あねといもうと!
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いつだったか天馬が「あの時京ちゃんが風邪で行けなかったトリプルデートしませんか?」と言ってきた。
まあそのうちな、と濁していたのだが、狩屋と付き合いはじめてちょうど1ヶ月がたった今日、天馬はトリプルデートしましょう!といきなり狩屋の家に押しかけてきたのだ。
俺はちょうど狩屋の家に遊びに来ていた。所謂お家デート、というものだろうか。
よくみると三国さんも南沢さんも京ちゃんも居て、今すぐにでもデートに行けそうな雰囲気だ。
「いや、天馬くん。ちょっと急すぎない?」
「全然急じゃないよ!さあ!今からレッツトリプルデート!」
そう言われて俺と狩屋はため息をつきながらもそもそと準備をはじめたのだった。
「場所はどこにするよ」
南沢さんが先頭を歩きながら後ろを振り返る。
相変わらずの美しさに同性ながらもうっとりとしてしまう。
こんな美人な人と一緒で狩屋は惚れてしまわないかと不安になり、ぎゅっと狩屋の手を握った。
そしたら狩屋はわかってますよと言わんばかりに俺の頭を撫でる。
「そこのお二人さん、なーにいちゃいちゃしてんだよ」
南沢さんが俺たちにびしっと指を指した。と思いきや俺たちの前に居る天馬と京ちゃんに指を指していたのだ。
相変わらず天馬の一方的な愛情表現だが。
「南沢さんも三国先輩といちゃいちゃすればいいじゃないですかー」
天馬が京ちゃんに抱きつきながらそう言った。
「南沢はあんまり甘えるタイプじゃないからな」
「なんだよ三国。甘えてほしいのかよ」
「頼ってくれてもいいんだぞ」
「誰がお前なんか!」
ぎゃあぎゃあぎゃあといつもクールビューティーな南沢さんが声を上げて照れていた。
これがまさに彼氏パワーなのか。三国さんすごい。
結局どこに行くのか全然決まらなく、ぶらぶらと俺たちカップル3組は町の方へとでた。
「あ、水族館とかどうですか!」
天馬が目の前にある水族館を指さしながら京ちゃんの肩にすりすりした。
それをうらやましそうに見る狩屋は放っておこう。
「いいんじゃね?」
「ああ別に構わないぞ」
水族館なんか久々だなーと笑う三国さんに南沢さんがいつ誰と行ったんだという目でみてる。嫉妬だ。
「俺は初めて行くなあ」
ぽつりと俺が言うと狩屋は俺の手をきゅっと握ってきた。
「じゃあ最高のデートにしましょうね」
ああ、笑顔が眩しい。
「京ちゃんとは前に行ったよねー!」
「…松風」
「はい」
「俺をまた鮫コーナーに連れて行くのだけはやめてくれよな」
「なに、京ちゃん鮫苦手?」
天馬を睨みつけながら京ちゃんはこくりと頷いた。
そんな様子をみて天馬はにやにやしている。
きっと怖がる京ちゃんを見ていたいんだな。
「先輩は苦手なものないんですか」
「お前はなにを狙ってるんだ」
「先輩がきゃーかりやこわーい!っていうのを」
「魚だいすきーきゃー」
ぎゅーっと狩屋が後ろから抱きついてきてため息がでる。
あんまりベタベタされると恥ずか、しい。
「ほら、はいるぞー!」
南沢さんが受付で買った券を俺たちに渡した。
「イルカショーとかやるかな」
「やるんじゃないですかね」
きっちり繋がれた手が恥ずかしい。
なんとなく手をぶらぶらと揺らして周りのペンギンを見る。
ちなみに京ちゃんは天馬に無理矢理鮫コーナーに連れて行かれ、三国さんと南沢さんは小さい魚をみているみたい。
俺たちはペンギンコーナーを過ぎ、周りが水に囲まれたトンネルについた。
なんだか不思議な気分。
「水ん中にいるみたい」
「そうですね」
「…狩屋」
「はい」
「あのさ、次はさ…2人で…」
ちゅっ、とトンネルのど真ん中でキスされた。もちろん俺たちの他にも人はいるわけで。
「次は2人できましょうね」
「っ、うん」
(その後南沢さんに顔が真っ赤だと言われたのはまた別の話)