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2012/01/06 22:57


「ばか!」

パンッと乾いた音が更衣室に響いた。
別に叩かれるのはいい。だけどみんながいる前で叩くのはちょっとあれだと思う。
だって、ほら、天馬くんとか目まん丸くしてこっち見てるし、信助くんだって泣きそうな目でこっち見てますよ、せんぱい。
あーあ、先輩も泣きそうじゃないですか。
だったら叩かなければいいのに…。

「あの〜霧野?俺たち着替えたいんだけど…」

浜野先輩の勇気を出した一言も怒った霧野先輩には余計に怒らせる一言になってしまった。

「浜野はだまってて」

「ちゅーかなんでおこってんのよ、狩屋がなんかしたわけー?」

「…」

「せ、せんぱいさっきのみてなかったんですか…?」

「なになに、天馬顔まっかー!」

西園も、と浜野先輩はつけたした。
ことの始まりついさっき。
先輩がみんなのユニフォーム洗うからと言って更衣室にはいってきた。
みんなのユニフォームを回収している時、先輩はみんなに笑って接してて。
その笑顔は俺だけに向けて欲しい。
気づいたら、先輩にキスしていた。
無意識だ。多分、嫉妬したんだろうなあ、だってみんなに笑うんだもん。
そしていまに至るわけで、そのキスをみたのは天馬くんと信助くんぐらい、他の人から見るとただの喧嘩だ。
なんとなく居づらくなって、先輩の腕を引き、更衣室をでた。

「狩屋、痛い」

「しかたないじゃないですか、あんなとこで急に叩くんですもん」

「…お前、最低」

「ええ、最低ですよオレは」

「あんな所でしなくてもいいだろ!」

「じゃあ今ならいいですか?」

「そういうことじゃ、ん…」

「…、せんぱいかわいー…」

「ずるい、」

「なにがです?」

「…察しろ」

「ばかなんでわっかりっませーん」

「はぁ…」

トンッと胸を叩かれた。真っ赤になる先輩がかわいくて、かわいくて。
ぎゅっ、と柄でもなく抱きしめた。

「嫉妬したんです」

あんたがみんなにかわいく笑うから。
耳元でそうつぶやくと、恥ずかしくなったのか、オレの胸に顔を埋めた。

「ばか」

「好きですよ」

「…うん」

「先輩」

「ん?」

「そろそろ顔あげてくださいよ」

「…」

先輩はそろり、と顔をあげた。
やっぱり先輩はかわいい。

「ばーか」

そう、先輩はかわいい笑顔で言った。

(せんぱい、もう一回)

(ほんと、ばか)

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いちゃいちゃバカップル

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