マサ蘭♀
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霧野ってかわいいよな。
ああ、あの綺麗な目とか、ふわふわした髪の毛とか。
そうそう、しかも性格よし。
彼女にするなら絶対霧野。
これは中庭で菓子パンの袋をぐるぐると回しながら霧野先輩を待っている時に近くの男子が話していた会話だ。多分先輩と同じ学年の男子であろう。
その後の会話はあまり聞きたくないような話だった。
先輩とヤるならとかムカつく話。
俺と先輩は付き合ってるけどまだそのようなやらしい事はしていない。先輩は所謂処女なのだ。
だから誰かの妄想の中ででも先輩の初めては奪わせない。妄想した奴全員でてこいよ。ハンターズネットかましてやる。
それにしても、だ。
「ムカつく」
心の中でつぶやいたつもりだったのにどうやら口にでていたらしい。
なにしてんだか。ふう、とため息をつき頭をかかえる。
「狩屋、遅くなった」
ふわっとみんなより少し長めのスカートを揺らして先輩はやってきた。
近くに座る先輩からはいい匂いがする。香水とかじゃなくて先輩って香り。言っておくが俺は変態ではない。
「ごめんな?おなかすいてるのに待たせちゃって」
「いえ、大丈夫です」
先輩は俺が持っている菓子パンをみて「今日はいちごジャムかー」と笑う。
その顔は一口もらうぞ、な顔だ。
先輩の頭をなでて昼飯にする。先輩が広げた弁当からはすごくいい匂いがした。俺はからあげをもらうとするか。
「さっきさ、」
急に口を開いた霧野先輩にびっくりした。もしかしてからあげもらおうとしたのがバレた?
「こくはく、された」
口にお箸を入れながら先輩は小さくつぶやく。
なんだって?先輩が告白された?
頭がぐるりと回る。
「もちろん断ったさ。俺には狩屋がいるし」
「…そうですか」
なんとなく先輩の手を握る。離したくない。できる事なら一生離したくない。
「狩屋?」
「霧野先輩…」
「なに、どうしたんだよ」
「なんでもないです」
嫌な言葉が頭に浮かんだ。
もし俺より霧野先輩に好きな人ができたら。
いや、考えるのはよそう。
口の中に甘いはずのいちごジャムが広がる。全然、甘くない。苦い。
その日の放課後。
俺は霧野先輩と一緒に部活を行こうと思い先輩の教室の前に来ていた。
しかし、なかなか入る勇気もなく、ドアの前で待ち伏せをしていた。のだが。先輩が全然でてこない。
待ちきれなくなり、ドアの小さい窓から中を覗くと霧野先輩は男子生徒に囲まれていた。
ドアに耳をつけて中の会話を聞く。
「霧野ってさ、年下と付き合ってるんだってな」
「なんで年下なわけ?お子様じゃん」
「俺たちの方が話あうしさー」
「あんな生意気そうな奴やめてさ、俺たちと付き合ってみない?」
「はあ?冗談やめろよ」
そんな感じだったろうか。
途中からは怒りで話の内容を覚えていない。
だけどこの男子たちが霧野先輩の事が好きだということは分かった。ムカつく。ムカつく!
ガラッとドアを開き、霧野先輩を囲んでいる男子を睨む。
相手は先輩だ、とか考えてる暇なんかない。
霧野先輩をこいつらから、離さなきゃ。
「俺の彼女になにしてんスか」
「なあ、こいつ」
「霧野の彼氏ってこいつか」
ひそひそ話がいちいちムカつく。
「狩屋、部活に行こう」
囲まれていた霧野先輩は無理やり男子たちをかき分けて俺の手をつかんだ。
そしてにっこり笑った。
どうやら先輩はナンパされていたとは思ってはいなかったみたい。
「先輩さ」
「え?」
強く先輩の手を握り、霧野先輩の目を見つめる。
「モテるって自覚してください」
「なにいってんのお前」
「先輩はかわいいんです。綺麗なんです。完璧なんです。」
だから俺には釣り合わないんだ。とても。
「うーん…別にモテてはいないんだけど」
「さっきのはナンパですよ!?もっと自覚をですね…」
「狩屋が守ってくれるんだろ?」
ピタリと立ち止まりふわふわ笑う霧野先輩にドキドキする。
なんてかわいく笑うんだこの人は。
「…もちろんですよ」
俺は誓うように霧野先輩の左手の薬指にキスをした。
(俺があなたを一生守ります)
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ゆゆさまリクエストのマサ蘭♀で男子からモテモテ霧野(無自覚)と苛々モヤモヤ狩屋、甘々でした!
モテモテ霧野というか男子生徒にナンパされる霧野先輩を守る狩屋くんな話になってしまいましたうわあああでも♀霧野先輩はかいていて楽しかったです!
リクエストありがとうございました!
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