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2012/01/02 02:29


雨が急にふってきた、しかもぱらぱらじゃなくてざーざー。
雨だって知ってたら傘くらい持っていったのに。
朝の天気予報は晴れマーク。
空だってさっきまで晴れていたのに、だ。
こんなんじゃ兄さんのお見舞い行ったらびしょ濡れになって逆に心配させちゃうし、そもそもこのまま帰っても風邪ひくし、濡れたからってシャワー浴びてたら病院の面会時間はすぎてしまう。
嗚呼、なんでこんなに運が悪いんだろうか。
もんもんと考えてたら後ろから声をかけられた。振り向かなくても声でアイツ、と分かった。

「松風…」

「どうしたの、ずっとそこにいるよね?」

「いや…」

ああ、もう、タイミングが悪すぎる。
よりによって帰れない瞬間をコイツに見られるなんて。

「あ、もしかして傘わすれた?」

「…」

「図星!」

「うっせぇ…」

イラッとして違う方向を向くと松風はつんつん、とつついてきた、しかも傘で。

「なんの嫌がらせだ…」

「あのさ、よかったら一緒に帰らない?」

この傘大人用だからデカいんだよ!そんな松風の言葉は耳にはいらなかった。
イッショニカエラナイ?
一緒に…

「わあああ!」

「なに、どうしたの剣城!?」

「ばか!誰がお前なんかと…!」

ぴっ、と松風に向かって指を指すと、その手をぎゅっと握られた。

「おい!」

「俺は剣城と帰りたい!」

「だか、ら、俺はお前なんかとおおお!」

「ね!お願い!」

「っ…!と、とちゅうまで、なら…」

「本当!?」

わーい、と何故か笑う松風をみて変な奴、と俺は再認識した。

「あ、剣城!カタツムリ!」

「ああ」

「あじさい綺麗!剣城みたい!」

「声がでかい!」

「ご、ごめん…だって剣城と一緒に帰れて嬉しいんだもん」

「そもそも男同士が相合い傘って…」

「あ!」

「なんだよ」

「実はさ、商店街寄らなきゃいけなくて…」

どうやら松風はおつかいを頼まれているらしい。

「剣城!その傘、明日返してくれればいいから!」

「は?」

「いまから病院でしょ?」

まさか…こいつ、最初からオレに傘を貸すつもりで相合い傘を…

「じゃーね!」

「ま、松風!」

「?」

「オレも兄さんに買わなきゃいけないものあるから、一緒にいく…」

「剣城…」

「兄さん、お前に会いたがってるし…」

「えへへ」

「なんだよ」

「剣城ってかわいい!」

「ばかじゃねえの!」

「じゃあ手つないでいこうよ!」

「それはいやだ」

「えー!いいじゃん!」

ああ、今日はなんていい日なんだろうか。

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