短く呟いた狩屋が机に顔を伏せた。
俺はというと煎餅を食べながら『週刊恋愛マニア』を読んでいた。

「最近相談ないですね」

「…たしかに」

狩屋の言う通り最近相談の件数が本当に少ない。
正直暇なわけだ。

「暇だから狩屋の恋愛相談でも聞いてやるよ」

「特に相談する事はないです」

「えー…」

つまんなーい、と俺はまた煎餅を食べはじめる。
二袋目に手をつけようとした瞬間、ガララとドアが開く。きた!

「あの…」

「はーい!恋愛相談部へようこそ!狩屋!お茶!」

「はいはい」

ドアを閉めて、入ってきた女の子を見る。胸元のリボンから1年生だということがわかる。
椅子に座らせて狩屋が出したお茶をすすめる、あとさっき開けた煎餅も。

「え、と」

「あ、名前とかは聞かないから!」

俺は口にお茶を含み女の子の顔をちらりと見た。
なんとなくだが、男の子には聞かれたくないのかもしれない。
狩屋にちょっとでてけと目で合図。

「私、好きな人居るんです」

「うんうん」

「その人、3年生で、あまり関係性も無いんです」

一生懸命に話す女の子をみて、ああ恋してるんだなあって思う。
こんな風に恋愛相談を受けているけど、俺は彼氏もいないし恋人だっていた事なんかもない。
だけど、少しでもみんなとためになれたら、と思い相談を受けている。
南沢さん曰わく、誰かが聞いてくれれば楽になる事もあるらしい。

「君は何か部活はいってるのかな?」

「音楽部です」

「好きな人は?」

「卓球部…」

あ、この子はその卓球部の子と話をした事がないな。
なぜなら俺の目を見て話さないからだ。
人見知りってとこかな。
俺は立ち上がり女の子の肩をぽんっと軽く叩いた。

「まずはその子と話をしてみてからかな?相手も君と話をしてみないと分からないだろうし」

告白はそれから。
にっこり笑うと女の子は笑顔でありがとうございます。
部屋を出て行く女の子を見て、ああ青春しているなあ、と感じた。

「相変わらずいいアドバイスしますね」

「人間観察とか好きなんだよねー」

「鈍感なのに?」

「は?」

なんでもないですと狩屋は言い、椅子に座って飲みかけだった俺のお茶をずずっと飲んだ。まだ飲みたかったのに。
俺は狩屋の隣に座り煎餅に手を伸ばす。
バリバリと静かな部屋に響くうるさい音だ。

「あー恋したいな」

そう言った言葉も部屋に虚しく響いたのだった。

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