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2012/02/13 11:31



2月14日バレンタインデー。
好きな人が居るわけでもないが、部員みんなにお世話になっているわけだから俺はチョコを作ってきた。
こんなこと男子でするの俺くらいじゃないか、とか思ってしまったが最初に会った天馬にチョコをあげたら「先輩なら問題ありません!」と言い学校へ走っていった。
どういう意味だかさっぱりだけれどまあ喜ばれたしいいだろう。
通学路で大体の部員(と言っても3年や1年の人たちだけど)に会ったから渡せたのは渡せたんだけど。

「神童と剣城がいないな…」

神童は歩きで学校は行かないから納得だが、剣城がいないのは何故だ。
でも部活の時に渡せるんだし、神童とは同じクラスだし、大丈夫か。
と頭のなかで納得し、そのあと1人の顔を浮かべてしまった。

「狩屋、」

なんとなくだが狩屋にあげるのは、と思っていた。
最初のうちはいちいちちょっかいだしてきたくせに今ではたまに優しくされるし、なんか、調子くるうな。
あと「先輩女の子みたいですね」ってバカにされそう。
言われてないのに脳内でばっちり再生された声をぶんぶんと頭を振り、消した。
もやもやしながら校門に1歩踏み入れると人が群がっている。
モテる男子に群がっているんですね、ははは。
ちらっとみたら女子の中心にいるのは神童だ。
毎回こんなかんじだから神童も慣れてる感じだな。
神童と目があった。

(あ)

先に教室いっててくれって目が言ってる。
1人で行くのは寂しいけれど校庭を抜け下駄箱の前に立った時。

「霧野くんおはようございます」

「あ、速水。おはよ」

ちょうど速水が居たから教室まで一緒に行こうと思い、下駄箱をあけ。

「え、」

「き、霧野くん…さすがですね…」

でてきたのはかわいくラッピングされている所謂バレンタインチョコの数々。

「こんなに食べたら俺太る」

「じゃあ俺もらっていいー?」

「ぎゃああ浜野くん!いつの間に!」

「さっき!おはよー霧野と速水ー!」

「おはよう…ていうかあげないからな、ちゃんと食べるし」

「さっすが!でもあきらか名前が女の子じゃない人からのチョコはいってんよー」

「あ、本当ですね」

「…」

「男女からまんべんなくもらえるんだな霧野!」

「うるさいな…あ」

そういえば2人にあげなくちゃ。

「はい、チョコ」

「え!いいんですか!」

「霧野…やることが女の子だなお前」

「そういう事言うとやらん」

「ああ、うそうそ!霧野さまさまー!」

やっぱりこいつらといると楽しい。
この2人と倉間と神童がいればいつものメンバー、だ。
その後倉間にも会い無事にチョコを渡せた。
けれど神童にあげるタイミングがない。
休み時間のたびに女子に群がられるサッカー部キャプテン。さすがだ。
その光景をカメラに毎回おさめる山菜もさすがだ。
昼休み。
相変わらずの神童に近づけなく、1人で中庭でご飯を食べようとした時だった。
きゃあ、やら、わぁ、やら狩屋くん!などの声が中庭から聞こえる。
…ん?狩屋くん?
ちらり、と影から覗くとそこには狩屋と数人の女子がいた。
手にはチョコ。
狩屋って案外モテるんだな、と思っていたら胸が何故かズキッとした。

(ズキッ?)

その光景を無意識に見ていたら女子に囲まれる狩屋と目があってしまった。
まずい、と思い顔を引っ込め丸くなる。

「せーんぱい?」

見つかった…。
仕方なく顔をあげると狩屋の顔が目の前に。

「ぎゃ!」

「うわ、色気ない悲鳴」

「う、うるさい」

狩屋の手元をみると大量のチョコがあった。
チョコをみていたのに狩屋が気づきくす、と笑われた。

「なんだよ…」

「たくさんもらっちゃいました」

「そうだな」

「先輩から、は?」

「は…?」

「天馬くんと信助くんが霧野先輩からもらったーって言ってました」

「普段みんなにお世話になってる、から」

「義理チョコかー本命とかあげないんですか」

「あげる相手が居ないって」

「ふーん…。で、部員みんなにあげるって事は俺にもくれるんですよね?」

「あ、」

あげられない人の分は部活の時にあげようと思ってたからカバンの中にある…。

「いま、無い」

「はー?」

「部活の時にあげるから待ってろって」

と、言うかそんなにチョコ貰ってるならいらないだろ、と自分につっこむ。

「待てません」

「?じゃあ持ってくるよ」

「いえ、これでいいです」

「は…」

狩屋に肩をぐ、とつかまれ見つめられた。
なにがなんだかわからない。
肩をつかまれたと思ったら次は頬に手を添えられるし。

「かり、や?」
頬にあった手は目に移動されてなにも見えなくなった。

「ちょ、」

「先輩、おとなしくしてください」

「え、あ、んっ!?」

唇になにかが当たった。
狩屋の手のせいでなにが唇にあたってるかわからない。
けれど狩屋のあの顔の近さ。
もしかして。
狩屋の手が目から離れて、目をそっと開けると狩屋はにやっと笑っていた。

「かり、や…」

「おいしかったですよ?センパイ」

「!」

部活の時にはムカついて狩屋にはチョコをあげなく、結局あげたのは2月15日で、さらに顔面にチョコをぶち込んでやった。
お礼なんていらない。欲しくもない。

1日遅れのバレンタインチョコ

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