マサ蘭
まおさんリクエスト
暗所恐怖症霧野先輩
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最近先輩の苦手な事が少しずつわかってきた。
そりゃあ彼氏として知っておくことだし、俺が何気なくしたことが霧野先輩にとって嫌なことだったら嫌だしね。
それで、霧野先輩の苦手なものその1。ピーマン。
いや、かわいいなあとは最初は思ったのだが、好き嫌いはいけない。いつも霧野先輩のお弁当は俺が作るのだが、先輩は匂いに敏感らしく、お弁当のふたを開けた瞬間「ピーマンいれただろ!」ってオムライスで隠したはずのピーマンを見破った(嗅ぎ破った?)のだ。
だけどきっと先輩のピーマン嫌いを克服させてやる。
そして、先輩の苦手なものその2。携帯。
一見メールを打つのが早そうな霧野先輩だが、メールを打つのもサイトを検索するのも、いろんな用語とかが苦手だ。
以前、俺が霧野先輩に電話をしたとき、先輩は電話に出たものの、誰だ?といわれショックを受けたことがある。
どうやら俺の携帯電話の番号をいれてなかったらしく、ディスプレイに名前が表示されていなかったらしい。結構傷ついたが黙っておく。ピーマン嫌いや携帯、いや、機械音痴は治せるのだが、霧野先輩の苦手なものその3はちょっとやそっとじゃ治せないものだった。

「今日さ、うちに親が居ないんだ」

部活が終わり、急に霧野先輩に腕をつかまれた。
てっきり夜のお誘いかと思ったのだけれど、霧野先輩にとっては重要なお願いだったみたいで。
営みに必要な道具を持っていくべきかを一旦帰った家で悩んだが、今日は(とかいいつつまだシたことはないが)紳士的にいこう。そう誓いパジャマのポケットにコンドームを忍び込ませる。最低とか言うな。
先輩の家に着いてリビングに通され、先輩がソファーに座る。その横に俺が腰を下ろすと、霧野先輩が俺をみてにこりと笑った。いけるんじゃないか。もしかしたら今夜キス以上の事ができるんじゃあ…。
俺は鞄に入っているパジャマのポケットに入っているコンドームを握りしめた。
先輩の肩に手をまわして顔を近づける。霧野先輩は目を閉じて俺を待っているみたいだ。ドキドキしながら付き合ってから25回目のキスをする。…なんだよ、キスの回数数えてちゃ悪いか。

「やっぱりいつしても照れるな」

「あんまりかわいいこと言わないでくださいよ」

「え?」

肩に回していた手を戻し、先輩の肩をがっしりとつかむ。そして先輩をソファーに押し倒すと霧野先輩の顔がみるみると赤くなる。服に手をかけて今からいいところ、というのに、先輩の携帯がリビングに鳴り響いた。

「あ、えっと…」

「でていいですよ?」

「うん、ありがとう」

もしもし、と先輩が携帯を耳に当てる。どうやら旅行中の霧野先輩の親御さんのようだ。

「え?あめ?お菓子かごの中に…洗濯物?あ!雨って天気の方かよ!今から取り込むから!うん、うん、大丈夫だよ、狩屋と一緒だし…からかうなよ母さん!じゃあ気を付けてな。はい、はーい。」

「お母さんですか?」

「うん、なんか雨降ってるみたいだから選択取り込んでくる」

「俺も手伝いますよ」

カーテンを開けて窓から外の様子を見てみると、雨がちょうど降りだしてきたところだった。
先輩が外に干してある洗濯物を取り込み、俺に渡す。全部取り込み終わり、先輩は家の中に入ってくる。俺が家から持ってきたタオルを霧野先輩の頭に乗せると先輩は小さな声で「ありがとう」と言い、笑う。ああ、かわいい。
洗濯物を中にほしなおそうとした瞬間だった。
ごろごろ、と雨には付き物の雷が大きな音をたてた。

「先輩、大丈夫ですか…」

「い、いやだ…」

先輩は小さな悲鳴をあげながら俺の腕にぎゅうっと抱きついてきた。てっきり雷が嫌いなのかと思いきや、どうやら違うようで。

「ろうそく…」

「どうしちゃんたんですか、霧野先輩」

「…おれ、暗いのだめなんだ」

どうやら先輩が怖がっているのは雷ではなく、雷で停電した真っ暗が嫌いのようだ。
どうして苦手なのかはわからないらしい。
先輩のお母さんが心配していたのはこの事なのかもしれない。

「大丈夫ですよ」

先輩の頭をしっかりつかみ、細い腕を引き寄せる。すると、落ち着いてきたのかすっかり俺の腕のなかで霧野先輩はスヤスヤと寝息をたてていた。
軽く霧野先輩のおでこにキスをしてソファーに寝かせ、一旦その場を離れようとすると手をガッチリ捕まれる。

「いっちゃやだ、狩屋、ここにいて?」

起きてたのかと思いきや、どうやら寝言のようで。
仕方なく先輩の手をつかみながら俺も眠りについた。

「か、かりや、かりやー」

眠い目をごしごしと擦り回りを見渡すと昨晩の雨が嘘のように晴れている。どうやら朝のようだ。

「あ、おはようございます」

「おはよう…じゃなくて!おふろ!めし!なんもしてない!」

どうしようどうしよう、と慌てる先輩がかわいくてついつい抱き締める。するとぎゃー!と急に先輩は叫んだ。

「お、おふろはいってないから…」

「先輩いい匂い」

「ばか!かりやのばか!」

あたまをぺちぺちはたかれて、仕方なく離れると、先輩は下を向きながら「昨日はありがとな」と照れながらそう言った。
聞いてるこっちも照れていると「これからもさ、俺がこんな風になったら助けてくれる?」と霧野先輩がそう言った。
そんなの答えはひとつしかないだろう。

「もちろんですよ」

(俺は先輩を守り続けます。)

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リクエストありがとうございます!
長くなったかが微妙なのですが、楽しんでもらえれば嬉しいです。
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