ぐだぐだ | ナノ



長きに渡る激闘の末、今私と倉間は各の敵と向き合っている。
それは辛く、険しく、長い長い道のりだった。
だが今の私と倉間は、去年の自分とは違う!
そう、言うなれば生まれ変わったのよ!

「なまえ、次アンタの番だよ。
 一人で盛り上がってないでさっさとしな」
「なまえちゃん、ファイト」
「一年間の努力で打ち勝ってこい!」

相変わらず水鳥ちゃんも茜ちゃんも優しい。
でも痛い、水鳥ちゃん、背中をバシバシ叩かないで!
そして茜ちゃん、にこにこ見てないで早く止めて!

とまあ、二人に応援されながら、保健室独特の不思議な香りの中、私はヤツの前に立った。
どうぞという先生の声に、ゆっくりとヤツの上に乗り。
少し後ろ側に乗って、なるべく針が回らないように。
大丈夫、私なら勝てるはずだ!
赤い針がピタリと止まり、閉じていた目を開けると。

『よっしゃあっ!! 倉間倉間倉間ぁーっ!!』

思わず男子が集まっているであろう体育館に猛ダッシュ。
そこでは丁度倉間も敵と戦っている真っ最中で。
男子全員が、いきなり入ってきた私を見て唖然とする中、勝敗を先生に告げられた倉間も「うっしゃあっ!」と声をあげた。
先生たちの冷たい視線や、男子の冷めた視線を無視して、私と倉間はお互いにはしゃぎ合った。

「なまえ、俺去年より3cmも伸びてたんだぜ!」
『私なんか5kgも減ってたもんね!』
「マジかよ。やっぱ運動してよかったじゃねえか」
『倉間こそ毎日牛乳飲んだ甲斐があったよね』

倉間の元からのコンプレックスである身長と、長年の運動不足がたたった私の体重。
お互いに叱咤激励しながら、この日に向けて努力したんだ。
年に一度行われる、忌々しいこの身体測定の日に向けて!

『これからはお菓子も食べれるようになるんだね』
「牛乳じゃなくて、そろそろコーラあたり飲みたいぜ」

しみじみとこの一年間を振り返りながら感動と幸せの余韻に浸っていたのも束の間、私たちの間に巨大で威圧的な陰が落ちる。

「みょうじ、倉間、お前ら後で職員室に来いよ?」

ああ、そういえばそうだった。
幾ら身体測定とはいえ、授業は授業なのだった。
でもこの後の休み時間に職員室に行った私たちが先生に、頑張ったご褒美にクッキーと缶コーラを貰ったのは秘密である。

(来年もクッキー貰うために頑張る!!)
(なんか動機が不純すぎるんだが)




037 身体測定
-->椎名海音さま




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